学資保険(こども保険)のメリット・デメリット
記事作成日:2017年11月9日
学資保険(こども保険)のメリットとデメリットについてです。教育資金を準備するための保険として学資保険がありますが、保険料を払い込むと子どもの教育資金が必要になる時期に保険金(満期金、一時金、祝金など)を受け取ることができる保険です。こども保険と呼ばれる保険も同様の機能がありますが、学資保険と比べるとこども保険はこどもの保障に重点が置かれている場合があり、商品性が異なる場合があります。ここでは主に貯蓄性を重視した学資保険を想定して説明しています。
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学資保険(こども保険)のメリット
銀行の預金よりは利回り(金利が良い)ことがある
学資保険は、貯蓄性を意識して設計されているものがあり、銀行などの金融機関に預金として資金を預けるよりは利回り(金利)が高い場合があります。
保障が充実した学資保険は保障に保険金が充てられるため貯蓄性は低下しますが、最低限の保障に抑えて貯蓄性が優先されている学資保険は、単に銀行に預けておくことと比較すると受け取るお金が多くなる場合があります。
払込期間や保険金の受取時期はある程度選べる
学資保険は、保険料を払い込む期間や払込方法、保険金(満期金、一時金、祝い金など)を受け取る時期や受取方法(途中で一部を受け取る、一時金で受け取る、年金の形式で受け取る)が、一定の範囲内で選択可能になっています。
自分が教育資金を必要とする時期に合わせて学資保険の内容を選択・設計できることから、教育費の準備方法として使いやすい部分があります。
契約者が死亡した時などは保険料の免除制度がある
学資保険は、契約者である親に万が一の事態が発生し、死亡した時や死亡した状態とほとんど同視できるような高度な障害の状態となった時は、保険料の払い込みを免除する制度があるものがあります。
親にもしものことがあっても学資保険は予定していた通りの保険金(満期金、一時金、祝金など)が支払われることになります。親に対する死亡保障となり、保険金の範囲内で生命保険を契約しているのと同じ効果が得られます。
子どもなどへの保障が付くものがある
学資保険には、基本的に契約者の親に万が一のことがあった場合には保険料の払い込みが免除される仕組みになっていますが、親の死亡保障がついていることになります。
また、被保険者となる子どもについても、病気やけがの保障などを特約の形でつけることができる場合があります。
強制的にお金を貯められる・貯蓄できる
学資保険を契約すると、保険料を支払うことになりますが、毎月保険料を払う方式にすれば、毎月一定の金額を保険料として支払うことになり、強制的に保険にお金を貯めていくことになります。
自分では貯金・貯蓄が難しいという人でも、保険料として強制的にお金を支払うことになるため、貯蓄ができることになります。ただし、保険としてお金を貯めるので、純粋な貯蓄と比べると、お金の自由度は落ちます。
途中で引き出しづらいためお金を残しやすい
学資保険を契約すると、支払った保険料は保険に拘束されるため、自由に使うことができなくなります。もちろん、途中で解約してしまえばお金は戻ってきますが、解約するにもひと手間かかります。
そのため、お金があると使ってしまうような場合には、保険にお金を預けておいて途中で引き出して使ってしまわないようにするということも無駄遣いを防ぐためには有効となります。ただし、自分でお金の管理ができるのであれば、敢えて保険を利用してお金を使わないようにする必要はありません。
生命保険料控除の適用がある
学資保険の保険料は、基本的に生命保険料控除の適用が受けられるため、年末調整や確定申告で申告することによって、一定金額が所得から控除されることによって所得税や住民税の負担が軽減されます。
学資保険の契約内容や特約によっては、支払った保険料全額が対象とならない場合もあるため、保険会社からの証明書で所得控除の対象となる保険料の金額を確認することが必要です。
学資保険を契約することによって、税金の面でもメリットを得られることになります。ただし、他の保険をたくさん契約している場合には、生命保険料控除の枠がいっぱいになっていまい、あまりメリットがないこともあります。
学資保険の受取金は一時所得か雑所得になる
学資保険の受取金は満期金であれば基本的に一時所得となります。年金形式の場合は雑所得となることがあります。一時所得として受け取った場合には、総収入金額から収入を得るために支出した金額を差し引くほか50万円までの特別控除額を差し引くことができ、税負担が軽くなることがあります。
学資保険(こども保険)のデメリット
支払った保険料は途中で引き出しづらくお金が拘束される
学資保険の多くは、貯蓄性を重視した保険になっています。保険を利用して教育資金を貯められるような仕組みになっています。しかし、保険での貯蓄は基本的にお勧めしていません。
保険には貯蓄機能と保障機能がありますが、敢えて貯蓄と保障を同時に保険で行う必要性はないのです。自分で資産運用する場合よりも保険会社の手数料や利益分だけ利回りが低くなりがちであること、お金が拘束されて自由に使えなくなることなどが理由です。
途中で保険料を変えづらい
学資保険を契約して保険料を毎月払いにすると、毎月保険料を支払っていくことになります。保険料の支払いによって、強制的にお金を貯めていくことになりますが、学資保険を契約すると途中で保険料を変えづらいため、家計が苦しくても保険料を支払わなければいけないことになります。
自分でお金を貯めるのであれば、お金を貯めやすい時期はたくさんお金を貯めて、支出が増える時期は貯める金額を少なくするという柔軟な対応ができますが、学資保険では保険料を途中で自由に変えることは難しくなります。
総受取金額が支払う保険料の総額を下回ることもある
学資保険は保険金額、契約者(親)の性別・年齢、被保険者(子ども)の年齢、保険料の受取時期(何歳から受け取るか)、途中で一時金・祝い金などを受け取るか、保障内容(病気やけがの保障があるか、特約はあるか)などによって支払う保険料は変化します。
保険契約によっては、受け取る総額(総受取金額)は支払う保険料の総額(払込保険料総額)を下回ることもあります。要は元本割れに相当する状態となることがあり得ます。
低金利で予定利率が低いと満期時の返戻率(戻り率)は悪くなる
保険会社は受け取った保険料を運用して増やすことによって、より多くの保険金が支払えるように努力します。しかし、低金利の環境下では保険会社は高い予定利率を約束することはできず、低い予定利率に基づいて保険料を計算することになるため、満期時の返戻率(戻り率)は悪くなります。
金融緩和などによって金融市場の金利が抑えられている時は、学資保険の満期時の返戻率(戻り率)は低くなってしまうため、お金を増やすという面ではメリットが少なくなります。
途中解約をすると損をする場合がある
学資保険によっては、途中解約をすると支払った保険料よりも、払い戻されるお金(返戻金)が少なくなることがあります。つまり、元本割れに相当する状態となり、損をしてしまうことがあります。
そのため、学資保険の契約期間の途中でまとまったお金が必要になっても、途中で解約してお金を引き出すことを躊躇してしまうことがあります。自分でお金を貯めているのであれば必要になった都度自由に使うことができます。
インフレになっても受け取る金額は変わらない
受け取る保険金が定額で変わらない保険は共通して物価上昇に弱いという弱点があります。保険の契約期間中に世の中の物価が上がっていてても、保険金が増えるわけではないため、実質的な受取金額が目減りしてしまう恐れがあります。
例えば、学資保険の契約時点では将来必要な学費が100万円であったとして100万円の保険金が受け取れるような学資保険を契約したとします。しかし、時間の経過に伴って学費が値上がりしてしまって必要な学費が200万円になってしまった場合でも、学資保険から受け取るお金は100万円で変化しません。保険金が定額の保険はインフレに弱いのです。
なお、受取金額が変化する保険の場合はインフレに対応できる可能性があります。
保険会社が破綻すると保険金が一部減額される可能性がある
生命保険会社が破綻した場合には、生命保険契約者保護機構が保険加入者の保護を行うため、契約のほとんどの部分は保護されますが、預金とは異なり、学資保険の場合は受け取る保険金が一部減額される恐れがあります。
契約者(親)などの告知が必要となることがある
学資保険は親の死亡保障が含まれる場合があるため、契約にあたって健康状態の告知や医師の診断が必要になることがあります。子どもの保障がある場合には子どもの告知などが必要になることがあります。健康状態によっては加入を断られてしまうことも考えられます。
まとめ
- 学資保険のメリットは、保険料を支払うことで強制的に貯蓄できること、銀行などへの預金よりは利回り(返戻率、戻り率)が良いこと、親の死亡保障の機能があることなどが挙げられます。
- 学資保険のデメリットには、保険料を支払うとそのお金は保険に拘束され自由に引き出せなくなってしまうこと、途中解約をすると損をすることがあること、インフレによって実質的に受け取る金額が目減りしてしまうリスクがあることなどが挙げられます。