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リスクコミュニケーションとは・役割と効果や方法

記事作成日:2018年8月6日

リスクコミュニケーションとは、リスクが生じうる事柄について、中央政府や地方自治体などの行政機関、大学や研究所の研究者などの専門家、科学技術を利用する企業、影響を受ける地域の住民、科学技術の恩恵を受ける消費者などの関係者の間で、リスクに関する情報や意見を伝達・交換することを意味します。

リスクコミュニケーションは災害や、食品安全・化学物質・原子力などの科学技術の利用など分野で多く用いられる言葉です。リスクコミュニケーションは一方的な情報の伝達ではなく、双方向の情報や意見の伝達になります。

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リスクコミュニケーションの役割・効果

リスクコミュニケーションには次のような役割・効果があります。

信頼関係の構築に役立つ

リスクコミュニケーションを行うことは、リスクに関わる関係者、中央政府や地方自治体などの行政、大学などの学術関係者・研究者、科学技術などを利用する企業、住民、消費者などの間に信頼関係の構築に役立ちます。何も知らされていないのと、事前に知らされて納得していたのでは、信頼関係が大きく変わってくるためです。

リスクの低減に役に立つ

リスクコミュニケーションを行うことで、リスクの低減策を講じやすくなります。関係者がリスクについての情報の共有を行うことで、協力して連携した対応を行うことができるようになりますし、関係者が多数関わることで新たな提案が出てくる可能性が高まるためです。

リスク実現時に対応しやすくなる

リスクコミュニケーションによってリスクが関係者の間で共有されていれば、実際にリスクが実現してしまった場合の対応を迅速かつ正確に行うことができるようになります。どのようなリスクがあるか分かっていれば、リスクが実現してしまっても、対応策をあらかじめ定めておくことができますし、実際の対応を迅速に行うことができます。

リスクを考慮した意思決定ができる

リスクに関する正しい情報がないまま、是非について議論をすることになれば意思決定を誤ってしまうことがあります。何らかの科学技術を利用するような場合には、得られる利益とリスクについて情報を関係者間で共有し、正しく状況認識をした上で、利用するのかどうか、利用する場合の安全対策などの意思決定を行うことで、合理的な判断が出来るようになります。合意の形成や世論の説得などに役立ちます。

リスクコミュニケーションの方法

リスクコミュニケーションを実施するためには、存在するリスクを評価・分析し、リスクについて関係者間で情報を共有します。リスクコミュニケーションにおける関係者間での情報共有は、意見交換会や勉強会の開催、パブリックコメント(意見募集)の実施、ウェブサイト・マスメディア・パンフレット・広報誌などによる情報の伝達など様々な手法があります。一方的なもの、押しつけ的なものにならないように双方向に意見を伝えあえるような工夫が求められます。

リスクに関係する科学技術の知識を周知・普及されることもリスクコミュニケーションとなりますが、科学技術の知識を伝える科学コミュニケーションでは不十分で、リスクについての情報交換が必要となります。

許容するリスクの違いとリスクコミュニケーション

関係者間で許容するリスクに対する考え方が違っていると、リスクコミュニケーションが上手くいかないことがあります。許容できるリスクの違いを認識し、差に対応する、差を埋めていくこともリスクコミュニケーションの重要な役割であると言えます。

例えば、ある有用な科学技術に対して、利用する側は一定のリスクを許容しているのに対して、影響を受ける住民側はゼロリスクを求めているような場合です。利用者側がリスクは小さいと説明しても、住民側はゼロリスクを求めているので、リスクがあるため受け入れることができません。

リスクを限りなく低くしていくことは重要ですが、コストとの関係がありますし、完全なゼロリスクを実現することは通常はかなり難しいことがあります。ゼロリスクを求める場合には、その科学技術の利用をしなければいいということになるため、利用側と受け入れる側で議論がかみ合わないことがあります。

リスクがあっても利益が大きいから利用すべきという考え方と、利用しなければリスクを負うことはないというゼロリスクの考え方はどちらも一理あり、関係者の間でどちらにすべきかを議論すべき問題であって、どちらが望ましいというものでもないと考えられます。

リスクの説明に対する不信感

リスクコミュニケーションは、関係者間で不信感があると上手く機能しないことがあります。リスクに関する情報の一部を開示しない、誤った情報を開示する、特定の関係者に利益があるような情報のみを開示する、リスクを過少に伝達するなどによって、不信感が生まれてしまうと、疑心暗鬼が生じてリスクコミュニケーションの効果が損なわれることがあります。

安全であるにもかかわらず、安全だと思われない、安心だと思われない場合にリスクコミュニケーションは有効な手段となりえますが、一方的に意見を誘導しよう、都合がいいように意見を形成しようとしてしまうと、かえって不信感を高めてしまうことがあります。

まとめ

  • リスクコミュニケーションとは、リスクを生じる事項について関係者の間でリスクに関する情報や意見の交換を行うことを意味します。
  • リスクコミュニケーションによって、リスクの低減やリスク実現時の対応を効果的に行うことができるほか、正しい情報に基づく意思決定・判断が出来るようになります。また、関係者間の信頼関係構築にも役立ちます。

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【リスクコミュニケーションとは・役割と効果や方法の記事は終わりです】

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