人文科学(人文学)とは
記事作成日:2019年4月12日
人文科学(humanities)とは、人間社会に関する現象・事象のうち主に人間の振る舞いや人間の文化に関する領域を研究することによって、人間の振る舞いや文化について解き明かし、得られた知識や経験を理論化・体系化した科学の一分野となります。人文科学は科学的な研究方法の実験を適用できない場合があるため科学ではないため人文学だとされる場合があります。
人文科学(人文学)の英語の表記は、自然科学(natural science)や社会科学(social science)と異なり人文科学(人文学)(humanities)には科学(science)の言葉が入っていません。
自然科学と対比する形で社会科学という場合は、社会科学の中に社会科学と人文科学が含まれる場合(があります。この場合、「人文社会」科学と表現されることもあります。日本では、自然を扱う自然科学、社会を扱う社会科学、社会のうち人間を扱う人文科学と3つの分野に分けることが多いです。
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人文科学(人文学)の分野の例
人文科学(人文学)の分野の例は、社会科学の分野と境界が曖昧なものもありますが、概ね次のような学問領域が含まれます。
- 歴史学
- 地理学
- 文学
- 心理学
- 哲学
- 宗教学
- 芸術学
- 言語学
- 人類学
歴史学
歴史学は、過去に起こった現象・事象について研究を行う学問領域です。歴史学の分野としては、地域別であれば西洋史、東洋史などがあり、時代別であれば古代史、中世史、近世氏、近代史、現代史などがあります。社会の分野ごとであれば経済史、政治史などがあります。
地理学
地理学は、地球の表面上の空間の自然と人類の文化や経済・社会などについて研究を行う学問領域です。地形や生態などを扱う自然に関する領域である自然地理学は自然科学の領域ですが、人類の文化や経済・社会などについて取り扱う人文地理学は人文科学の領域とされています。
文学
文学は、人間の言葉の表現によって創られた芸術的な作品について研究を行う学問領域です。言葉によって表現された作品はその言葉や地域の文化を示しているため、各国別の文学作品ごとに研究領域が形成されています。例えば、日本文学、アメリカ文学、イギリス文学、フランス文学といった形です。
心理学
心理学は、人間の心の動きや行動などについて研究を行う学問領域です。心理学は、大きく分けると人間の心や行動について解き明かす基礎心理学と、基礎心理学によって得られた知見を実際に役立てようとする応用心理学の2つの分野に大別することができます。
哲学
哲学は、世界の根本的な原理や人生とは何かということについて研究を行う学問領域です。宗教学に違い領域となる部分があります。哲学の分野は、形而上学、認識論、倫理学、美学、政治哲学、社会哲学、科学哲学などがあります。
宗教学
宗教学は、人間の文化的な活動のうち、宗教について研究を行う学問領域です。宗教学の分野には、比較宗教学、宗教史、宗教心理学、宗教人類学などのほか、各宗教について研究する領域もあります。
芸術学
芸術学は、人間の視覚や聴覚などに働きかける表現である芸術について研究を行う学問領域です。言語表現は文学の対象となっているため、文学以外の視覚に対して表現する絵画、彫刻、建築、工芸、写真などの視覚芸術や表現者の動きなどによって表現される音楽、ダンス、演劇などの舞台芸術が研究対象となります。
言語学
言語学は、人間が話したり書いたりする言語について研究を行う学問領域です。言語学の分野には、文字論、語彙論、意味論、文法論、音韻論、音声学、比較言語学、言語地理学などがあります。
人類学
人類学は、人間そのものを研究対象としていて、過去から現在に至る人類の文化の発達や人間の生物学的な発達について研究する学問領域です。人類学の分野には、自然人類学、文化人類学、社会人類学、考古学、民俗学、民族学などがあります。
まとめ
- 人文科学(人文学)とは、人間社会に関する現象・事象のうち主に人間の振る舞いや人間の文化に関する領域を研究し、得られた知識や経験を理論化・体系化した科学の一分野で、人文学ともいい、基礎的な領域のことを意味します。
- 人文科学(人文学)の分野の例として、歴史学、地理学、文学、心理学、哲学、宗教学、芸術学、言語学、人類学などがあります。