無保険車傷害保険とは
記事作成日:2015年6月23日
最終更新日:2017年5月1日
無保険車傷害保険とは、任意保険の対人賠償保険に加入していない自動車(無保険の自動車)との事故で運転者や同乗者が死亡した場合や後遺障害が残った場合に、賠償能力がないために十分な損害の補償を受けられない時に、保険金が支払われる保険です。利用できる場面は限られていますが、適用できる場合には役立つ保険です。
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無保険車傷害保険は自動付帯
通常は任意保険の対人賠償保険に加入した場合には自動で付帯しますが、人身傷害保険に加入すると無保険車傷害保険は自動付帯とならなくなる場合が多いです。
無保険の自動車とは
無保険の自動車とは、任意保険の対人賠償保険に加入していない場合や対人賠償保険に加入していても何らかの違反などにより対人賠償保険が適用されない場合、任意保険の対人賠償保険に加入しているが保険金額が無保険車傷害保険の金額よりも少ない場合、ひき逃げや当て逃げなどにより加害者が存在しているが分からない場合が無保険の自動車とされます。
保険金支払い基準は
保険会社は人身傷害保険の規定により損害額を算出します。ただし、裁判による判決か裁判上の和解によって損害額が認定された場合で、訴訟による損害額の認定が、保険会社が算出した人身傷害保険の基準による損害額を上回った場合には、訴訟を基準とした損害額に基づき保険金が支払われる場合があります。
なお、保険会社によって対応が異なる場合があるので要注意です。訴訟による損害額の認定は、保険会社の人身傷害保険の基準による損害額を上回ることが多いとされています。
無保険車傷害保険が支払われる場合
無保険車傷害保険が支払われる場合は、相手からの賠償が得られない場合や自動車損害賠償責任保険(自賠責)と相手の対人賠償保険が損害額に満たない場合に支払われます。
また、人身傷害保険に加入している場合でも無保険車傷害保険を付帯できる場合には、人身傷害保険の保険金額を自賠責保険と無保険車傷害保険の保険金額の合計額が上回った時も支払われます。
なお、無保険車傷害保険では賠償義務者が存在していることが必要です。
ただし、相手から受け取った損害賠償金や自賠責保険から支払われる金額は差し引かれて保険金が支払われます。
無保険車傷害保険の補償となる人
補償される人の範囲は契約している車に乗っている人になりますが、一定の親族の場合は別の車に乗っていた場合や歩行中の場合の自動車事故なども補償対象となる場合があります。ただし、補償対象となる人の範囲は保険会社によって異なる場合もありますのでよく確認してください。
無保険車傷害保険の保険金額
保険金額は基本的には対人賠償保険と同額となり対人賠償保険が無制限の場合は2億円が上限となることもありますが、無制限としている場合もあります。保険会社によって違いがありますので気を付けましょう。
無保険車傷害保険と人身傷害保険の違いは?
無保険車傷害保険は無保険車による事故が対象
無保険車傷害保険は無保険車による事故が対象です。一方で人身傷害保険は無保険車による事故に限られていません。
無保険車傷害保険は死亡と後遺障害を補償
無保険車傷害保険は死亡の場合と後遺障害の場合を補償します。後遺障害の場合は治療が進まないと後遺障害になるのかどうか判定できない場合があり、保険金の支払いが遅れる可能性が考えられます。人身傷害保険では、けがの場合も補償されます。また、休業の損害なども補償されます。
無保険車傷害保険は過失割合が考慮される
通常、無保険車傷害保険では過失割合が考慮され、自分側に過失がある場合には過失割合の分の保険金は支払われません。人身傷害保険は過失割合に関係なく保険金が支払われます。
無保険車傷害保険と人身傷害保険はどちらを選ぶ?
補償範囲の広さを考えると人身傷害保険の方が充実しているため、原則として人身傷害保険を選ぶべきだと考えられます。ただし、人身傷害保険に加入しても無保険車傷害保険を付けられる場合は、人身傷害保険では足りない場合に無保険車傷害保険を活用できる場面もあります。
まとめ
- 無保険車傷害保険とは、無保険の自動車との事故で運転者や同乗者が死亡した時や後遺障害となった時に保険金が支払われます。
- ただし、人身傷害保険に加入すると無保険車傷害保険は付帯されないこともあります。
- 無保険車傷害保険は人身傷害保険と比べると補償の範囲が狭いほか、過失割合が考慮されるなど利用場面は限定的ですが、人身傷害保険に加入している場合に人身傷害保険で足りない部分の補償に上乗せ的に活用できることもあります。