基礎科学とは
記事作成日:2019年4月8日
最終更新日:2020年1月3日
基礎科学とは、世の中の様々な現象・事象の真理を追究し、得られた知識を理論化・体系化した学問領域で、特に基礎的な領域を扱うものを意味します。基礎科学には、自然に関する現象を扱う自然科学、社会に関することを扱う社会科学、人間に関することを取り扱う人文科学が含まれます。基礎科学という言葉は応用に関する部分を扱う応用科学との対比で基礎的な領域を扱う学問としてよく用いられます。
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基礎科学の例
基礎科学には、自然に関する現象を扱う自然科学、自然と対比する形で自然ではなく社会に関する現象を扱う社会科学、人間に関することを扱う人文科学が含まれます。また、数学などの一部の形式科学を含む場合と含まない場合があります。数学は自然現象ではなく、観察や実験によって扱われるわけではないためです。
また、政治学、法学、経済学、社会学などの社会科学の領域は実用的・実践的な領域を扱うため、実学と呼ばれることがありますが、基礎科学と応用科学の対比では基礎科学に分類されることが一般的です。社会科学と人文科学は社会と人間という形で分けられていますが、同一領域として扱う場合もあります。
- 自然科学:物理学、化学、生物学、惑星地球科学、宇宙科学(天文学)など
- 社会科学:政治学、経済学、経営学、法学、社会学など
- 人文科学:歴史学、文学、心理学、哲学、芸術学、言語学、教育学、宗教学など
- 形式科学の一部:数学、論理学など
基礎科学は真理の探究が中心
基礎科学は自然や社会、人間に関する現象・事象の真理を探究するという活動が中心となります。いわゆる基礎研究と呼ばれる言葉とも重なりますが、学問の成果を産業や生活への利用するというよりも、自然現象や社会・人間に関することで分からないことを解き明かす、という部分が大きくなります。人類による知識の探求という点では根幹をなす学問となります。
基礎科学は産業や生活への応用の基礎となる
基礎科学は、直接的には実用的でないことを対象とする場合もありますが、他の分野の新たな発見につながったり、しばらく後で重要な技術の基礎的な背景となったりすることもありますし、実用的でないから意味がないと言えるものでもありません。基礎無くして応用なしとも言えます。基礎科学があるからこそ、応用科学につながり、技術が生み出されていくのです。
基礎科学と対をなすのが応用科学
基礎科学という言葉は応用科学との対比で良く用いられます。名前の通り、基礎科学が基礎、応用科学が応用を対象としていて、基礎科学は現象について解き明かす、応用科学は得られた知見を産業や生活などに応用するという役割の違いがあります。ただし、基礎科学と応用科学は完全に基礎と応用にきれいに分かれているわけではなく、基礎と応用が入り組んでいて厳密に分けられているわけではありません。
基礎科学は役に立つのか
基礎科学は学術的な発展には役に立っても、直ぐに経済的な価値をもたらすという意味で役立つかと言えばそうとは限りません。基礎科学における発見は、直ぐに新しい技術に結びついて新商品を生み出すとは限らないのです。つまり、経済的な意味で役に立つか役に立たないかで言えば、直ぐには役に立たないことも多いのです。
しかし、すぐには役に立たなくても、数年後、数十年後に役に立つ可能性がありますし、経済的な価値をすぐに見いだせない場合でも、科学の発展という点からは価値を見出すことができるのです。当初は意味がない、役に立たないと思われていることでも、後の世で重要な意味を持つことがあり得るのです。今の時点では新たな発見に正しい価値をつけること自体が難しいこともあるのです。基礎科学を疎かにしてはいけないのです。
まとめ
- 基礎科学とは、自然や社会・人間に関する現象や事象について研究し、解明された知識を体系的・理論的にまとめた学問領域を意味します。
- 基礎科学には、一般的には物理学、化学、生物学などの自然科学、政治学、経済学、法学などの社会科学、歴史学、文学、心理学などの人文科学が含まれます。数学などの形式科学の一部は含む場合と含まない場合があります。