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景気の変動要因とは

記事作成日:2018年10月28日

景気の変動要因・経済の変動要因についてです。景気をGDP(国内総生産)として捉えると、景気変動は直接的には、家計消費、設備投資、住宅投資、在庫投資、公共投資、輸出などの変動によって引き起こされると考えることができます。そして、家計消費や設備投資などの変動は、金融政策、金利、税制、インフレやデフレ(物価)、生産性、株価、為替などが変わることによって引き起こされることになります。

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GDP構成項目から見た景気の変動要因

景気とは、経済活動の状態のことを意味しますが、GDP(国内総生産)で表せると考えると、景気の変動は政府・企業・家計による消費や投資、海外との取引(輸出・輸入)が増減することによって引き起こされると考えられます。

つまり、景気の変動要因は直接的には、企業の設備投資や在庫投資、家計の消費、政府の公共投資、輸出などが変化することによって引き起こされることになります。

実際には、海外経済の影響を受ける輸出の増減、企業の設備投資の増減が景気変動を引き起こしやすいと考えられます。

GDP構成項目から見た景気の変動要因

  • 家計消費の増減
  • 設備投資の増減
  • 住宅投資の増減
  • 在庫投資の増減
  • 公共投資の増減
  • 輸出の増減

消費や投資などに影響を与える景気の変動要因

GDPの変動をもたらすのは消費や投資、輸出の増減ということになりますが、消費や投資、輸出に影響を与えている要因が本来の景気変動要因ということになります。消費や投資などに影響を与える景気の変動要因には次のようなものがあります。

金融政策

金融政策は景気変動要因となります。金融緩和が行われると、市場金利(利子率)の低下や流動性(資金)の供給によって設備投資などが活発化し、景気拡大要因となります。逆に金融引き締めが行われると、市場金利(利子率)の上昇や流動性(資金)の吸収によって設備投資が手控えられるようになり、景気減速要因となります。

特に市場の金利の変化は企業の設備投資行動に影響を与えることになりますが、金融政策は市場の金利に重大な影響を与えるため、金融政策の動向は景気と密接な関係があります。

金利

市場の金利変動が景気変動要因となることがあります。金利が上昇すると、企業や家計がお金を借りた時に払う利息(借り入れのコスト)が高くなるため、融資・借金(ローン)を手控えるようになります。そうなると、設備投資や住宅購入が減少していくことになり、景気の後退要因となります。

逆に金利が低下すると、企業や家計は少ない利息でお金を借りることができるようになるため、お金を借りて設備投資を行ったり、住宅購入を行ったりするようになり、景気の拡大要因となることがあります。

金利は主に金融政策によって変動しますが、金融政策以外の要因によっても変動します。特に財政に対する懸念が強まり、金利が急上昇した場合などは景気に悪影響を与える可能性が高まります。

税制(増税や減税)

税金は景気の変動要因となることがあります。新たな税ができたり、税が廃止されたり、税率が変更されたりすることで、景気に影響を与えることがあります。本来、税金は家計や企業から税金という形でお金を移転させる制度なので、税による影響を受けてもお金の流れやすさが変わらなければ、景気に影響をあまり与えないはずです。

しかし、実際には減税が行われると景気の拡大要因となることがあり、増税が行われると景気の後退要因となることがあります。

増税の場合、所得税の増税であれば家計は可処分所得が減少するため消費活動が抑制されます。消費者心理の悪化により消費が抑制されることも考えられます。消費税の増税であれば、可処分所得の減少のほか、市場の販売価格が高くなるため、購入意欲が損なわれ消費の抑制につながります。法人も同様で、法人税の増税であれば、設備投資や人件費の抑制につながることがあります。

逆に減税の場合、所得税の減税であれば家計は可処分所得が増加するため消費活動が活発化します。消費者心理の改善が消費を促すこともあります。消費税の減税であれば、可処分所得の増加のほか、市場の販売価格や安くなるため、購入意欲が高まり消費の拡大につながります。法人も同様で、法人税が減税されれば、設備投資を活発化させたり、雇用を増やしたり、賃金を引き上げたりすることになります。

インフレやデフレ(物価)

インフレやデフレは景気の変動要因となることがあります。景気変動の結果、インフレやデフレが引き起こされることもあります。

インフレ(物価の上昇)が発生すると、市場でのモノやサービスの販売価格が上昇するため、消費者が購入できる量が少なくなり、価格上昇により購入意欲も低下します。そのため、モノやサービスがあまり売れなくなって景気の後退要因となることがあります。

デフレ(物価の下落、特に持続的な物価の下落)が発生すると、モノやサービスの販売価格が下落するため、消費者が購入できる量が多くなり、一見景気に好影響を与えるようにも見えます。しかし、販売価格の下落によって、賃金が伸び悩んだり、下落したりすることになり、お金を稼ぐことも難しくなっていくため、景気に悪影響を与えることがあります。また、デフレの発生により、実質的な借金の負担が増大することがあり、借金をしている人の負担増大により景気に悪影響を与えることがあります。

例えば、100円の借金をするとして、借りた時はある食べ物が100円だったとして、それがデフレで返済時に50円になったとします。100円の借金は当初食べ物1つ分の価値だったのに、デフレによって100円は食べ物2つ分の価値になっています。最初は食べ物1個分の借金が、将来食べ物2個分の借金となってしまい、実質的に負担が増えているのです。

なお、インフレやデフレは、国内の要因だけではなく、海外の要因によって引き起こされることがあります。

生産性

生産性の変化が景気の変動要因となることもあります。技術革新などによって、生産効率が大幅に高まったり、事務作業が大幅に効率化されたり、機械化や自動化などによって人手が省力化されたりした場合には、生産量の拡大やコストの削減を通じて、企業の売上や利益の増大に結びつき、景気拡大を促すことがあります。設備導入のための投資が景気を後押しすることもあります。

理論的には、逆に生産性の低下は景気減速要因となることも考えられますが、通常は社会全体で生産性が急速に低下するような事態はあまり想定されません。特殊な場合であると考えられます。

政治的安定や政治的混乱

重大な政治的な混乱が景気の変動要因となることがあります。政権の崩壊や与党間の意見対立、レームダック化(任期満了が近づくなどによって政治的な影響力を失ってしまった状態になること)などによって長期間の政治の空白が生じてしると、政策が実行されなくなったり、企業や家計の心理状態(マインド)が悪化したりして、景気を冷やしてしまうことがあります。

政治的に停滞した状況が続いていると、先行きの不透明感から企業は大胆な投資を実行しづらくなりますし、家計もお金を使わなくなってしまうことがあるのです。

逆に政治的な安定が景気を後押しすることがあります。安定的な政権の存在によって、経済政策の先行きが見通しやすくなり、企業が投資を行いやすくなることがあるのです。

危機の発生(金融危機、財政危機、通貨危機、経済危機など)

金融危機、財政危機、通貨危機、経済危機など各種の危機の発生は景気の悪化要因となります。

金融危機は、銀行の経営不安などを背景に、お金のやりとりが行われる金融市場の機能が低下して、景気の後退を招きます。

財政危機は、国などの債務増大から信用不安が生じることによって、経済や社会が混乱し、景気の後退を招きます。

通貨危機は、特定の国の通貨価値が急激に下落することによって、経済や社会が混乱し、景気の悪化要因となります。

経済危機は、金融・財政・通貨危機や他の要因によって深刻な景気後退が発生することを意味します。

逆に、危機の発生から時間が経過し、危機の影響が薄れると、景気は回復局面に向かうことになります。

株価

株価の変動が景気の変動要因となることがあります。株価が上昇すると、株式を保有している人は保有資産の評価額が上昇します。株式を売却すれば、お金を得ることができるという気持ちになるため、実際に売却して値上がり益を実現しなくても、お金を積極的に使うようになることがあります(資産効果)。また、株価の上昇が企業や家計の安心感を誘い、心理状態(マインド)を改善し、投資や消費を促すこともあります。

逆に株価が下落すると、株式を保有している人は含み損を抱えることになり保有資産の評価額が下落します。株式を売却すると損失が発生してしまうため、実際に売却して損失を確定させていなくても、お金を使おうという意欲がそがれてしまうことがあります(逆資産効果)。また、株価の下落が企業や家計の心理(マインド)を冷やし、投資や消費を後退させてしまうことがあります。

為替レート(通貨価値)

為替レートの変動が景気の変動要因となることがあります。為替レートが自国通貨高(日本の場合は円高)になると、海外に販売する輸出品の価格が上昇することになるため、輸出の価格競争力が低下し、輸出が多い国では輸出の減少を通じて景気の下押し要因となることがあります。

逆に、食料品や原材料、原油などを多く輸入している国では、自国通貨安(日本の場合は円安)になると、輸入品の価格が上昇するため、コストの増加につながり、国内での販売価格の上昇や利益の減少を招いたりします。

特に、財政の健全性や対外債務の支払い能力に対する懸念が強まった場合などには、投資資金が流出して急激な自国通貨の下落(日本であれば円安)が発生しまうことがあります。急激な自国通貨安は経済の混乱を招き、景気後退につながりやすい傾向があります。

不動産価格

不動産価格の変化が景気の変動要因となることがあります。不動産価格が上昇すると、不動産を売却することで値上がり益が得られるため、企業の投資や家計の消費が促されることがあります。不動産を実際に換金しなくても、含み益が生じるため、企業や家計のマインド(心理状態)が改善し、景気を後押しすることがあります。

ただし、不動産価格が極端に上昇し、バブルの状態になると、住宅の購入が難しくなったり、家賃の高騰を招いたりしてしまい、社会問題化することがあります。不動産価格がピークを迎えたという認識が広がると、不動産への投資を手控えたり、不動産を手放す動きが広がったりして、不動産価格の急落を招くことがあります。中央銀行が金融引き締めを行ったり、政府が規制強化を行ったりして、不動産投資を抑制することもります。

不動産価格が下落すると、不動産関連の融資が焦げ付き、金融機関の不良債権が問題化することがあります。日本でも1990年代のバブル崩壊から、2000年代の不良債権の処理に至るまで、長い期間経済にとっての問題となりました。

消費者心理や経営者の景況感(マインド)

消費者(家計)の景気に対する心理状態・信頼感・消費意欲、企業の経営者の心理状態・景況感・投資意欲が景気の変動要因となることがあります。消費者が積極的に消費をしようという心理状態の場合には、消費が活発化し、景気の拡大要因となります。一方で、節約志向の高まりなどから、消費を手控えようという心理状態になると、消費が停滞し、景気の後退要因となります。

経営者についても同様で景気に対する慎重な見方から、設備投資の手控えや雇用の抑制などを図ると景気の後退要因となります。逆に景気に対する楽観的な見方をしている場合は、設備投資を積極化したり、雇用を増やしたりするため、景気の拡大要因となります。

心理状態(マインド)を好転させる要因としては、社会全体を盛り上げるようなお祝い事・おめでたい事(国家的なお祭り、国際的なイベントの開催、要人の結婚や出産)などがあります。

逆に心理状態(マインド)を悪化させる要因としては、社会不安をあおるような出来事の発生(政治的な混乱、デモや暴動などによる社会的な混乱、凶悪事件の発生など)、大規模な災害の発生による自粛・節約ムードなどがあります。

財政政策

財政政策が景気変動要因となることがあります。政府が国債の発行などによって財源を確保し、歳出の拡大や減税を実施した場合、企業の投資や家計の消費が促され、景気の拡大要因となることがあります。積極的な財政出動は政府の景気対策として良く用いられます。ただし、拡張的な財政政策は将来から国債という形で借金をして財源を確保するため、将来世代への負担の押しつけとなってしまう恐れがあります。

一方、歳出の抑制や増税などによって緊縮的な財政政策を行った場合には、企業の投資や家計の消費の意欲が削がれてしまい、景気の後退要因となることがあります。財政収支の赤字が続いていて、国家の累積的な債務が増大している場合、そのまま放っておくと財政危機が発生してしまうため、景気への悪影響を覚悟しつつ、歳出の抑制や増税が実施されることがあります。

通商政策・貿易政策

通商政策が景気の変動要因となることがあります。自国産業を保護するため、輸入品に関税をかけたり、輸入を禁止したりする保護貿易政策を取ることによって、相手国の輸出が停滞し、相手国の景気減速につながることがあります。また、対抗措置として相手国が報復関税を行った場合は、自国の輸出も停滞し、景気減速につながることがあります。

世界的に保護貿易主義が強まった場合には、世界的に貿易が停滞し、世界経済全体が停滞することもあります。第二次世界大戦前に見られたような、保護貿易によるブロック経済は、世界的な貿易の停滞のみならず、各国の政治的な対立を招き、第二次世界大戦の要因になったと考えられています。

一方、貿易協定の締結によって関税を引き下げ自由な貿易を促す措置によって、貿易が活発化し、経済的な効率性が高まり、経済の成長、景気の拡大に至ることがあります。

為替政策

為替政策が景気の変動要因となることがあります。自国通貨が下落すると自国の輸出品の価格が安くなり、輸出競争力が高まるため、輸出の増加を通じて景気の拡大要因となります。一方で、自国通貨が下落しすぎると、輸入品の価格が高くなり、原材料を輸入している場合、コスト増となり景気悪化要因となることがあります。

逆に自国通貨が上昇すると輸出の価格競争力が低下する一方、原材料となる輸入品の価格は低下します。

輸出の拡大を狙って金融政策や為替介入などを通じて通貨安政策を講じた場合、景気の拡大要因となることがあります。逆に通貨高政策を講じた場合、輸出の停滞から景気減速要因となることがあります。ただし、輸出と輸入のどちらが多いかということや、産業構造などによって、通貨政策の景気に対する影響は逆方向となることもあります。

金融機関の貸出姿勢

銀行などの金融機関の貸出姿勢は景気の変動要因となります。預金などによってお金を集めた金融機関が貸出などを通じて資金を供給することによって、お金が経済全体に巡るようになり、経済活動が活発化します。

何らかの要因によって金融機関が貸出を積極化した場合、企業は設備投資を活発に行うようになり、家計は住宅ローンによる住宅購入や各種ローンによる消費を活発に行うようになります。逆に金融機関が貸出に消極的になると、企業の設備投資や家計の住宅購入や消費は抑制されることになります。

金融機関が貸出姿勢を消極化する例としては、消費者金融やクレジットカードの与信でみられるような総量規制、社会的な問題の発生を受けたアパートローンの審査の厳格化、不良債権の増加による融資の抑制などがあります。逆に積極化する例としては、貸出残高の増加や利益拡大を狙った融資基準の緩和などがあります。

買い替えや投資の循環

家電製品や自動車などの耐久消費財の買い替えサイクル(循環)、住宅など不動産の建て替えサイクル(循環)、在庫投資や設備投資のサイクル(循環)、技術革新のサイクルなど各種の循環が景気の変動要因となることがあります。

一定の時期に集中的に購入されたものや投資されたものが耐用年数を経過することよって更新されることになり、更新需要が盛り上がることによって景気の波、変動が生じるのです。

シリコンサイクル(半導体サイクル)と呼ばれる半導体業界の景気の波は世界的な景気に影響を与えることがあります。

まとめ

  • 景気をGDPで考えると、景気の変動要因は直接的には、企業の設備投資や在庫投資、家計の消費、政府の公共投資、輸出などが変化することによって引き起こされることになります。
  • GDPの投資や消費などの変化を引き起こす要因としては、金融政策、金利、インフレやデフレ、財政政策、税制、株価、不動産価格などが挙げられます。

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【景気の変動要因とはの記事は終わりです】

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