保険はインフレに弱い
記事作成日:2016年7月3日
保険に加入する時に注意しなければいけない事の1つが保険はインフレに弱いということです。ほとんどの保険は保険金額は固定されてしまうために、保険に加入してから物価が変動した場合には、物価の変動に対応できなくなってしまいます。そのため、保険に入った時点から保険を受け取ることが想定される時点までの期間が長くなればなるほど、インフレが大きなリスクになります。
スポンサーリンク
保険は加入時に支払われる金額が定められる
医療保険であれば入院したら入院1日当たり5,000円や10,000円、がん保険であればがんと診断されたら100万円、死亡保険なら死亡したら1,000万円、個人年金保険であれば1年当たりの年金額が50万円といったように、多くの保険では保険時に保険事故が発生した場合の保険金の支払金額が定められて固定されます。
これは当たり前のことのように思えるのですが、物の値段が変化してしまうと、もらえる保険金のありがたみが変わってきてしまいます。
物価が上昇すると保険のありがたみが薄れる
医療保険は、医療費に備えるだけでなく、病気やけがなどもしもの時の生活保障に使うことを目的に加入する場合があります。病気やけがで入院してしまうと収入が減少してしまうことが多く、収入の補うために医療保険の保険金をあてにするという感じです。
しかし、モノの値段が変化していると保険金のありがたみが変わってしまいます。例えば、加入時には1日2,000円もあれば十分な食事や生活ができたにも関わらず、モノの値段が上がって加入時と同じ食事をするためには1日5,000円は必要というような状況になると、入院1日当たり10,000円の入院給付金は、当初5日分の生活費用となるはずだったのに(10,000÷2,000=5)、保険金をもらう時には2日分の生活費用にしかならない(10,000÷5,000=2)といったようなことが発生します。
加入時点から保険金をもらう時点までが長いほどリスクがある
保険に加入した時点から保険金をもらうと想定される時点までが長くなれば長くなるほど、インフレのリスクが大きくなります。まず期間が長くなればなるほど、何が起こるか分からないということがあります。更に毎年同じ物価上昇率だったとしても、1年だけ物価が上昇するのか、20年や30年物価上昇が続くのかどうかは大きな違いだからです。
20代の頃に60代に保険金をもらうことが想定される保険を契約したとすると、加入から保険金をもらうまで40年程度ありますが、40年の間に何が起こるか分かりませんし、物価が上昇したら保険金の価値が大きく目減りしてしまう可能性があります。
極端なインフレが進んだら保険が事実上無価値に
極端なインフレが進んでしまうと保険が事実上無価値になってしまうリスクがあります。物価が100%上昇、つまりモノの値段が2倍になると保険金の価値は2分の1になってしまいます。当初は保険金1÷モノの値段1=1とすると、物価が2倍で保険金1÷モノの値段2=1/2となります。
物価がさらに急な上昇をしてしまうと、保険の実質的な価値がほとんど失われてしまい、保険をもらう時にはほとんど価値がないようなお金になってしまったということも起こる可能性があります。
将来のことは予測ができませんが、保険に加入してもインフレが発生すると、肝心な時に役に立たないリスクがあることは意識しておく必要があります。
本当に必要なお金は自分で蓄えるのが望ましい
将来必要になるお金は保険を利用して貯めるのではなく、自分自身で貯めることが望ましいです。もし物価が変動しても自分が自由にできるお金であれば、株式などの金融資産や不動産などの実物資産に投資することで、インフレの恩恵を受けることができる可能性があるからです。
しかし、保険という形になっていると、解約しない限りは自分ではどうすることもできず、物価が上昇しても価値の目減りを防ぐことができません。
保険に加入するのは自分では蓄えるのが難しいような死亡時の保障や、賠償責任に対する補償、家屋などの損害に対する補償など最低限にすることが重要です。
まとめ
- 保険は加入する時に保険金の金額が決まる場合が多いため、保険に加入してから物価が上昇すると、保険金の価値やありがたみが失われてしまう場合があります。
- 保険に加入した時から、保険金を受け取る時までの期間が長くなれば長くなるほど、インフレによって影響を受けるリスクが高くなるので、インフレが保険の価値を損ねることがあることに注意しましょう。