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景気回復が実感しづらい理由・どうやって景気を実感するか

記事作成日:2019年3月8日

実感なき景気回復という言葉があります。景気回復をしていても、個人の立場で見るとなかなか景気回復が実感できないような場合を意味する言葉ですが、近年景気が回復していても、実感をしづらくなっているとよく言われるようになりました。景気が回復しても経済成長率がそれほど高まらないことや賃金の上昇などによる景気回復の家計部門への波及が弱くなったことなどが、景気回復を実感しづらくなった理由と考えられます。

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どうやって景気を実感するか

景気とはモノやサービスを生産・消費する経済活動の状態や勢いを意味します。経済統計を見れば景気が良いのか悪いのかを判別できますが、経済指標から導き出される景気の状態と個々人が感じる景気の良さは必ずしも一致しません。

個人がどうやって景気を実感するかと言えば、その人が実際に触れたことから体感することになります。特に仕事と家計の状況が重要になります。場合によっては自分が友達や同僚など他の人から聞いた話も判断材料となることがあります。自分が景気をどのように感じるかは、自分が見聞きしたことを判断材料にするからです。

景気を実感する方法

  • 仕事の状況(勤務先の仕事の繁閑など)
  • 家計の状況(給料、ボーナス、雇用の安定度など)
  • 人から聞いた話

景気の実感と仕事(仕事の繁閑、売り上げなど)

会社員の場合には仕事の状況が景気の判断材料の1つになります。自分が勤めている会社の活動が活発かどうかは景気の実感につながります。注文がどんどん入ってきて仕事が忙しくなる、自社の商品やサービスが飛ぶように売れていく、契約が次々と取れるという状況であれば、景気がいいなと感じるはずです。

景気の実感と家計の状況(給料やボーナス、雇用など)

家計に関しては、毎月の給料が業績に伴ってどんどん上がっていくかどうか、賞与(ボーナス)が多く出ているか、雇用に不安を感じることがないか、といったことが景気を実感する材料になります。自分の毎月の給料が増える、ボーナスが多くもらえる、リストラなどの不安がないといったようなことから、景気の良さを実感することができるのです。

つまり、自分の懐具合、つまり家計の状況にゆとりがあるかどうかは景気の実感を大きく左右することになります。自分の金銭的状況が改善していれば、今は景気が悪いと感じることは少なく、景気が良いと感じるはずだからです。

近年の景気回復を実感しづらい理由

近年の景気回復は実感しづらいとよく言われます。景気の良さを実感するためには仕事や家計の状況が重要ですが、近年では特に家計において景気回復を実感しづらくなっています。

その背景として、日本の経済成長率が低くなったことと、景気の家計部門への波及

日本の経済成長率が低くなったから

日本はかつての高度経済成長期と比べると明らかに経済成長率が低くなりました。人口の変化率や設備投資の状況、技術革新の状況などによって左右される日本の潜在成長率が従来よりも低くなり、高成長を達成しづらくなったためです。

日本では人口が伸び悩んでおり人口の面からは経済成長率が高まりづらくなっていますし、社会インフラも整備が進み社会がある程度成熟化していることから、爆発的な経済成長をすることがなくなっているのです。

経済成長率が高ければ誰もが分かるような形で経済活動が活発化しますが、経済成長率が低くなると景気が良くなっても、経済は緩やかに拡大することになるため、その拡大の変化を感じづらくなってしまい、実感なき景気回復となってしまいがちなのです。

また、ITなどの最先端の技術分野で世界を代表するような企業がほとんど出てこないなど国際的な競争力に陰りがみられることも景気の実感を得づらくしている可能性があります。目立つような企業、新商品、新サービスが出てこなくなり、好景気を実感しづらくなっている可能性があります。

景気回復が家計部門に波及しづらくなったから

日本の1990年代以降の景気回復は輸出の増加がけん引役となり、輸出の増加が企業部門の業績改善につながり、設備や人材への投資が活発化するということが特徴です。一方で、1990年代のバブルの崩壊と不良債権問題、過剰債務・過剰設備・過剰雇用の3つの過剰、2000年代のデフレや世界金融危機等を経る中で、景気回復の家計部門への波及の弱まりがみられるようになりました。

企業の行動が慎重化し、一度上げるとなかなか下げづらく固定的な費用となる賃金を上げ渋るようになったこと、解雇から守られている正社員を避け非正規雇用の比率を高めるようになったこと、などから、企業の業績が改善しても、賃金の増加や正社員の増加といった形で家計部門に恩恵が及ぶことが少なくなったのです。

企業が人件費を増やしたとしても、正社員を増やすのではなくパート社員や派遣社員などの非正規雇用を増やしたり、毎月の給与を上げるのではなくいつでも引き下げられる賞与(ボーナス)を増やしたりするため、賃金の面から景気を実感しづらくなっている部分があります。

また、株主還元や効率的な経営が重要視されるようになったことから、人件費ではなく配当に資金を振り向けたり、固定的な費用となりがちな人件費を上げないようになったりしていることが景気の実感のしづらさにつながっている可能性があります。

まとめ

  • 景気の実感はその人が実際に関わっている身近なことに影響を受けます。仕事の状況や家計の状況が景気の実感にとって重要な要素となります。景気が回復していても賃金が上がらなければその人は景気回復を実感できない可能性が高いです。
  • 近年景気回復を実感しづらくなっている背景として、日本の経済成長率が低下したこと、景気回復の恩恵が家計部門に波及しづらくなったことが挙げられます。

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【景気回復が実感しづらい理由・どうやって景気を実感するかの記事は終わりです】

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