マイナス金利の家計への影響
記事作成日:2016年2月6日
日本銀行は2016年1月29日に日本銀行の当座預金の一部に対してマイナス金利を導入することを決定しました。マイナス金利の導入によっては家計には、預金金利が低下する、債券運用を行う投資信託などが運用困難になる、住宅ローン金利が低下する可能性がある、預金口座の管理手数料が徴収されたりATM利用手数料が引き上げられたりする可能性がある、などの影響が考えられます。
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マイナス金利とは
金利がマイナスになるということは、預金金利を例にするとお金を銀行に預けた場合、プラスの金利なら利子がもらえますが、マイナスの金利なら利子を払わなければいけないということです。つまり預金をするとお金が減っていくのです。
融資を受ける場合、つまり貸出金利がマイナスの場合には、銀行からローンを借りた場合、プラスの金利なら元本の返済とともに利息を支払う必要がありますが、マイナスの金利なら元本は返済しなければいけませんが、利息を受け取ることができるのです。つまり借金をするとお金がもらえるのです。
ただし、2016年1月29日に日本銀行が導入を決定したマイナス金利は、銀行などの金融機関が日本銀行に預けている当座預金の一部についてマイナス金利を適用するというものなので、直接銀行の預金金利がマイナスになることが決まったという訳ではありません。
マイナス金利導入決定による家計への影響
日本銀行がマイナス金利を導入することを決定しましたが、銀行預金の金利が直ちにマイナスになるということではありません。しかし、市場の金利が低下することによって家計にも様々な影響があります。
保険商品の予定利率の低下
生命保険、学資保険、個人年金保険、養老保険などの貯蓄性が高い保険商品では、集めた保険料で債券への投資を行っています。日本銀行がマイナス金利を導入したことによって、国債などの債券の利回りが低下し、短い年限を中心にマイナスの利回りとなったことから、債券投資によって運用成績を上げることが難しくなっています。そうなると保険の予定利率も下がり、保険商品全般の貯蓄性が低下し、保険料の割高感が強まる可能性があります。
そもそも保険で貯蓄をすることはあまりお勧めしていませんが、保険の魅力が低下する可能性には注意しておかなければいけません。
預金金利の低下
日本銀行がマイナス金利を導入し、日本銀行に金融期間が預けている当座預金の一部がマイナスの金利となったため、銀行などの金融機関の利益が圧迫され、預金金利の低下につながります。
そのため、定期預金や大口預金を中心に金利を引き下げる動きが強まるとみられます。ただし預金金利をマイナスにすると資金流出が発生するため、金融機関は預金金利をマイナスにすることについては慎重になるとみられます。
手数料の引き上げ
マイナス金利の導入によって銀行などの金融機関は利益が圧迫されるため、預金金利を引き下げようとしますが、マイナスにすると資金が流出するというジレンマを抱えることになります。そのため、預金金利をマイナスにするのではなく、各種手数料を引き上げることで利益を確保する可能性があります。
ATM利用手数料を値上げしたり、割引や優遇の範囲を縮小したり、口座維持管理手数料などの名目で手数料が徴収されたりする可能性があります。
債券の投資信託の新規募集停止
日本銀行がマイナス金利を導入したことにより、一部の国債の利回りがマイナスとなっています。そのため、債券で運用を行う投資信託は運用が困難になっています。普通に運用するとマイナスのリターンになってしまいますが、債券で運用を行う投資信託では安全性が求められていて、マイナスの運用成績は許容されないという事情があります。
そのため、中期国債ファンドやMMFは日本銀行がマイナス金利導入を発表して間もなく新規募集停止が相次ぎました。MRFや他の債券を中心に運用を行う運用商品全般への影響が避けられないと考えられます。
住宅ローン金利の低下
市場金利が低下していることから、市場金利に金利が連動する住宅ローンを中心に金利が低下する可能性があります。
ただし、銀行などの金融機関が日本銀行に預けている当座預金の一部にマイナス金利が付き、金融機関の利益が圧迫される事態になった場合、利益を確保するため逆に金融機関が住宅ローン金利を上昇させる可能性もあります。
金融機関の経営環境の悪化
銀行などが日本銀行に預けている当座預金の金利が一部マイナスとなるため、金融機関の経営は圧迫されることになります。経営体力が強くない金融機関は経営が悪化し、統合や再編が進む可能性があります。利用している金融機関の統廃合があるかもしれません。
まとめ
- 日本銀行がマイナス金利導入を決定したことで家計には様々な影響が出てくると考えられます。
- 預金金利が低下する、債券運用を行う投資信託などが運用困難になる、住宅ローン金利が低下する可能性がある、預金口座の管理手数料が徴収されたりATM利用手数料が引き上げられたりする可能性がある、などの影響が考えられます。