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貯金や貯蓄について調べている公的な統計調査

記事作成日:2016年1月3日

家計のやりくりの成果の1つが貯金や貯蓄ですが、自分の年代での平均貯金額・平均貯蓄額はいくらかというのはやっぱり気になる人も多いと思います。貯金や貯蓄について調べている主要な公的な統計調査にはどのようなものがあるか紹介します。代表的なものには、総務省の「家計調査」や「全国消費実態調査」、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」があります。

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貯金・貯蓄を調べている主要な公的な統計調査

日本では貯金に関する公的な統計は主に総務省が実施している家計調査、全国消費実態調査、全国単身世帯収支実態調査、厚生労働省が実施している国民生活基礎調査、金融広報中央委員会が実施している家計の金融行動に関する世論調査があります。

貯金・貯蓄を調べている公的な統計調査
調査名調査頻度調査対象
家計調査(総務省)毎月(貯蓄の公表は四半期ごと)約8,000世帯
全国消費実態調査(総務省)5年に1回約56,000世帯
全国単身世帯収支実態調査(総務省)5年に1回2,000世帯
国民生活基礎調査(厚生労働省)貯蓄は3年に1回約36,000世帯
家計の金融行動に関する世論調査(金融広報中央委員会)毎年10,500世帯

(出典)総務省、厚生労働省、金融広報中央委員会の各ホームページを参考に当サイトが作成。

家計調査の貯金・貯蓄のデータ

家計調査の特徴

家計調査とは、家計の収支や貯蓄・負債の状況を把握するために行われている総務省統計局の統計調査です。家計調査は毎月実施されています。家計調査はいわゆる時系列の動きを見るために行われる動態統計で、特に家計の消費支出のデータなどが良く利用されています。また、どの県で何が良く消費されているかといったデータは家計調査の年間集計結果が用いられます。調査対象は2人以上の世帯が約8,000世帯、単身世帯が約700世帯です。このうち貯蓄・貯金に関する調査は2人以上の世帯を対象に行われています。

家計調査の調査対象・調査時期

家計調査は、調査は世帯単位で行われています。2人以上の世帯は6か月間継続して調査が行われ、調査が終わると別の世帯に調査対象が変わります。ただし、調査対象が1度に全部入れ替わってしまうと調査結果の安定性が損なわれる可能性が高いため、6分の1ずつ調査世帯が変わる仕組みになっています。そして、貯蓄・負債の状況を調査する貯蓄等調査票は各世帯の調査開始3か月目の1日現在で調査が行われることになっています。

家計調査の調査項目

家計調査では家計の収支や貯蓄・負債の状況について調査が行われていますが、このうち貯蓄については銀行への預金や貯金のほか、生命保険や損害保険、簡易保険などの保険商品や年金商品、株式や株式投資信託、貸付信託や金銭信託、債券や公社債投資信託、社内預金、外貨預金や外国債券が含まれていますが、建物や土地は含まれていません。

家計調査の貯金・貯蓄データの利用

時系列には適しているが細かな特徴は分かりづらい

家計調査の貯金・貯蓄データは四半期ごとの時系列で動向を把握することには適していますが、年齢別や年間収入別で細かく特徴を調べたい場合には、他のサンプル数が多い統計調査の方が適しています。

平均値のデータであることに注意

貯金・貯蓄のデータは極端なお金持ちのデータに引っ張られやすい特徴があるため、平均値ではなく、調査結果を順に並べた場合に中央にの値である中央値(中位数)も併せて確認した方が良いのですが、基本的に家計調査は平均値で公表していることに注意が必要です。一般に貯金・貯蓄データはお金持ちはずば抜けた金額を保有しているため、平均値は押し上げられやすい傾向があり、中央値<平均値となりやすいことが知られています。

単身世帯は調査対象外

家計調査では2人以上の世帯に対して貯蓄等調査票による調査が行われていますが、単身世帯の貯金・貯蓄データが把握されていない点に気を付ける必要があります。

全国消費実態調査の貯金・貯蓄データ

全国消費実態調査の特徴

全国消費実態調査とは、家計の収支や貯蓄・負債の状況などを詳細かつ網羅的に把握する総務省統計局の統計調査です。全国消費実態調査は、詳細な構造を分析するためのいわゆる構造統計で、調査対象数は家計調査よりもかなり多くなっていますが、調査は毎月ではなく、5年に1度しか行われません。細かく時系列の変化を負うことは困難ですが、5年ごとの構造的な変化を追ったり、1時点での詳細な構造の分析を行うのには適しています。

全国消費実態調査の調査対象・調査時期

全国消費実態調査は世帯単位で調査が行われます。調査対象数は全部で約56,400世帯となっていて、このうち2人以上世帯の調査対象数は約51,700世帯、単身世帯の調査対象数は約4,700世帯とかなりの数が確保されています。家計調査の約8,700世帯と比較するとかなり多いことが分かります。貯金・貯蓄データについは、5年に1回、11月末現在の貯蓄現在高の調査が行われます。

全国消費実態調査の調査項目

全国消費実態調査では、家計の収支や貯蓄・負債以外にも住居の状況、自動車やバイクなどの保有状況、家具や家電製品などの保有数や保有期間、ゴルフの会員権などについても調べていて細かいことを調べる時には非常に有益な統計です。このうち貯蓄については銀行への預金や貯金のほか、生命保険や損害保険、簡易保険などの保険商品や年金商品、株式や株式投資信託、貸付信託や金銭信託、債券や公社債投資信託、社内預金、外貨預金や外国債券が含まれていますが、建物や土地は含まれていません。

全国消費実態調査の貯金・貯蓄データの利用

時系列な動向は把握しづらいが詳細な分析に向いている

全国消費実態調査の貯金・貯蓄データは、5年に1度しか行われないため、毎年あるいは毎四半期ごとの動向の変化を調べることはできません。しかし、調査対象のサンプル数が多いため、都道府県別、年齢別、年収別など、調査対象の属性に応じた詳細な分析に向いています。

平均値のデータであることに注意

貯金・貯蓄のデータはお金持ちのデータに引きずられる傾向があるため、平均値だけではなく、調査結果を順に並べた場合に中央にの値である中央値(中位数)も一緒に確認した方が良いのですが、基本的に全国消費実態調査は平均値を公表していることに注意が必要です。一般に貯金・貯蓄データは中央値<平均値となりやすいことが知られています。

季節性に注意

全国消費実態調査の貯金・貯蓄データについては、5年に1回、11月末現在の貯蓄が調査されます。そのため、11月という1年で1時点の貯金・貯蓄データを調べることになり、季節性が含まれている可能性があります。家計に余裕がない世帯の場合には、11月は冬のボーナス直前なので、貯金を切り崩して生活していると1年の中でも金額が少ない可能性があります。夏か冬のボーナス直後の調査であれば、貯金は多いかもしれません。全国消費実態調査の貯金・貯蓄データを見る場合、季節性があるかもしれないということは意識した方が良いでしょう。

全国単身世帯収支実態調査の貯金・貯蓄データ

全国単身世帯収支実態調査の特徴

全国単身世帯収支実態調査とは、全国消費実態調査を補完する目的で行われている総務省統計局の統計調査です。全国消費実態調査の調査員調査では、単身世帯の補足が困難になっていることを踏まえて、民間調査会社の登録モニターを活用して調査が行われます。全国消費実態調査と同時期に実施され、5年に1回調査が行われます。

全国単身世帯収支実態調査の調査対象・調査時期

全国消費実態調査は単身世帯を対象とした調査です。調査対象数は2,000世帯となっていて、全て単身世帯です。貯金・貯蓄データについは、5年に1回、11月末現在の貯蓄現在高の調査が行われます。

全国単身世帯収支実態調査の調査項目

全国単身世帯収支実態調査の調査項目は全国消費実態調査と基本的に同じです。家計の収支や貯蓄・負債以外にも住居の状況、自動車やバイクなどの保有状況、家具や家電製品などの保有数や保有期間、ゴルフの会員権などについても調べていて細かいことを調べる時には非常に有益な統計です。このうち貯蓄については銀行への預金や貯金のほか、生命保険や損害保険、簡易保険などの保険商品や年金商品、株式や株式投資信託、貸付信託や金銭信託、債券や公社債投資信託、社内預金、外貨預金や外国債券が含まれていますが、建物や土地は含まれていません。

全国単身世帯収支実態調査の貯金・貯蓄データの利用

全国単身世帯収支実態調査は全国消費実態調査との統合結果が公表される

全国単身世帯収支実態調査は全国消費実態調査を補完する役割を持っており、全国消費実態調査の結果と統合した結果が公表されています。単身世帯の動向を詳しく分析する場合には、全国消費実態調査と全国単身世帯収支実態調査の統合結果を利用すると、サンプルの厚みが増した調査結果を利用することができます。

モニター調査は傾向が偏る可能性

自発的に調査会社に登録をするモニターを対象にした調査と、標本理論に基づいて受動的に抽出された調査対象では調査結果が違う可能性があることに注意が必要です。

時系列な動向は把握しづらいが詳細な分析に向いている

全国単身世帯収支実態調査は基本的に全国消費実態調査と同じ特徴を持っています。5年に1度しか行われないため、毎年あるいは毎四半期ごとの動向の変化を調べることはできません。しかし、調査対象の属性に応じた詳細な分析に向いています。

平均値のデータであることに注意

全国単身世帯収支実態調査は基本的に全国消費実態調査と同じ特徴を持っています。貯金・貯蓄のデータは平均値を公表していることに注意が必要です。一般に貯金・貯蓄データは中央値<平均値となりやすいことが知られています。

季節性に注意

全国単身世帯収支実態調査は基本的に全国消費実態調査と同じ特徴を持っています。全国単身世帯収支実態調査の貯金・貯蓄データについては、11月末現在の貯蓄なので、季節性があるかもしれない点に注意が必要です。

国民生活基礎調査の貯金・貯蓄データ

国民生活基礎調査の特徴

国民生活基礎調査とは、厚生労働省の行政に活用することを主な目的として行われる厚生労働省の統計調査で、保健、医療、福祉、年金、所得など生活の基礎的なことを調査しています。調査自体は1年に1回行われますが、3年に1回大規模な調査が行われ、多くの調査項目の調査が行われます。貯蓄については3年に1回の大規模調査時に調査がおこなれます。保健、医療、福祉、年金、所得などの基礎資料として活用されているほか、貧困などのデータが有名です。

国民生活基礎調査の調査対象・調査時期

国民生活基礎調査は世帯及び世帯員を対象とした調査で、調査内容によって調査対象数が異なります。貯金・貯蓄データについては貯蓄票で調査が行われますが、約36,400世帯を対象として調査が行われました。貯蓄に関しては、3年に1回の周期で調査が実施されており、直近では2013年7月11日時点現在で調査が行われています。

国民生活基礎調査の調査項目

国民生活基礎調査では、保健や医療、福祉、年金、所得など生活に関する基礎的な事柄が調査されていますが、貯蓄については銀行への預金や貯金のほか、生命保険や損害保険、簡易保険などの保険商品や年金商品、株式や株式投資信託、貸付信託や金銭信託、債券や公社債投資信託、社内預金が含まれていますが、建物や土地は含まれていません。ただし、各項目の内訳は調査しておらず、合計金額の調査が行われています。

国民生活基礎調査の貯金・貯蓄データの利用

国民生活基礎調査は貯蓄を調べることが主目的の調査ではありません。基本的には貯金・貯蓄の分析には向いていません。貯蓄の内訳が調査されず、合計額が調査されているため、貯金や貯蓄のデータについて詳細な分析を行うことが困難です。貯金や貯蓄の詳細なデータを調べる場合には、全国消費実態調査や全国単身世帯収支実態調査の方が向いています。

家計の金融行動に関する世論調査の貯金・貯蓄データ

家計の金融行動に関する世論調査の特徴

家計の金融行動に関する世論調査とは、金融広報中央委員会が実施している公的な調査です。金融広報中央委員会は愛称「知るぽると」名前で呼ばれていて、日本銀行内に事務局が設置されている公的な団体です。金融広報中央委員会の委員は金融関係や報道関係、消費者関係の団体の長から構成されていて、顧問として金融庁長官や日本銀行総裁、参与として関係府省等の幹部が参画しています。家計の金融行動に関する世論調査は二人以上世帯と単身世帯について1年に1回調査が行われています。

家計の金融行動に関する世論調査の調査対象・調査時期

家計の金融行動に関する世論調査は世帯を対象とした調査を実施しています。二人以上世帯については、全国8,000世帯が調査対象となっています。二人以上世帯は、無作為抽出によって選ばれた調査世帯に対して、訪問と郵送調査を行っています。直近分は、2015年6月12日から7月21日に調査が行われており、調査時点現在の残高を調査しています。単身世帯については、全国2,500世帯が調査対象となっています。単身世帯は、調査会社のモニターに登録している人を対象にしたインターネットを利用した調査を行っています。直近分は、2015年6月19日から7月1日に調査が行われており、調査時点現在の残高を調査しています。

家計の金融行動に関する世論調査の調査項目

家計の金融行動に関する世論調査では、金融資産や金融負債、実物資産、住居、生活設計、決済手段、金融制度などに関する調査を行っています。貯金・貯蓄に関する部分では、貯蓄という質問ではなく、金融資産として質問を行っています。金融資産には、現金は含まず、預貯金(日常的な出し入れや引き落としに備える部分は除く)、金銭信託・貸付信託、掛け捨て型ではない生命保険や損害保険、公的年金等を除く個人年金保険、債券、株式、投資信託、財形貯蓄、金貯蓄口座の貯蓄、オプションや先物などの金融派生商品となっています。外貨建金融商品は含まれていますが、土地や建物などの実物資産は除かれています。現金を含んでいないことから、貯金箱に貯めているお金やタンス預金は回答に含まれないと考えられます。

家計の金融行動に関する世論調査の貯金・貯蓄データの利用

サンプル数は構造を分析する統計としては少なめ

家計の金融行動に関する世論調査のサンプル数は二人以上世帯と単身世帯を合わせて10,500世帯と、全国消費実態調査よりは少なくなっているため、構造を詳細に分析することにはあまり向いていません。属性別に分けた時に回答数が少なくなる場合があるからです。

二人以上世帯と単身世帯の両方を調査

家計の金融行動に関する世論調査は二人以上世帯と単身世帯の両方を調査している点は貯金・貯蓄データを利用する上で有益です。

家計に関する幅広い項目を調査

家計の金融行動に関する世論調査は家計に関する幅広い項目を調査しているため、属性ごとの調査結果やクロス集計の結果を利用する場合には有益です。

中央値と平均値を両方公表

家計の金融行動に関する世論調査の優れている点は貯金・貯蓄データについて中央値と平均値を両方公表しているため、貯金・貯蓄について傾向を掴みやすいということです。

季節性に注意

家計の金融行動に関する世論調査は6月から7月にかけて調査が行われています。1年のある時点での調査なので、季節性がある可能性に注意が必要です。ちょうど夏のボーナスが支給される時期に当たりますが、ボーナスをもらう前ともらった後では貯金・貯蓄のデータに変動が出る可能性があります。特に貯金・貯蓄が少ない世帯にとってはボーナスが出る出ないは結果に重要な影響を及ぼす可能性があることに注意が必要です。

モニター調査の偏りに注意

単身世帯は民間調査会社の登録されたモニターを対象とした調査です。自発的に調査会社に登録をするモニターを対象にした調査と、標本理論に基づいて受動的に抽出された調査対象では調査結果が違う可能性があることに注意が必要です。

貯金・貯蓄データを利用する場合のおすすめの公的な調査のまとめ

貯金・貯蓄データを確認したい場合におすすめの公的な調査は目的別にまとめると次のようになります。

貯金・貯蓄を調べる時におすすめな公的統計調査
利用目的おすすめな公的調査
四半期ごとの時系列で確認したい場合総務省の「家計調査」
属性ごとに詳細な構造を分析したい総務省の「全国消費実態調査」
平均値だけではなく中央値も知りたい金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」
貯蓄残高別の家計行動の特徴を知りたい金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」

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【貯金や貯蓄について調べている公的な統計調査の記事は終わりです】

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