保険と貯金のメリットやデメリットの比較
記事作成日:2015年5月5日
最終更新日:2016年1月3日
非常時や緊急時の大きな出費に備える方法のうち、保険、貯金、借金について、メリット(利点)とデメリット(弱点)を比較します。保険は加入後すぐに保障(補償)が得られますが保障(補償)範囲が限られていて保険料が必要です。貯金は貯まるまでリスクへの対応が難しいですが、あらゆるリスクに対応できます。
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保険のメリットとデメリット
保険のメリット(利点)、デメリット(弱点)についてです。
メリット1:高額な出費に対応できる
保険は、たくさんの人が加入して資金を集め、保険事故に対応するものなので自分一人では備えができないような高額の出費にも対応できる点で非常に優れたものです。
メリット2:最初から高額の保障(補償)
貯金は三角、保険は四角と言われるように、貯金は貯め始めてから徐々に貯まっていくため貯まるまでは備えは薄くなります。一方で保険は最初から高額の保障(補償)が得られるので、時間の経過に関わらず最初から高額の保障(補償)を受けられます。
デメリット1:保険料がかかる
しかし、保険には弱点もあります。1つは、当たり前ですが保険料がかかるということです。保険は、被保険者からお金を集めてそれをしっかりと管理し、保険事故が発生すれば不公平なく支払いを行うため、保険というシステムを維持・運用するだけでも莫大な費用が必要となります。保険会社は集めた保険料を運用して増やす取り組みを行っていますが、運用による増加分を考慮しても集めた保険料を100%還元することはできないため、保険契約者は費用を負担しなければいけません。保険料はそれなりに大きいため、家計を圧迫する原因になります。
デメリット2:保障(補償)は保険事故に限られる
そして、リスクに対応できる範囲が保険事故に限られているということです。つまり、保険契約に定められた保険事故に該当しなければ一銭も保険金はもらえません。特に保険の条件は細かいことが多いため、保険金が下りるだろうと思っていても、実は保険金はもらえないというようなこともしばしばあります。保険加入時に内容を詳しく理解していなかったことや、誤解、思い込みによるものも多いと思いますが、そもそも保険が複雑化してしまっているということも原因です。
デメリット3:長期間お金を拘束する
そして、生命保険などが該当しますが、長期にわたって資金を保険に拘束してしまうということも問題です。貯金を例に挙げて説明すると貯金は基本的にいつでも必要な時に好きな目的に使えます。しかし、保険は満期の時期があり、満期の前に解約してしまうと返戻金がほとんどないかあってもごくわずかになってしまう場合もあり、簡単に解約できません。保険を契約している間、ずっと保険のためだけにお金が拘束されてしまいます。自由度が少ないということです。
デメリット4:手続きに時間がかかる場合がある
保険事故が発生してから保険会社に連絡して保険金がもらえるまで、書類を整えたり、保険会社が審査をしたりする時間がかかるため、必要な時にすぐお金が手に入るわけではないという点は弱点です。最悪自分が立て替えなければならない場合もあります。その場合は、貯金が無ければ借金などでつながなければなりません。
デメリット5:基本的にインフレに対応できない
保険は基本的にインフレに対応できません。保険金額が変わる変額保険もありますが、インフレへの対策としては万全ではありません。そのため、定額の補償内容となってしまう保険は長期で契約する場合不確実性が高いことに注意が必要です。
デメリット6:告知違反のリスクがある
最後に見落とせないのが、告知違反で保険が下りないリスクがあるということです。保険加入時に保険会社が求める告知事項に答えて保険に加入することになります。わざとうその内容を回答する人は別として、多くの人は告知内容にちゃんと答えようとしているはずです。
しかし、加入時の告知の重要性が理解されていないためにあまり深く考えずに答えてしまい、告知違反になってしまうケースがあります。生命保険や医療保険であれば何年以内に病気にかかりましたかとか、何か月以内に何日以上お医者さんにかかりましたか、などと言った内容が聞かれますが、厳密に当てはめて考えなければいけません。結構前のことだとお医者さんにかかっていたのに忘れて抜け落ちてしまったり、すぐ直った風邪は関係ないと思って答えなかったりするような場合が要注意です。
悪質なものでなければ深刻な事態にならないこともありますが、長年保険料を払ってきたのに、ちょっとした誤解や勘違いから告知違反で、いざ保険事故が起きた時に保険金がもらえないというのは大問題です。
貯金のメリットとデメリット
貯金のメリット(利点)、デメリット(弱点)についてです。
メリット1:いつでも使える
貯金の強みはまず、いつでも使えるという事です。定期預金で解約が必要などの場合は少しだけ手間がかかることもありますが、基本的に、必要な時にすぐ使えます。これはとても大事なことです。
メリット2:あらゆるリスクに対応できる
そして利用目的が限定されていなくて自由であるということです。これも大事なことです。ありとあらゆる金銭的なリスクに備えることができるため、非常に貴重なリスクへの備えになります。
メリット3:資産運用も自由
そして、運用方法も自由です。貯金は自分が好きな方法で運用しておくことができます。リスクに備えている間も資産運用を行うことができます。安全に行くなら銀行預金でもいいいわけですし、一部でリスクを取った投資もできます。
メリット4:費用はかからない
自分のお金ですから、リスクに備える手段として費用が発生することはありません。
デメリット1:貯まるまでは補償が薄い
一方で弱点もあります。当たり前ですが、貯まるまでは使えないということです。貯金が全くないという人もたくさんいるかと思いますが、貯金はないと使えません。収入が少ない時、貯金ができづらい時ほど、リスクへの対応が大切なのですが、お金が無ければ他の手段に頼らざるを得ません。
デメリット2:高額の出費への対応は困難
そして、もう一つの問題が高額の出費に備えることはまず不可能であるということです。例を挙げると自動車事故を起こしてしまい数千万円の賠償責任を負ってしまったとします。その場合、余裕で支払えるほど貯金がある人はほとんどいないと思います。余裕で払えれば保険に加入する必要はあまりありませんが、払えないから保険に加入することになります。
借金のメリットとデメリット
リスクに備える手段としてみた場合の借金のメリット(利点)、デメリット(弱点)についてです。通常の借金のメリット、デメリットという意味ではありません。
メリット1:貯金がなくても利用できる
借金の枠を作っておいていざというときに備えるということの利点は、まずはお金が貯まってなくてもいいという点です。貯金を始めたばかり、家計改善を始めたばかりの頃で、保険にたくさんはいれるほど余裕がまだない時などに一時的に活用できる方法です。
メリット2:自由なタイミングで使える
借金は枠を確保しておけばいつでも使えるということはメリットです。事前に使えるようにしておくというのがポイントです。
メリット3:利用目的が比較的自由
資金の利用目的も比較的自由であるということもメリットです。もちろん利用規約に限定があるはずですのでその範囲内で使いましょう。
メリット4:使わなければ費用が発生しない
保険と異なる点は、借金は出費が発生して借りなければ金利は発生しませんが、保険料は保険事故の有無にかかわらず発生するという点です。
デメリット1:高額の金利が発生
デメリットもあります。高額の金利が発生するということです。
デメリット2:返さなければいけない
当たり前ですが、借金なので返済が必要です。保険は保険事故に該当して保険金を受け取れば返済義務はありません。貯金は使えばなくなりますが、返す義務はありません。そのため、返済の目途が無ければいけません。返済できないのに借りるのは絶対にいけません。地獄への入り口になってしまいます。そのため、実際に活用できる状況は限られています。
デメリット3:高額の出費への対応は難しい
高額の出費への対応が困難であるという点も弱点です。無担保で借りられるお金には限界があります。有担保なら高額の借り入れも考えられますが、返す当てがあるかという意味では難しいです。そういう意味ではリスクに備えると言っても少し性質が異なっています。
デメリット4:急に貸してもらえなくなるリスク
さらに、急に貸してもらえなくなる可能性があるというのも弱点の1つです。何か大きな出費が発生した場合、借りようとする人の信用状況に変化がある場合があり、思うように借金できない可能性があることはリスクです。
メリットとデメリットのまとめ
保険と貯金、借金のメリットやデメリットをまとめると以下の表の通りになります。貯金が十分ないうちは保険を中心に検討します。そして貯金が増えてきたら貯金でカバーできる部分は保険を外していくということになります。
借金がある場合には、借金を返済して借り入れ可能となった枠を本来は削りたいところですが、いざという時の備えのために保険や貯金で対応可能になるまで残しておくという使い方も考えられます。ただし、積極的にはお勧めできません。
対応方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
保険 | 高額保障に対応 最初から高額補償 | 保険料必要 補償が限定 資金を拘束 手続きに時間 インフレに弱い 告知のリスク |
貯金 | すぐ使える 目的が自由 運用可能 費用不要 | 貯める必要 高額対応は困難 |
借金 | 貯金が不要 すぐ使える 目的が自由 不使用時は無料 | 金利が発生 返済義務 高額対応は困難 借りられないリスク |