経験科学とは
記事作成日:2019年4月17日
経験科学(Empirical science)とは、科学の分類方法の1つで、自然や社会の実際に経験できる現象・事象を実験や観察などによって実証し研究する科学を意味し、自然科学、社会科学、人文科学が含まれます。経験科学は、数学や論理学など理論的・論理的に構築された記号や式の規則、推論などによって成り立つ形式体系を対象する形式科学と対比される形で用いられます。
科学 | 経験科学 | ・自然科学 ・社会科学 ・人文科学 |
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形式科学 |
(出典)fromportal.comの担当者が作成
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経験科学の特徴
経験科学はその名の通り実際に経験できる現象・事象を対象とした科学です。純粋に理論だけで本質を解明しようとするのではなく、実験や観察などの経験的な手法によって現象・事象を解き明かして、得られた知識や経験を理論化・体系化していきます。
経験科学の分野の例
経験科学の例としては、大きな括りで自然科学、社会科学、人文科学(人文学)が含まれます。数学や論理学、統計学などの形式科学の分野は経験科学に含まれません。応用科学のうち、自然科学、人文科学、社会科学などの経験科学を基礎として、経験的な現象・事象を対象とする分野も経験科学に含まれます。
自然科学
自然科学とは、自然の現象・事象を対象とする科学で、物理学、化学、生物学、地球科学(地球惑星科学)、宇宙科学(天文学)などが含まれます。
社会科学
社会科学とは、人間の文化的なものを除いた人間社会の現象・事象を対象とする科学で、法学、政治学、経済学、経営学、社会学、教育学などが含まれます。
人文科学(人文学)
人文科学(人文学)とは、人間社会の現象・事象の中で人間の振る舞いや人間の文化を対象とする科学で、歴史学、地理学、文学、心理学、哲学、宗教学、芸術学、言語学、人類学などが含まれます。
応用科学のうち経験的な現象・事象を対象とするもの
応用科学とは、基礎科学(自然科学・人文科学・社会科学)などに基づく知識や経験を応用し、実践的・実用的な領域を研究する科学です。応用科学のうち、経験的な現象・事象を対象とする工学、農学、医学、薬学などは経験科学となります。一方、計算機科学を応用科学とみなす場合、計算機科学のうち理論的な領域は経験科学ではなく形式科学となります。
まとめ
- 経験科学とは、科学の分類の1つで、実際に経験できる現象・事象を対象とする科学のことを意味し、自然科学、社会科学、人文科学などが含まれます。
- 経験科学と対比されるのが形式科学で、形式科学は実際に経験できる現象・事象ではなく理論的に構築された記号や式の規則、推論などによる形式体系を対象とした科学で、数学や論理学などが含まれます。