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個人型確定拠出年金のメリットとデメリット

記事作成日:2017年7月6日

個人型確定拠出年金(iDeCo、個人型DC)のメリットとデメリットについてです。個人型確定拠出年金は運用収益が非課税となることや、60歳以降まで引き出せないため使わないで貯めておけるということがメリットになります。一方で、60歳以降まで引き出せないこと、資産運用の結果によっては減額のリスクがあること、インフレには自動的に対応していないことなどがデメリットになります。

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個人型確定拠出年金のメリット

税制優遇がある

個人型確定拠出年金は、拠出時に小規模企業共済等掛金控除の適用があり所得控除が受けられます。会社員など給与収入がある人は拠出時に所得税や住民税の軽減を図ることができます。

運用時には運用収益(フロー)が非課税となります。なお、積立金(ストック)には特別法人税課税があることになっていますが、現在課税は停止されています。将来課税が始まる可能性があります。

受取時には年金として受け取る場合は雑所得となりますが公的年金等控除の適用が、一時金として受け取る場合には退職所得となりますが退職所得控除の適用が受けられます。

60歳以降まで引き出せないため貯められる

貯金の基本は先取り貯金であるように、お金を貯めておきたい場合には手元にお金が入ったらすぐに分けてとっておくということが大切です。一度貯めたお金が簡単には引き出せないような仕組みになっていれば、なおさら貯まりやすくなります。個人型確定拠出年金は会社員の人の場合には給与天引きで掛金を拠出すれば強制的に拠出されていきます。

また、口座振替で納付する場合でもお金を使う前に振替をする口座に分けるようにすれば使ってしまうことを防げます。

さらに確定拠出年金を引き出せるのは原則として60歳以降になるため、簡単には使えないようになっています。そのため、お金をなかなか貯められないという人でも老後の生活資金を準備できます。

自己破産の際にも基本的に権利は守られる

確定拠出年金の給付を受ける権利は基本的に差し押さえが禁止されています。差し押さえが禁止されているということは自己破産をした場合でも債権者は基本的に差し押さえができないため、給付の権利は守られます。

そのため、老後の生活のために掛金を安心して拠出できることになります。これは個人型か企業型かを問いませんが、個人型の場合には自分が拠出した掛金は基本的に守られるという意味で、自己破産のリスクがある人にとっては意義があります。

確定拠出年金法第32条第1項 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、老齢給付金及び死亡一時金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押さえる場合は、この限りでない。

(出典)確定拠出年金法より引用

国の財政難や少子高齢化による減額リスクが小さい

国民年金や厚生年金保険の公的年金は国の税金や被保険者の保険料などによって支えられていますが、国の財政状況の悪化や少子高齢化による保険料収入の減少などによって、将来の給付が減少するリスクがあります。

一方で、確定拠出年金は加入者個人が拠出した掛金を財源に運営されている積立型の年金制度で、個人別に資産が管理されているため、国の財政悪化や少子高齢化の影響を受ける可能性は低いと考えられます。

ただし、国の財政悪化などを背景に特別法人税課税や税制優遇の見直しなどによって課税が強化される可能性や、定年延長など社会情勢の変化による受給可能年齢の繰り下げといった制度変更リスクがあることには注意が必要です。

受取方法で終身年金も選べる場合がある

確定拠出年金は運営管理機関によっては終身年金で受け取ることができるプランがある場合があります。終身年金で受け取りができる場合には、長い生きによって生活費が不足するリスクを軽減することができます。

個人型確定拠出年金のデメリット

自分で負担して掛金の拠出をする

個人型確定拠出年金は、自分で掛金の拠出を負担して、自分で運用する年金制度です。お金を自分で貯める形となるため、掛金拠出の負担をしてもらえる企業年金制度とは大きく異なっています。企業年金はもらえる年金といえるかもしれませんが、個人年金の一種である個人型確定拠出年金は自分で貯める年金なのです。

拠出した掛金は原則として60歳以降まで引き出せない

個人型確定拠出年金は原則として60歳以降にならないと引き出しができません。途中で脱退できる場合もありますが、条件があり限られています。

極端なことをいえば、60歳になるまでに亡くなってしまった場合、遺族給付金で遺族にお金を残すことができても、自分自身にはお金が返ってこないのです。また、60歳になるまでにお金で困ることがあって、お金がどうしても必要ということがあっても確定拠出年金は基本的に引き出せないのです。

個人型確定拠出年金に自分のお金を掛金として拠出するということは、自分のお金を確定拠出年金という制度の枠組みに一定期間閉じ込めてしまうことになるのです。優遇税制の措置にメリットがあるといっても、お金の自由度が一定期間なくなってしまうというデメリットもあり、本当に拠出してよいのか、慎重に考える必要があります。

資産運用の指図を行わないといけない

個人型確定拠出年金では、自分が運用する商品を決めて、運用方法を指図することになります。資産運用を行うためには、資産運用・投資に関する知識を学ばないといけませんし、金融市場の動向に関して情報を集めて投資判断を行う必要があります。

資産運用リスクを負い自分で増やさないと増えない

確定拠出年金は、資産運用のリスクを負い、自分で増やさないと増えません。自らの運用の指図で収益を上げていかないと年金資産は増えていかないのです。預金商品など利回りが低い資産での運用を行っていると、手数料が差し引かれることによってマイナスの運用になってしまう可能性があります。自分で増やそうとしなければ増えないのです。

資産運用の選択肢が限られている

確定拠出年金は運用収益に対して非課税となりますが、どんな運用商品にも投資できるわけではありません。確定拠出年金では、預貯金、生命保険商品、損害保険商品、MMF、投資信託への投資が基本となり、個別の株式や債券への直接投資は基本的にできません。

投資信託を活用することによって、株式や債券などに投資が可能ですが、投資信託の中に希望する運用商品がない場合には、思い通りの運用ができない可能性があります。また、投資信託には信託報酬などのコストもかかります。

拠出額に制約がありスケールメリットを得づらい

資産運用の収益は資産運用額×運用利回りで決まるため、より多くの収益を得たい場合には資産運用する額を増やすか、運用利回りを高めることになります。

しかし、個人型確定拠出年金では拠出額に限度が設けられていて、無制限にお金を運用できるわけではありません。個人型確定拠出年金では運用収益が非課税となりますが、資産運用額を増やしづらいことから運用収益の絶対額を増やすことにも制約があり、非課税のメリットにも制約がかかっていることに注意が必要です。

将来の給付額が確定しない

確定拠出年金の弱点の1つが、将来の給付が確定しないということです。確定拠出年金は自分の資産運用の成果次第で年金資産が増減し、将来の年金給付の額が変わってきます。

資産運用でリスクをとらないように預金など元本が守れるような資産で資産運用を行うことができますが、確定拠出年金のメリットである運用収益に対する非課税の優遇措置を活かすことができないため、敢えて確定拠出年金を利用する意義が薄れてしまいます。

将来の給付額が確定しなければ、老後の生活設計がしづらくなります。

インフレに自動的には対応しない

確定拠出年金は国民年金や厚生年金のように自動的にインフレに対応するような物価スライドの仕組みはありません。物価が上昇していく過程で、株価が上昇すれば、株式を含む投資信託で運用している場合にインフレへの対応ができますが、預金や保険商品などで運用していた場合には、インフレに対応できず、実質的に資産を目減りさせてしまう可能性があります。

確定拠出年金で積立を行う場合には、物価の上昇にも意識を払う必要があります。

掛金拠出が家計を圧迫する可能性がある

個人型確定拠出年金は自分の負担で掛金を拠出するため、掛金の拠出が家計の負担になる可能性があります。掛金の拠出は停止することも、拠出額を変更することもできますが、家計の状況に応じて負担がかからないような拠出額に設定する必要があります。

もし家計の状況が厳しく、赤字すれすれ、あるいは赤字に陥っている場合には、掛金拠出をするよりも家計の改善を図った方が良い場合があります。家計に余裕がなければ拠出が難しいのです。

手数料の負担がある

個人型確定拠出年金を行う際には、口座開設・拠出・運用・給付・還付といった場面で各種手数料の負担が発生します。企業型確定拠出年金の場合には、口座管理などの手数料は企業が負担してくれる場合も多いのですが、個人型確定拠出年金の場合は自分が負担することになります。

毎月発生する手数料を上回る収益を上げないと拠出の意味が薄れてしまうため手数料負担には注意が必要です。

年金や一時金の受け取り時に課税される可能性がある

高齢者になったことを原因として個人型確定拠出年金を受け取る場合には、年金であれば雑所得となる公的年金等控除の適用が、一時金であれば退職所得控除の適用がありますが、他に公的年金や企業年金、退職金がある場合には、控除の枠を使い切ってしまい、確定拠出年金の受け取りには税制優遇のメリットが得られないことがあります。

確定拠出年金は、運用収益は非課税ですが、受取時に課税されてしまっては税制優遇措置のメリットが薄れてしまいます。年金や退職金が多い人は要注意です。

特別法人税課税の可能性がある

確定拠出年金の運用収益(フロー)は非課税となっていますが、年金資産の積立金(ストック)には特別法人税が本来課税されることになっています。特別法人税課税は確定拠出年金の利用を促進するため、現在凍結されていますが、将来凍結が解除される可能性もないとは言えません。

年金資産に対する特別法人税課税が行われると運用収益に対する非課税の優遇措置の意義が薄れることになり、確定拠出年金で運用するメリットが大きく失われてしまう可能性もあり注意が必要です。

税金を滞納した場合などは差し押さえられる可能性がある

確定拠出年金の給付を受ける権利は基本的に差し押さえが禁止されていますが、所得税や住民税といった税金などを滞納していると、差し押さえ処分を受けてしまう可能性があるため注意が必要です。

税金は真っ先に払っておくということが鉄則です。給与天引きの税金などは滞納の可能性は低いのですが、天引きではなく自分から支払をすることになる特別徴収の住民税や固定資産税などは注意が必要です。

まとめ

  • 個人型確定拠出年金は運用収益が非課税となること、60歳以降まで引き出せないため貯めることができるということがメリットです。
  • 一方で、個人型確定拠出年金は、60歳以降まで引き出せないこと、資産運用の結果によっては減額のリスクがあること、インフレには自動的に対応していないことなどがデメリットになります。

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【個人型確定拠出年金のメリットとデメリットの記事は終わりです】

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