所得補償保険と団体長期障害所得補償保険の違い
記事作成日:2015年10月6日
最終更新日2015年10月20日
所得補償保険と団体長期障害所得補償保険(GLTD)については、所得補償であるという点は共通していますが、保険金支払期間の違いだけではなく、所得補償保険は就業不能を補償する一方、団体長期障害所得補償保険は所得喪失を補償する点が違います。
ただし、所得補償保険には個人向けと団体向けがあり制度設計が異なっている場合があることや、所得補償保険には、同様の保障内容の個人で加入可能な就業不能保険があり一定年齢まで補償を行っている場合があることに注意が必要です。
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所得補償保険と団体長期障害所得補償保険の違い
団体長期障害所得補償保険は団体用
団体長期障害所得補償保険は団体向けの保険となっています。勤務先の企業や職業団体などを通じて保険に入ることになります。そのため、団体長期障害所得補償保険は普通に加入しようと思っても加入することができません。団体向けではない長期の所得補償保険は極めて選択肢が限られているのが現状です。
通常の所得補償保険は1年や2年の補償
所得補償保険は一般に保険金の支払い対象となる期間が1年や2年となっているものが多いです。ただし、就業不能保険という名称で生命保険会社から販売されている所得補償保険と同様の保障内容の保険では65歳までといったように退職前後の年齢まで支払われるような場合があります。
団体保険としての所得補償保険は団体長期障害所得補償保険までのつなぎといったような形の位置づけとなっている場合があり、団体長期障害所得補償保険の免責日数分だけ加入するような場合もあります。
団体長期障害所得補償保険は長期の補償
団体長期障害所得補償保険は保険金の支払い対象となる期間が5年や10年といったように長期となっています。また、60歳といったように一定年齢に達するまでを保険金の支払い対象としている場合があります。
団体長期障害所得補償保険は免責期間が長い
一般に団体長期障害所得補償保険は免責期間が1年程度といったような形で長めに設定されているものが多いです。長期の所得喪失に限定して補償することで保険料を抑えるほか、短期間の所得喪失には所得補償保険など別の方法により対応することが想定されています。
一方、通常は所得補償保険の免責期間は短くなっています。ただし、就業不能保険という名称で生命保険会社から販売されている所得補償保険と同様の保障内容の保険では免責期間が長くなっていますが、免責期間中は公的社会保障により収入の補填が行われることが想定されているためです。
所得補償保険は全く働けない場合を補償
所得補償保険は全く働けない場合を補償します。そのため、軽い作業なら働けるというような場合は保険金は支払われなくなります。少しでも働けると保険金が下りなくなるので、団体長期障害所得補償保険と比較すると補償される場面が限られます。
長期障害所得補償保険は所得が減少した場合も補償
所得補償保険は通常全く働けない状態になった場合に保険金が支払われますが、長期障害所得補償保険は障害が発生する前の所得に対して、所得がが一定割合以上減少した場合も保険金が支払われます。つまり、少しだけ働けるようになって復職していても所得が大幅に減っていれば保険金が支払われる場合があります。ただし、通常は免責期間中は全く働けない状態であることが条件とされています。
長期障害所得補償保険は物価調整があることも
民間の保険はインフレに弱いということが弱点の1つでしたが、団体長期障害所得補償保険には物価調整機能がついている場合があります。物価が上昇した場合に保険金が増加するような仕組みです。
所得補償保険は保険金支払いの通算上限日数がある
所得補償保険は1年ごとの更新型の契約でも、最初の契約と更新後の契約を通算して、保険金の支払い日数に上限が設けられていることがあります。
違う点 | 所得補償保険 | 団体長期障害所得補償保険 |
---|---|---|
契約対象 | 個人・団体向け | 団体向け |
支払対象 | 就業不能 | 一定の所得の喪失 |
支払期間 | 1年や2年が多い | 5年や10年、一定年齢まで |
免責期間 | 短い | 長い |
物価調整 | なし | ある場合も |
(備考)上記に当てはまらない場合もあります。
所得補償保険と団体長期障害所得補償保険の共通点
病気やケガを補償
所得補償保険や団体長期障害所得補償保険は病気やけがによる身体の障害状態を補償します。
入院だけでなく自宅療養なども補償
病気やけがで入院しているだけでなく、医師の治療を受けているため自宅で療養している場合も保険金が支払われることがほとんどです。ただし、一部例外があり入院の場合だけを補償するようなプランもあります。
24時間、業務中・業務外を問わず補償
病気やけがについては時間の限定がなく24時間、業務中や業務外の日常生活中でも補償対象となります。国内でも国外でも免責事由などに該当しない限り補償対象となります。
所得の一定割合までしか保険金を設定できない
所得補償保険や団体長期障害所得補償保険は所得の減少を補償する保険です。そのため、所得の一定割合の範囲内で保険金を設定することになります。
団体向けなら割引あり
団体向けの所得補償保険や団体長期障害所得補償保険は団体割引や損害率による割引などの適用がある場合があり、比較的割安な保険料で加入することができます。
基本的に更新型
所得補償保険や団体長期障害所得補償保険は基本的に保険期間は1年といったように契約する更新型の保険です。そのため、年齢が上がると保険料は上がっていきます。ただし、就業不能保険という名称で生命保険会社から販売されている所得補償保険と同様の保障内容の保険では保険料が上がらない仕組みとなっています。
地震や津波はプランによっては補償対象外
地震や津波、噴火によるケガは保険のプランや特約の付帯の有無によって補償の対象となる場合とならない場合があります。地震などを補償するプランや特約が設定されていない場合もありますので注意しましょう。
精神障害はプランによって補償外の場合も
精神障害はプランや特約によっては補償される場合がありますが、補償の対象外となっている場合も多いです。また通常、精神障害には保険金の支払期間に制限が設けられています。
保険金は非課税
所得補償保険は病気やけがではたくことが出来なくなり給料がもらえなくなったり収益が得られなくなった時の補填として損害保険金が支払われます。国税庁のホームページによるとタックスアンサー
の所得税
の保険金を受け取ったとき
のNo.1760 所得補償保険の保険金を受け取ったとき
で次のように説明されています。
所得補償保険の保険金は、身体の損害に基因して支払を受ける保険金に該当するので非課税とされています。
まとめ
- 団体長期障害所得補償保険は勤務先などを通じて加入する保険です。
- 所得補償保険や団体長期障害所得補償保険の最も重要な違いは、所得補償保険は就業不能が補償されるのに対して、団体長期障害所得補償保険は一定の所得の喪失が補償されるということです。