基礎年金と国民年金の違い
記事作成日:2017年7月21日
基礎年金と国民年金の違いについてです。基礎年金と国民年金はほぼ同じ意味で用いられ、当サイトでも基本的にほぼ同じ意味で用いていますが、厳密には違う言葉です。国民年金は日本に住む20歳以上60歳未満の人が原則として全員が被保険者として加入する年金制度を指していて、基礎年金は国民年金から支給される給付(年金)を指しています。実際には「基礎年金=国民年金」として言葉を使っても問題はないのですが、実は違うものを指している言葉なのです。
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国民年金とは
国民年金とは、老齢や障害、死亡によって国民の生活の安定が損なわれることがないように、老齢や障害、死亡の際に基礎年金を給付し、生活の最低限の保障を行うための年金制度で、原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は全員被保険者として加入します。
一定の条件を満たした場合には、老齢、障害、死亡に対応して老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金がそれぞれ支給されます。
基礎年金とは
基礎年金とは、老齢・障害・死亡を原因として国民年金から支給される老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の総称で、老齢・障害・死亡の際に生活保障のために支給される基礎的な年金です。
老齢・障害・死亡といった生活が不安定になりやすい、いざという時に日本に住む人に共通して支給され、生活保障の土台となる年金であるため、基礎年金と言われます。
「国民年金≒基礎年金」でも厳密には「国民年金≠基礎年金」
国民年金と基礎年金はほぼ同じ意味で用いられます。同じ意味だという認識で国民年金と基礎年金という言葉を使っても実際に問題が生じることはほとんどないと思います。ただし、厳密には、国民年金と基礎年金は同じものではありません。
国民年金は年金制度で基礎年金は給付
国民年金は日本に住む一定の年齢の人が原則として全員被保険者として加入する年金制度で、基礎年金は国民年金から支給される給付の名前です。老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金をまとめて基礎年金と言います。
国民年金の給付は基礎年金だけではない
国民年金の給付は老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金だけではなく、寡婦年金、死亡一時金、脱退一時金、特別一時金などがあり、「国民年金=基礎年金」ではなく「国民年金≠基礎年金」なのです。
国民年金法第1条 国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。
国民年金法第2条 国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行うものとする。
国民年金法第15条 この法律による給付(以下単に「給付」という。)は、次のとおりとする。
- 一 老齢基礎年金
- 二 障害基礎年金
- 三 遺族基礎年金
- 四 付加年金、寡婦年金及び死亡一時金
国民年金法附則第9条の3の2 (省略)日本国籍を有しない者(被保険者でない者に限る。)であつて、第26条ただし書に該当するものその他これに準ずるものとして政令で定めるものは、脱退一時金の支給を請求することができる。(省略)
(出典)国民年金法より分かりやすくなるよう一部省略・表記の変更をして引用
まとめ
- 国民年金と基礎年金はほぼ同じ意味として使われる言葉で、同じ意味であると考えて使っても大きな問題は生じないのですが、実は厳密には違う意味を持つ言葉です。
- 国民年金は原則として日本に住む一定の年齢の人が全員被保険者として加入する年金制度を意味していて、基礎年金は国民年金の中心的な給付である老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の総称です。国民年金は基礎年金以外の給付もあり、厳密には国民年金=基礎年金ではありません。