確定拠出年金での個別株式・債券(個別銘柄)投資について
記事作成日:2017年6月26日
確定拠出年金(DC、401k)での運用商品としては、預貯金、生命保険商品、損害保険商品、MMF、投資信託が代表的ですが、個別株式や個別債券などの個別銘柄への投資は現在のところ基本的にできない状態になっています。法律上は特別に禁止されているわけではなく、運用商品として提供すること自体は可能なのですが、取り扱う運営管理機関がないため、事実上できないのです。
スポンサーリンク
確定拠出年金の運用商品
確定拠出年金(個人型・企業型)での運用商品は、預貯金、生命保険や損害保険の保険商品、MMF、投資信託(国内株式型、国内債券型、外国株式型、外国債券型、バランス型など)があります。
しかし、個別株式や個別債券といった個別の銘柄への投資は現在は基本的に行われていない状態になっています。
確定拠出年金法では個別銘柄投資は禁止されていない
確定拠出年金法では第23条で提供する運用商品について有価証券の売買を挙げていて、確定拠出年金法施行令第15条では有価証券の売買について国債、地方債、社債、株券などを挙げています。
個別株式や個別債券への投資は法律で禁止されているわけではないのですが、実務上確定拠出年金の仕組みの中で個別株式や個別債券への個別銘柄投資を提供することに課題があるため、基本的に提供されていないのが現状です。
確定拠出年金法第23条 企業型年金加入者等に係る運用関連業務を行う確定拠出年金運営管理機関は、政令で定めるところにより、次に掲げる運用の方法のうち政令で定めるものを企業型年金規約で定めるところに従って少なくとも三以上選定し、企業型年金加入者等に提示しなければならない。
三 有価証券の売買
(出典)確定拠出年金法より引用(一部改変、省略)
確定拠出年金法施行令第15条 確定拠出年金法法第23条第1項前段の政令で定める運用の方法は、次に掲げる運用の方法であって次項に規定する要件に適合するものとする。
三 次に掲げる有価証券の売買
- イ 国債証券
- ロ 地方債証券
- ヨ 社債券
- レ 株券
(出典)確定拠出年金法施行令より引用(一部改変、省略)
確定拠出年金の仕組みの中では個別銘柄投資は実務上課題がある
拠出限度額の枠内で国債、地方債、社債、株式を売買するのは単位当たりの売買金額の面で課題があること、個別銘柄投資を行うと特定の銘柄に運用リスクが集中してしまうため年金の運用としてはふさわしくない部分があること、株式の議決権や株主優待の処理などで実務上課題があると考えられることなどから、運営管理機関は提供に二の足を踏む形になっているとみられます。
確定拠出年金では株式や債券への投資は投資信託で間接的に行う
確定拠出年金では個別の株式や債券への投資が基本的に出来ませんが、投資信託を通じて間接的に投資することは可能です。確定拠出年金では株式や債券への投資は直接ではなく、間接的に投資信託で行うのです。
ただし、投資信託での株式などへの投資は信託報酬などの保有コストがかかってしまうため、直接個別銘柄投資をするよりもコスト面で不利になってしまう場合があります。
一方で、投資信託で株式や債券に投資すると、複数の銘柄に分散して投資される形になるため、分散投資の効果があり、リスクを抑制することができます。
株式への個別銘柄投資で税制優遇を受けるならNISAで
株式への個別銘柄投資で非課税の適用を受けたいのであれば、確定拠出年金よりもNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)の利用を検討することになります。NISAでは上場株式への投資ができますので、金額の枠など制約がありますが値上がり益や配当金に対する税制優遇を受けることも可能です。
まとめ
- 確定拠出年金では現在のところ基本的に個別株式や個別債券など個別銘柄への投資はできません。
- 確定拠出年金で株式や債券に投資する場合には投資信託を通じて間接的に投資することになります。