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中退共(中小企業退職金共済)とは・特徴とメリットやデメリット

記事作成日:2017年7月6日

中退共(中小企業退職金共済)とは退職金制度(年金制度)を独自に準備することが困難な中小企業向けに準備された退職金制度(年金制度)制度です。従業員や資本金などの規模が一定以下の中小企業が加入することができる退職金制度(年金制度)で、事業主(企業)が掛金を負担して、従業員が退職時に退職金あるいは年金を受け取ります。中退共は中小企業退職金共済法に基づく制度です。独立行政法人勤労者退職金共済機構中小企業退職金共済事業本部(中退共本部)が運営主体となります。

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中退共制度の仕組みや手続き

中退共(中小企業退職金共済)の仕組み

中退共制度に加入する場合には新規申込書を金融機関、委託事業主団体、委託保険会社経由で中退共本部に提出します。過去の勤務期間の通算制度を利用する場合には通算の申出欄に記入しておきます。加入後に従業員を採用した場合などにはその都度追加申込書を提出する必要があります。

事業主(企業)と中退共本部が退職金共済契約を結ぶと加入通知書と従業員ごとの退職金共済手帳が送付されます。

加入している間は毎月口座振替によって掛金を支払います。中退共本部からは年に1回加入している従業員ごとの納付状況や退職金の試算額が通知されます。

従業員が退職した場合には、事業主は退職届を中退共本部に提出します。退職届が提出されると退職した従業員分の掛金の支払いが止まります。また、事業主は退職金共済手帳(請求書)を退職した従業員にわたします。

退職した従業員は退職金の請求書を中退共本部に送付して退職金を請求します。中退共本部は退職した従業員に退職金を一括払いや分割払いによって支払います。支払いは口座振り込みになります。退職金額は事業主と退職した従業員に支払い前に通知されます。

中退共の加入

加入資格

加入できる企業には従業員数や資本金・出資金の制限があります。従業員数か資本金・出資金どちらかの条件を満たせば加入が可能です。

中退共の加入資格
業種常用従業者数出資金・資本金
一般業種300人以下3億円以下
卸売業100人以下1億円以下
サービス業100人以下5000万円以下
小売業50人以下5000万円以下

(出典)fromportal.comの担当者が作成

従業員は全員加入させる必要がある

中退共では従業員は原則として全員加入する必要があります。ただし、有期労働者、季節的労働者、試用期間中の労働者、短時間労働者、休職者、定年などで近いうちに雇用関係が終了する人は加入しなくてもよいとされています。

また、事業主、法人企業の役員(使用人兼務役員など従業員として賃金をもらっている人は除く)、小規模企業共済加入者、特定業種退職金共済制度加入者(建退共、清退共、林退共)は加入できません。また、加入に反対した人も加入できません。

解約には従業員の同意か厚生労働大臣の認定が必要

中退共を解約する場合には従業員の同意が必要になります。従業員の同意が得られない場合には掛金の納付が困難であると厚生労働大臣の認定を受けなければいけません。解約の場合は従業員に解約手当金が支払われます。

中退共の掛金

掛金は事業主の負担

中退共の掛金は全額事業主が負担することになっています。従業員に支払った給与から控除するといったことは認められていないため、掛金が給与所得になるようなこともありません。

掛金は損金算入

中退共に支払った掛金は法人であれば損金算入、個人事業主であれば必要経費となります。

掛金は従業員ごとに選べる

中退共の掛金月額は従業員ごとに選ぶことができます。従業員の地位や役職などに応じて調整することが可能です。

掛金は原則5,000~30,000円の間で選択

中退共の月額の掛金は5,000円、6,000円、7,000円、8,000円、9,000円、10,000円、12,000円、14,000円、16,000円、18,000円、20,000円、22,000円、24,000円、26,000円、28,000円、30,000円の中から選択します。短時間労働者の場合には、2,000円、3,000円、4,000円からも選択可能です。

掛金の支払いは毎月口座振替で行う

中退共の掛金の支払いは毎月事業主が指定した預金口座からの口座振替によって行います。掛金の支払いにはその月の掛金をその月のうちに支払う当月振替と、翌月に支払う翌月振替があります。

掛金を一括して前納すると割引がある

中退共の掛金は12か月分を限度に一括して前納することが可能です。前納をすると掛金の割引を受けられます。

過去の勤務期間の通算制度がある

中退共は加入期間が長くなるほど退職金の額が増えていきますが、新たに中退共に加入する場合には既に長期間勤めていた従業員の退職金があまり増やせずに不利になってしまうことがあります。そのため、初めて加入する事業主は加入前の期間についても掛金を納付する通算制度があります。過去の勤務期間の通算は最大10年まで算入が可能です。

一定の間、過去勤務掛金月額を払うことによって、退職金を計算する際に中退共に加入した時点よりも前に中退共に加入したという扱いを受けることができます。

退職金制度間での通算制度がある

中退共に加入している企業の従業員が中退共に加入している別の企業の従業員となった場合や、同じ企業内での職種変更によって中退共と特定業種退職金共済制度(建退共など)を移動することになった場合、中退共に加入している企業の従業員が特定退職金共済事業(特退共)に加入している企業の従業員となった場合、あるいは逆の場合には退職金を引き継ぐことができる場合があります。

中退共の退職金

退職金は確定給付型であらかじめ決まっている

中退共の退職金は確定給付型で、掛金の金額や掛金の納付月数に応じた退職金額があらかじめ定められています(基本退職金部分)。ただし予定利回りは見直されることがあります。

掛金の納付が2年未満の場合は損をする

中退共では短期間で退職した場合には掛金を損してしまいます。掛金の納付期間が1年未満の場合は退職金の支給はなく、掛金が無駄になってしまいます。

1年以上の納付があってはじめて退職金が支給されます。また、掛金の納付期間が1年以上2年未満の場合には、支払った掛金よりも下回る退職金額となります。掛金の納付期間が2年から3年6か月までの場合には支払った掛金相当額が退職金額となります。

掛金の納付期間が3年7か月以上になると支払った掛金よりも多くの退職金を受け取れるようになり、長く掛金を納付するほど支払った掛金よりも多くの退職金を受け取れるようになります。

運用成果が良い場合には付加退職金がある

中退共は基本的に確定給付型の制度ですが、運用利回りが予定利回りを上回った場合には基本退職金(掛金の月額と納付期間によって定められている退職金)に付加退職金が上乗せされます。

退職金は中退共本部から従業員に支払い

中退共の退職金(年金)は中退共本部から従業員に支払いが行われます。

退職金の受け取り方法は一時金と年金(分割払い)

中退共の退職金は原則として一時金払い(一括払い)となりますが、全額を分割払い(年金払い)としたり、一部を分割払い(併用払い)とすることもできます。

ただし、全額分割払いや一部分割払いをするためには退職金の金額が一定金額以上となっていることが必要です。なお、分割払いにすると一定の利息が付きます。

退職金の受け取りは税制の優遇がある

中退共を退職金を一時金で受け取った場合には退職所得となり退職所得控除の適用があります。分割払いで受け取った場合には雑所得となり公的年金等控除の適用があります。

事業主のメリット

手軽に退職金・年金制度を準備でき人材確保につながる

中小企業では退職金・年金制度を整えるのも大変ですが、中退共を活用することで手軽に退職金・年金制度を準備することができます。

退職金がある企業とない企業では、人材の採用の難易度も変わってきますが、退職金があることがアピールできれば、人材の確保、人材の定着につながります。退職金・年金制度がない企業に勤めるということは従業員にとって不安を感じさせてしまう場合があるのです。

制度化されていて外部積立になるので信頼感がある

中退共は制度が整っていて社内ではなく外部に積み立てていく退職金・年金制度になるため、受給権者となる従業員の安心感につながります。

社内積立だと業績が悪化した時に受給権が確保されるか心配になりますし、ルールが整っていなければ本当にもらえるのか不安になります。しかし、中退共であれば、制度が整備されていて、外部なので安心することができます。

独自に退職金制度を整備するより事務負担が軽い

中小企業では人手が足りない場合も多いですが、中退共制度を利用することで、社内で退職金制度を実施するよりも事務負担が軽減されます。

中退共の掛金は非課税

中退共の掛金は、法人の場合には損金算入が可能です。個人事業主の場合には必要経費とすることが可能で、非課税の扱いとなります。ただし外形標準課税の対象となる場合があります。

新規加入時や掛金増額時に助成がある

中退共では一定の条件に当てはまった場合に新規加入時や掛金増額時に助成があります。

新規加入助成

中退共に初めて加入する事業主に対しては、国から加入後4か月目から1年間掛金の助成が行われます。上限は従業員1人ごとに月額5,000円となりますが月額の掛金の半分(2分の1)が助成されます。短時間労働者の場合は更に上乗せがあります。

月額変更助成

掛金の月額を増額変更する事業主に対して、国から増額月から1年間掛金の助成が行われます。18,000円以下の掛金月額を増額する場合には増額分の3分の1が助成されます。ただし、一度掛金を下げて上げるという場合に繰り返し助成が行われないよう過去の掛金の最高額が基準となります。

地方自治体が助成を行っている場合がある

中退共では地方自治体によっては独自の掛金助成制度を実施している場合があります。

事業主のデメリット

掛金の減額変更は従業員の同意などが必要

中退共では掛金を増額する場合には事業主が任意に行うことができます。しかし、掛金を減額する場合には従業員の同意か厚生労働大臣の認定が必要になります。事業主が一方的に掛金を変更すると従業員の不利益につながるためです。

経営状況が悪化した場合に掛金を減額しようと思っても機動的に変更ができない場合があります。

退職理由によって退職金の差をつけられない

中退共の退職金は掛金の金額や掛金の支払い期間に応じて変化します。通常の退職金制度であれば、自己都合退職か定年退職かなど退職理由によって退職金に差をつけて、勤続意欲を高める設計を行うことも可能ですが、中退共では退職理由によって退職金に差をつけることができません。

懲戒解雇などでの退職金減額は厚生労働大臣の認可が必要で掛金も返還されない

中退共は支払う退職金の減額をした場合には厳格な手続きを踏む必要があります。事業主が従業員を懲戒解雇した場合などに、退職金の減額を求める場合には厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。

更に、退職金が減額された場合でも、減額分が事業主に支払われることはなく、返還されません。

条件に該当しなくなった場合は契約が解除される

中退共は中小企業向けの制度です。従業員数や資本金が増加した場合など中退共の加入条件に当てはまらなくなった場合には契約が解除されるため、従業員に解約手当金が支払われるか、解約手当金相当額の別の制度への引き渡しが必要になります。

短期間の退職は掛金が無駄になる

中退共は掛金納付が1年以上にならないと退職金が支払われないため、人の出入りが激しい企業・事業には向いていません。また、2年未満の退職の場合は掛金よりも退職金の額が少なくなります。

従業員のメリット

自己負担がなく退職金がもらえる

中退共の制度があると従業員は退職時に退職金あるいは年金を受け取ることができます。規模が小さい企業や個人事業の場合には福利厚生制度が充実しておらず、退職金制度もないという場合がありますが、退職金制度があることで安心して働くことができます。

給付額が確定している

中退共は基本的に確定給付型の退職金制度(年金制度)です。中退共本部により資産運用の結果が悪かったからといって退職金が減額されるということはありません。

運用利回りが高いと付加退職金がある

中退共は基本的に確定給付型の退職金制度(年金制度)ですが、実際の運用利回りが予定運用利回りを上回った場合には、付加退職金が上乗せされる場合があります。

法律に基づく制度で受給権が保護されている

中退共は中小企業退職金共済法に基づく制度で、社外で積み立てられていて、受給権の保護のルールが定まっているため、従業員は安心することができます。自社内の制度の場合は経営が悪化した場合など受給権が確保されるのか不安になりますが、中退共の場合には安心できます。

退職理由によって退職金が変わらない

通常の退職金制度は自己都合退職か定年退職かなどの退職理由によって退職金の金額が変化することがありますが、中退共の退職金は退職理由によって退職金が変わることは基本的にありません。

ただし懲戒解雇等の場合には、事業主の申請により厚生労働大臣が認可した場合には退職金が減額される場合があります。

経営が傾いても退職金を受け取れる

中退共の退職金は事業主から切り離されて積み立てられているため、事業主の経営状況が悪化しても受給権は保護されます。

中退共本部から直接支払われる

中退共の退職金は中退共本部から直接支払われます。退職金を受け取る場合の退職元の事業主(企業)との事務的な関わりは少なくすることが可能です。

受取時の税制優遇がある

中退共の退職金を受け取る場合には、一時金の場合には退職所得控除、分割払い(年金)の場合には公的年金等控除の適用があります。

提携サービスを受けられる

中退共の加入者は中退共と提携しているホテルなどを割引料金で利用できます。

従業員のデメリット

短期間の退職の場合はまったくもらえないかほとんどもらえない

中退共は短期間で退職した場合には退職金がまったくもらえないかほとんどもらえない設計となっています。そのため、短期間で退職した場合には退職金はほとんどない可能性があることに注意が必要です。

懲戒解雇の場合は減額リスクがある

中退共は懲戒解雇の場合には事業主の申請に基づいて厚生労働大臣の認可を受けた場合には退職金が減額されるリスクがあります。何らかのトラブルを背景に事業主から嫌がらせなどのために不当に懲戒解雇された場合に、主張が認められて不当に退職金が減額となってしまう可能性が全くないとは言い切れません。厚生労働大臣の認可が必要なので簡単には減額されませんが、不当な解雇の場合には注意が必要です。

まとめ

  • 中退共(中小企業退職金共済)とは中小企業向けの退職金制度(年金制度)で、独立行政法人勤労者退職金共済機構中小企業退職金共済事業本部(中退共本部)に掛金を支払うと、従業員の退職時に退職金を支払ってくれます。
  • 中退共は、中小企業でも退職金(年金)を比較的手軽に準備できるということがメリットです。

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【中退共(中小企業退職金共済)とは・特徴とメリットやデメリットの記事は終わりです】

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