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先進医療とは

記事作成日:2015年5月31日
最終更新日:2015年6月25日

先進医療とは、保険診療としてまだ認められていない先進的な医療技術について、安全性や有効性などを個別に確認の上、保険診療と保険外診療の併用ができるようになったもので、将来の保険適用に向けた評価を行うことになっています。先進医療部分の費用は全額自己負担ですが、先進医療部分以外の一般診療と共通する部分は保険が適用されます。

先進医療は、保険導入することが妥当と評価された場合、保険適用の診療となります。一方で先進医療から削除すべき技術とされたり、実施が取り下げられたりする技術もあります。また、新たな技術が先進医療として承認される場合もあります。

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混合診療とは

混合診療とは、保険適用の診療と保険適用外の診療を併用することで、日本では原則として認められていません。併用した場合は保険適用部分も含めて全体が自由診療となり、費用を全額自己負担することになっています。ただし、保険外併用療養費として保険と併用できる保険適用外の療養が一部で例外的に認められています。

自由診療とは

自由診療とは、保険適用外の診療のことで、保険が適用されないから費用は全額自己負担となります。

混合診療の問題点

日本の医療制度では国民皆保険の考え方から、必要な医療については基本的に保険診療で行うべきで、治療の有効性や安全性が確認された医療を保険適用するということになっています。

医療保険は公費で行われているため、有効性や安全性が認められていない物や研究目的の医療で保険適用するのは適切ではないという考え方によります。

また、保険は適用されず費用は高いが保険適用にならない医療の方が効果が高いということになると、患者自身が医療を選択するということになりますが、お金の有無で医療を受けられるかどうかが決まってしまい、医療格差が生じたり、危険な医療行為がまかり通ったりする恐れもあります。

また、病院が保険適用外の医療ばかり勧めるようになってしまうと、患者の医療費負担は増大してしまいます。

保険外併用療養費とは

保険外併用療養費とは保険適用の診療と併用が認められている療養のことで、保険適用部分は自由診療とはみなされず保険が適用されます。

これは、全ての保険外の療養を原則通り自由診療扱いにしてしまうと、患者の利便性が損なわれる場合があるため、混合診療は原則禁止としつつ、一部で例外を認めたものです。

将来の保険導入のための評価を行う「評価療養」と、保険導入を前提とはしていませんが患者の利便性を向上させ、選択の幅を広げるため「選定療養」については保険外併用療養費として、保険診療との併用を認めています。「評価療養」に先進医療が含まれます。

保険診療との併用を認めるとは、認められていない診療と保険診療を組みわせると全額自己負担となりますが、併用が認められている場合の評価療養や選定療養の部分は全額自己負担ですが、保険診療部分は保険が適用されるということです。

保険適用・先進医療・混合診療・自由診療の比較

保険適用・先進医療・混合診療・自由診療の比較

保険診療は当然ですが全額に保険が適用されます。保険診療+先進医療(保険外併用療養費)の場合は先進医療部分は全額自己負担ですが保険診療部分は保険が適用されます。保険外併用療養費とならない保険適用外の診療と保険適用の診療を組み合わせる(混合診療)と全額が自由診療とみなされ、自己負担となります。保険適用外の診療(自由診療)は全額自己負担です。

評価療養の具体例(7種類)

評価療養は保険導入のための評価を行うためのもので、次のようなものがあります。先進医療は評価療養に含まれます。また、治験や薬事法承認後で保険収載前の医薬品や衣料品の使用、医薬品や医療機器を承認された目的以外で使用する適応外使用も含まれます。

  • 先進医療
  • 医薬品の治験に係る診療
  • 医療機器の治験に係る診療
  • 薬事法承認後で保険収載前の医薬品の使用
  • 薬事法承認後で保険収載前の医療機器の使用
  • 適応外の医薬品の使用
  • 適応外の医療機器の使用

選定療養の具体例(10種類)

選定療養は保険導入が前提ではなく、患者の利便性を高めるためのもの、選択の幅を広げるためのものがあります。例えば特別な病室を選ぶときの差額ベッド代、予約診療や時間外診療などがあります。

  • 特別の療養環境(差額ベッド)
  • 歯科の金合金等
  • 金属床総義歯
  • 予約診療
  • 時間外診療
  • 大病院の初診
  • 小児う触の指導管理
  • 大病院の再診
  • 180日以上の入院
  • 制限回数を超える医療行為

先進医療の数

厚生労働省のホームページによると2015年5月1日現在で107種類とされています。

先進医療の負担額

厚生労働省の「第26回 先進医療会議」の資料の「平成26年度先進医療技術の実績報告等について」の「平成26年度実績報告(平成25年7月1日~平成26年6月30日)」によると、先進医療技術は2014年6月30日時点で95種類、実施医療機関数は571施設とされていて、全患者数は23,925人とされています。資料から先進医療費部分の平均額を算出すると726,156円となります。

実施回数が多い先進医療

厚生労働省の「平成26年度先進医療技術の実績報告等について」から実施回数が100回以上の先進医療を抜き出すと以下の通りとなります。15種類の先進医療があります。

実施回数が多い先進医療
先進医療名医療費回数入院日数医療機関
前眼部三次元画像解析3,85774580.560
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術509,86370261.3310
陽子線治療2,635,433291612.58
重粒子線治療3,086,917163914.64
硬膜外自家血注入療法35,9116419.230
術後のホルモン療法及びS-1内服投与の併用療法365,4615600.1115
実物大臓器立体モデルによる手術支援89,39739229.633
歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法59,215371-19
EBウイルス感染症迅速診断(リアルタイムPCR法)13,50930736.65
食道アカラシア等に対する経口内視鏡的筋層切開術155,0772948.55
IL28Bの遺伝子診断によるインターフェロン治療効果の予測評価19,6352181612
CYP2C19遺伝子多型検査に基づくテーラーメイドのヘリコバクター・ピロリ除菌療法11,121211-3
自己腫瘍・組織及び樹状細胞を用いた活性化自己リンパ球移入療法409,0851443.32
高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術301,00013011.31
非生体ドナーから採取された同種骨・靱帯組織の凍結保存261,10012728.62

(備考)医療費とは実施回数当たりの平均的な先進医療部分の費用で単位は円。回数は実施回数。入院日数は平均入院日数。医療機関は先進医療の実施医療機関数。
(出典)厚生労働省「第26回先進医療会議資料」の「平成26年度先進医療技術の実績報告等について」を加工して作成。

費用負担が多い先進医療

厚生労働省の「平成26年度先進医療技術の実績報告等について」から先進医療費部分の平均額を算出すると726,156円となっていますが、平均先進医療費の額が平均額以上となる先進医療は以下の通り15種類となります。このうち実施が多いのは重粒子線治療と陽子線治療で、他の先進医療の実施回数は極めて少なくなっています。

費用負担が多い先進医療
先進医療名医療費回数入院日数医療機関
経カテーテル大動脈弁植込み術3,954,000815.91
重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する脳死ドナー又は心停止ドナーからの膵島移植3,952,923426.33
パクリタキセル静脈内投与、カルボプラチン静脈内投与及びベバシズマブ静脈内投与の併用療法(これらを三週間に一回投与するものに限る。)並びにベバシズマブ静脈内投与(三週間に一回投与するものに限る。)による維持療法3,707,214910.87
重粒子線治療3,086,917163914.64
陽子線治療2,635,433291612.58
自己腫瘍・組織を用いた活性化自己リンパ球移入療法1,760,741123.12
ペメトレキセド静脈内投与及びシスプラチン静脈内投与の併用療法1,089,3789929.733
樹状細胞及び腫瘍抗原ペプチドを用いたがんワクチン療法1,049,323962.74
NKT細胞を用いた免疫療法984,893140.11
コレステロール塞栓症に対する血液浄化療法974,7133391
ゾレドロン酸誘導γδT細胞を用いた免疫療法953,3336-1
ボルテゾミブ静脈内投与、メルフェラン経口投与及びデキサメタゾン経口投与の併用療法866,223442.34
凍結保存同種組織を用いた外科治療789,7652770.12
重症心不全に対する免疫吸着療法785,378934.61
自家嗅粘膜移植による脊髄再生治療752,3004221

(備考)医療費とは実施回数当たりの平均的な先進医療部分の費用で単位は円。回数は実施回数。入院日数は平均入院日数。医療機関は先進医療の実施医療機関数。
(出典)厚生労働省「第26回先進医療会議資料」の「平成26年度先進医療技術の実績報告等について」を加工して作成。

重粒子線治療や陽子線治療の保険導入について

がんなどで先進医療の例としてよく紹介される重粒子線治療や陽子線治療ですが、現在のところ保険適用には至っていません。保険導入を検討する過程では、手術など有効な既存治療や強度変調放射線治療(IMRT)などの放射線治療との比較が十分でないことや、施設の配置などのでの費用負担の問題があることなどが指摘されています。

しかし、重粒子線治療や陽子線治療は実施回数が多い先進医療であり、将来的な保険適用の期待が高い先進医療です。もし、保険適用されれば、実施回数が多く費用負担も高かったため、相当な金銭的なメリットがあると考えられます。

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【先進医療とはの記事は終わりです】

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