高潮による災害被害と対策・防災
記事作成日:2016年12月31日
高潮による災害被害と対策・防災についてです。高潮とは、台風や低気圧などによって海面が上昇することで、台風や低気圧が海岸沿いを通過する際は、海面が上昇するため、沿岸部で浸水被害が発生しやすくなります。風によって波が強くなる場合、満潮などによって潮位が上がっている時は特に高潮による災害への警戒が必要になります。
スポンサーリンク
高潮とは
台風や低気圧が海岸沿いの沿岸部を通過する時には、海面が高くなることがありますが、台風や低気圧によって海面が上昇することを高潮といいます。高潮の時には、海水が海岸沿いの防潮堤などを乗り越えて陸地の浸水被害が発生することがあります。
台風や発達した低気圧では海面が高くなる
気圧とは空気が押す圧力の強さを示していますが、気圧が高いということは空気が海を押す力が強いということになるため海面は低くなります。一方で気圧が低いということは空気が海を押す力が弱いということになるため海面は高くなります。
中心の気圧が低い台風や発達した低気圧では、空気が海を押す力が弱くなるため海面が高くなります。台風や低気圧が海面を吸い上げているような状態になるため、低気圧によって海面が押し上げられることを吸い上げ効果と言います。
吹き寄せ効果による海面の上昇
台風や強い発達した低気圧などによって強い風が海から海岸に向かって吹くと、海水が風によって海岸に吹き寄せられて、海岸付近の海面が上昇します。風によって海水が吹き寄せられて海面が上昇する現象を吹き寄せ効果と呼びます。吹き寄せ効果によって海面が上昇すると高潮の被害が発生しやすくなります。
奥が細くなる湾は高潮によって海面が上昇しやすい
地形によっては吹き寄せ効果による海面上昇の影響が大きくなることがあります。例えば、湾の水面が湾の奥に向かうにつれて狭くなっていく場合には、吹き寄せられた海水が狭い場所に集められていくので海面の上昇が大きくなることが知られています。
潮汐による海面の上昇
台風や低気圧による海面の上昇に潮汐による海面の上昇が加わることで被害が拡大してしまうことがあります。
地球の周りを回っている月による引力などの影響によって海面は高くなったり低くなったりしています。周期的に海面が高くなったり、低くなったりすることを潮の満ち引き(潮汐)と言います。
潮の満ち引きによって、海面が高くなる時(満潮時)には高潮などの被害が発生しやすくなるために注意が必要です。一方で、海面が低くなる時(干潮時)には高潮などの被害が満潮時と比べると抑えられます。
台風や低気圧などによって高潮などの被害が警戒される場合には、被害が懸念される時間が満潮と重なるかどうかに注意する必要があります。
台風や発達した低気圧が通過する時は高潮に注意
高潮は台風や発達した低気圧による吸い上げ効果によって海面が押し上げられて発生します。日本の高潮被害は基本的に台風が原因となります。台風が湾を通過する際に強い風の影響もあって、海面が上昇し陸地の広い範囲を浸水する被害が発生したことがあります。潮の満ち引きのタイミングが満潮に重なった場合には被害が大きくなります。
台風は接近すると大雨や暴風で避難がしづらい
台風は事前に接近が予想されるため、湾沿いに住んでいる場合には強力な台風が接近している場合は安全な場所に避難することで身を守ることができます。
しかし、台風の進路予想は外れることがあり、接近を予想していなかったのに急に接近することもあります。また、台風が接近すると大雨や暴風によって避難がしづらくなってしまうことがあります。そのため、事前にある程度被害の予測がしやすい台風であっても逃げ遅れてしまうことがあるのです。
台風や発達した低気圧では大雨による洪水にも注意
台風や発達した低気圧が接近している時には、海からの高潮や高波の被害だけでなく、陸地部分に大雨が降ることで河川が氾濫したり(外水氾濫)、大雨の排水が追い付かず浸水してしまったり(内水氾濫)し、洪水の被害が発生する恐れがあります。日本ではどの地域でも台風や発達した低気圧の被害が発生する可能性があります。
高潮による災害への対策・防災
住んでいる地域の標高や浸水の可能性を知る
高潮などの浸水被害を減らすためには、まず自分が住んでいる地域の標高や浸水被害の発生の可能性を知ることが重要です。高潮による浸水に限らず、河川の氾濫(外水氾濫)や大雨による浸水(内水氾濫)、津波の場合にも標高や浸水被害の発生の可能性を知っておくことは有益です。
ハザードマップを確認する
地域のハザードマップなどを確認して、標高が低い地域に住んでいる場合には高台の場所や避難経路を確認しておきましょう。ただし、非常時には移動が困難になる可能性があるため、移動が難しくなった場合に近くに逃げ込めるような安全な場所はないかといったことも確認しておきましょう。
浸水を防ぐための準備をしておく
甚大ではないけれど、自宅が浸水する可能性がある程度の洪水に対しては自宅の浸水対策をしておくことも有効です。自宅の浸水の可能性が高い地域に住んでいる場合は土嚢や止水板などを準備しておいて、いざという時の浸水被害を減らせるようにしておくと良いでしょう。ただし、避難した方がいいような場合は早めに避難しましょう。
危険が予測される場合は早めに避難
危険が予測される場合は早めに避難することが重要です。台風や低気圧が接近してからでは移動が難しくなる場合がありますし、浸水してから移動すると足下が見えないために、道路沿いの溝・水路やマンホールなどに落ちてしまう危険性が高まっていることがあります。無理な避難はかえって危険なことがあります。
まとめ
- 台風や発達した低気圧は海面を押す力が弱いため、台風や発達した低気圧がある海域では海面が高くなります。
- 風が海から陸地に向かって吹き付けている場合、湾など奥に向かって海域が狭くなっているような地形の場合、満潮の場合などには高潮の被害が発生しやすくなるため注意が必要です。