日帰り入院と通院の違い
記事作成日:2015年5月25日
医療保険の説明でよく日帰り入院も保障しますという言葉を目にすることがあるかと思います。「日帰り入院」と「通院」は何が違うのでしょうか?基本的には、入院基本料の支払いがあるかないかで判断されることになります。入院基本料の支払い有無は領収書を見れば分かりますが、病院のお医者さんがどう判断したかということになります。
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日帰り入院とは
日帰り入院とは、入院した日と退院した日が同じで、入院基本料などの支払いがあるものということになります。入院した日と退院した日が同じでも入院基本料などの支払いがない場合は普通の通院となります。
- 入院した日と退院した日が同じ
- 入院基本料などの支払いがある
入院した日と退院した日が同じ
入院日数の数え方は暦日によります。つまり0時から24時までの間に極端な話1分でも入院していれば1日になります。例えば、23時30分に入院して日が変わり、翌日5時に退院したら2日です。日帰り入院の場合は同じ日に入院して退院することになります。
入院日数の数え方の根拠ですが、健康保険法では第194条で期間の計算について民法の規定を準用するとしていて、民法では時間によって期間を定めた場合は即時に起算されますが、日による期間は暦日で計算されることになっています。なお、民法は期間の初日は参入しない初日不算入が原則ですが、健康保険法に基づき告示されている診療報酬の算定方法では、入院基本料は「保険医療機関に入院した日から起算して計算」とされています。そのため、入院日数は入院した日から暦日で数えるということになります。
入院基本料などの支払いがある
入院とは、医師が入院の必要があると判断して、病気やけがの治療のため病院の入院施設に入ることです。
入院した場合には、医療費を支払った際に病院から受け取る領収書で「入院料等」の欄に数字が記載されます。この欄が空欄なら入院したつもりでも、病院側は入院として扱っていないので、入院していないことになります。
入院料等とは
入院料等には、入院基本料、入院基本料等加算、特定入院料、短期滞在手術基本料が含まれます。入院している場合には、1日に入院基本料か特定入院料、短期滞在手術基本料のいずれかが算定されます。
医師が入院の必要があると判断
入院と扱われるためには、医師が入院の必要があると判断していなければいけません。
病院に入院して入院医療が必要
入院と扱われるためには、単に外来用のベッドで治療を行ったということではだめで、入院用の病床に入ることが必要です。
病床には、長期の療養が必要な場合の療養病床、結核患者のための結核病床、感染症患者のための感染症病床、精神疾患の患者のための精神病床、それ以外の患者の一般病床の5種類があります。当たり前ですが、入院する病床がなければ入院にはなりません。
覚醒、休養等の目的ではだめ
厚生労働省の「平成26年3月5日保医発0305第3号「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」」では「眼科、耳鼻科等において手術を行い、同一の日に入院及び退院した場合、医師が入院の必要を認めて病室に入院させて入院医療が行われた場合」は入院になるとしています。
ただし、「単なる覚醒、休養等の目的で入院させた場合」は入院基本料あるいは特定入院料は算定しないとしています。覚醒とは目を覚ます、意識をはっきりさせることです。病院に入院した場合でも覚醒や休養等の目的では入院と扱われないということになります。
日帰り手術と日帰り入院手術の違い
同じ考え方で日帰り手術と日帰り入院手術の違いも考えることができます。
日帰り手術
日帰りで手術をしたけれども、医師が入院する必要はないと判断した場合は日帰り手術となります。この場合は領収書の入院料等に数字が記入されません。
日帰り入院手術
日帰りで手術をして、医師が入院する必要があると判断した場合で、入院用の病床で入院医療が行われ場合には日帰り入院手術になります。この場合は領収書の入院料等に数字が記入されます。