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前年比と前月比の特徴や見方と違い・長所と短所

記事作成日:2018年6月9日

前年比と前月比のそれぞれの特徴や見方と前年比と前月比の違い、長所(メリット)と短所(デメリット)や注意点についてです。前年比(前年同月比・前年同期比)は前年のデータに対する変化率、前月比は前月のデータに対する変化率を示します。前年比は大きな傾向を掴みやすい一方で短期的な変化を把握するのには向いていません。前月比は短期的な変化を把握するのに向いていますが、毎月の変動が大きなデータを分析するのにはあまり向いていません。

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前年比と前月比の特徴と違い

前年比と前月比の主な特徴と違いをまとめると次のようになります。

前年比と前月比の主な特徴と違い
項目前年比前月比
特徴大きな傾向を把握しやすい
短期的な変化の把握に不向き
季節調整値は必要ない
短期的な変化を把握しやすい
変動が大きいデータの分析に不向き
季節調整値が必要

(出典)fromportal.comの担当者が作成

原系列・原数値と季節調整系列・季節調整値

原系列・原数値とは日数調整や曜日調整など何らかの調整を行う前の時系列データ・数値を意味し、前年比(前年同月比・前年同期比)の計算に用いることができますが、季節要因が含まれるため前月比(前期比)の計算に用いると解釈を誤ることがあります。

季節調整系列・季節調整とは日数調整や曜日調整など各種の季節要因を取り除いて調整した時系列データ・数値を意味し、前月比(前期比)の計算に用いられます。また、前年比(前年同月比・前年同期比)の計算に用いることもできます。

前年比(前年同月比・前年同期比)とは

前年比(前年同月比)とは、今月のデータを前年の同じ月のデータと比較してどれくらい変化したかを示す数値です。前年比と前年同月比は同じ意味で、月次データの場合に用います。四半期データの場合には前年比または前年同期比といいます。

前年比(前年同月比)の計算方法

「前年比(前年同月比)=(今月の数値÷前年同月の数値)-1」で計算します。この場合は小数表示となるため、パーセント表示する場合は「×100」とすればパーセントに変換できます。前年同期比も同様です。

前年比(前年同月比)の見方

前年比(前年同月比)の数値が前回の前年比と比較して大きくなっているか小さくなっているかでデータの傾向を把握します。

例えば前月の前年比が+2.5%で、今月の前年比が+3.0%であれば、前年比が大きくなっている(高まっている)ので増えていると判断することになります(下記例1)。

これは前年比がマイナスでも同様で、前月の前年比が▲5.0%で(▲はマイナスを意味します)、今月の前年比が▲2.0%であったならば前年比が大きくなっている(高まっている)と判断します(下記例2)。

一方で前年比が小さくなると下落・低下と判断します。例えば前月の前年比が+3.0%で、今月の前年比が+1.0%であれば前年比が小さくなっているため、下落・低下していると判断します(下記例3)。

前年比(前年同月比)の判断例
時点例1例2例3
X-1月+2.5%▲5.0%+3.0%
X月+3.0%▲2.0%+1.0%
判断増加・上昇増加・上昇下落・低下

(出典)fromportal.comの担当者が作成

前年比(前年同月比)の長所・メリット

前年比(前年同月比)で時系列データを分析する場合の前年比(前年同期比)の良いところ、長所・メリットについてです。

前年比(前年同月比)は季節調整なしで簡単に計算できる

前年比は元の時系列のデータ(原系列・原数値)に季節調整を行うことなく計算できるため、気軽・手軽に利用することができます。季節調整系列・季節調整値がない場合に自分で季節調整をしなくても、前年比であれば簡単に計算できるのです。

日本の月次データ、四半期データは季節調整値が計算されているものも多いですが、季節調整値の公表がなく原系列・原数値だけが公表されている場合もあるため、前月比(や前期比)を計算したいのであれば自ら季節調整をしなければいけません。しかし、前年比なら季節調整が行われていない原系列・原数値でも問題ないのです。

前年比(前年同月比)は長い期間で見た基調を把握しやすい

前年比は前年の数値の動き次第でおかしな挙動を示すことがありますが、やや長い期間で見た場合の大まかな傾向、基調的な動きを把握するのに適しています。1年前と比較するので、季節的な影響が除かれやすい、1年間の変化を見るので単月の変動の影響が緩和されるといったことから、大きな流れを判断するのに適しているのです。

前年比は、前月比の12か月移動平均の12倍を計算することに相当するため、前月比で判断するよりも大きな変化を捉えやすくなるのです。

前年比(前年同月比)は季節調整値で計算しても良い

前年比の計算をする場合には、一般的に季節調整が行われていない原系列・原数値を用いますが、季節調整値で前年比を計算しても問題ありません。季節要因が取り除かれた季節調整値で前年比を計算しても、季節要因が取り除かれていない原系列・原数値で前年比を計算しても、前年比の計算で季節要因は取り除かれるので、両者はほとんど同じ結果を示すことになるからです。

日本では季節調整系列・季節調整値と同時に原系列・原数値が公表される場合が多いですが、海外のデータでは原系列・原数値が公表されずに、季節調整系列・季節調整値のみが公表される場合があり、季節調整値で前年比を計算せざるを得ない場合があります。

前年比(前年同月比)の短所・デメリット・注意点

前年比(前年同月比)で時系列データを分析する場合の前年比(前年同期比)の悪いところ、短所・デメリット・注意点についてです。

前年比(前年同月比)は短期的な動きを把握しづらい

前年比はやや長い目で見た場合の基調的な動き、傾向を捉えるのに適していますが、短期的な動きを把握すことには向いていない場合があります。例えば、数値の傾向が転換したにもかかわらず、前年比では直ちに変化が見られずに判断が遅れてしまう場合です。

具体例として次の前年比のグラフを見てみましょう。このグラフでは前年比の数値が一番小さいのが5月から6月辺りになっているため、5月から6月頃に数値が一番低くて7月以降増加したのだろうと考えることになります。

前年比の転換の時期が元のデータからずれる例

しかし、実際の水準を比較対象とした前年分も含めて見ると次のようになっていて、3月が一番小さく、4月以降は増加に転じているのです。前年比で判断すると5~6月が一番悪い時期、水準で判断すると3月が一番悪い時期ということになりますが、これは前年比の基準とした前年のデータで5~6月が相対的に高い水準であったために前年比が低く出やすかったことによります。

前年比の転換の時期が元のデータからずれる例の元の指数

前年比に頼って判断をすると、比較対象とした前年のデータ次第で、数値の傾向の転換点を正確に把握できないことがあるのです。そのため、前年比だけではなく前月比を使う、水準を確認するなどによって判断材料を補足する必要があります。

元の指数と前年比の転換点がずれる例
指数前年比
X-1年1月100
2月98-
3月99-
4月100-
5月103-
6月104-
7月104-
8月103-
9月105-
10月102-
11月101-
12月100-
X年1月97-3.0%
2月94-4.1%
3月92-7.1%
4月93-7.0%
5月94-8.7%
6月95-8.7%
7月96-7.7%
8月96-6.8%
9月97-7.6%
10月98-3.9%
11月99-2.0%
12月1000.0%

(出典)fromportal.comの担当者が作成

前年比(前年同月比)は誤った判断をすることがある

前年比は比較対象とする前年のデータに強く影響を受けます。そのため、前年のデータが特殊な動きをしていた場合には、前年比が通常とは異なる動きをしてしまい、判断を誤ってしまう場合があります。具体的には次のような場合が当てはまります。

  • 元のデータと前年比が逆の動きをする
  • 前年の水準変化で前年比が強く(弱く)見える
  • 前年の異常値で前年比がおかしな動きをする

前年比が実際の動きと逆に動く場合

前年比は比較対象とする前年のデータの影響を強く受けるため、前年のデータが特殊な動きをしていると前年比が実際とは異なる動きをすることがあります。

例えば、次の前年比の動きをみると、前年比が高まっているので良い動きだと思うかもしれません(元のデータ(原系列・原数値)に季節性は含まれないものとします)。

前年比が元のデータと逆に動く例

しかし、今年の実際の水準のグラフは次のようになっています(前年の水準のグラフを合わせて表示)。前年の数値が今年よりも悪かったために今年の前年比は良く見えるのですが、今年の数値の水準を見ると落ちていて決して良い動きとは言えません。

前年比が元のデータと逆に動く例の元の指数

なお、元のデータは次のようになっています。

元の指数と前年比が逆の動きをする例
指数前年比
X-1年1月100
2月90-
3月80-
4月70-
5月60-
6月50-
7月60-
8月70-
9月80-
10月90-
11月100-
12月110-
X年1月1033.0%
2月966.7%
3月8911.3%
4月8217.1%
5月7525.0%
6月6836.0%

(出典)fromportal.comの担当者が作成

水準変化が起きた場合の前年比

前年比の比較対象となる前年のデータや今年のデータに水準変化(レベルシフト)が発生すると、その後の1年間は前年比に影響が出るため、判断を誤ってしまう場合があります。

例えば、次の前年比の動きを見てみると、前年比+20%程度が続いているので好調な動きであるようにも見えます。

前年に水準変化した場合の前年比の例

しかし、実際の水準は前年の途中の月に大きな水準変化が起きてその後は大きな変動はなくむしろ緩やかに減少しているのです。

前年に水準変化した場合の前年比の例の元の指数

なお、元のデータは次のようになっています。

前年の元の指数に水準変化が起きた例
指数前年比
X-1年1月90
2月89-
3月88-
4月87-
5月86-
6月85-
7月84-
8月83-
9月82-
10月112-
11月111-
12月110-
X年1月10921.1%
2月10821.3%
3月10721.6%
4月10621.8%
5月10522.1%
6月10422.4%
7月10322.6%
8月10222.9%

(出典)fromportal.comの担当者が作成

前年に異常値が含まれる場合の前年比

前年比は比較対象とする前年のデータに異常値が含まれると今年の前年比に影響が出るために注意が必要です。例えば、次の前年比の動きを見ると大きく上昇したのち大きく低下しています。

前年に異常値が含まれる場合の前年比の例

しかし、今年の実際の水準は変化がなく、前年に異常値が含まれるために今年の前年比が変動しているのです。

前年に異常値が含まれる場合の前年比の例の元の指数

なお、元のデータは次のようになっています。

前年の元の指数に異常値が含まれる例
指数前年比
X-1年1月100
2月80
3月100
4月120
5月100
6月100
7月100
8月100
9月100
10月100
11月100
12月100
X年1月1000.0%
2月10025.0%
3月1000.0%
4月100-16.7%
5月1000.0%
6月1000.0%
7月1000.0%
8月1000.0%

(出典)fromportal.comの担当者が作成

前年比効果に注意が必要

前年比のデータを見る場合に、前年比効果という言葉を用いることがあります。前年比効果とは前年のデータが通常とは異なる特殊な動きをしたことによって、今年の前年比が受けている影響のことを意味します。

例えば、前年のデータが極端に低かった場合、今年のデータがそれほど良いものではなかったとしても、前年比でみるとすごく良い数値になるといったような場合には、プラスの前年比効果が含まれるというように言うことがあります。

前月比とは・前期比とは

前月比とは、今月の数値を前月の数値と比較してどれくらい変化したのかを示すものです。月次データではなく四半期データの場合には前期比となります。前期比とは、今期(今四半期)の数値を前期(前四半期)と比較してどれくらい変化したのかを示すものです。前月比と前期比はほぼ同じ特徴を持っているので、ほぼ同じとみなして説明しています。

前月比(前期比)の計算方法

「前月比=(今月の数値÷前月の数値)-1」で計算します。この場合は小数表示となるため、パーセント表示する場合は「×100」とすればパーセントに変換できます。前期比の場合には「前期比=(今四半期の数値÷前四半期の数値)-1」

前月比(前期比)の見方

前月比(前期比)は、前月比がプラスかマイナスかで増加・上昇か下落・低下かを判断します。前月の前月比のデータがあればより精緻な判断が可能になりますが前月の前月比のデータがなくても今月だけの前月比のデータで判断が可能である点が前年比のでーたとは異なります。

例えば、今月の前月比が+2.5%であればプラスなので前月から増加・上昇していると判断できます(下記例4)し、今月の前月比が▲3.0%であればマイナスなので減少・低下していると判断できます(下記例5)。

前月比の判断例
時点例4例5
X月+2.5%▲3.0%
判断増加・上昇下落・低下

(出典)fromportal.comの担当者が作成

前月比の長所・メリット

前月比で時系列データを分析する場合の前月比の良いところ、長所・メリットについてです。基本的に前期比にも該当しますが、前期比は前月比の3か月移動平均を3倍したものに相当するため、少しだけ性質が異なります。

短期的な変動を把握しやすい

前期比は前月からの変化を示すため、1か月ごとに数値がどのように変化しているかを把握しやすく、短期的な変動を把握することに適しています。前年比の場合は元のデータの傾向が変わっても前年比に反映されるまで時間がかかってしまう場合がありますが、前月比であれば元のデータの傾向の変化がすぐに反映されるため、変化を掴みやすいのです。

前月比の短所・デメリット・注意点

前月比で時系列データを分析する場合の前月比の悪いところ、短所・デメリット・注意点についてです。基本的に前期比にも該当しますが、前期比は前月比の3か月移動平均を3倍したものに相当するため、少しだけ性質が異なります。

通常は季節調整を実施しないと比較に適さない

月次のデータは殆どの場合、何らかの季節性が含まれています。少なくとも毎月日数や曜日の配置が異なっているため何らかの季節性が含まれます。そのため季節調整を実施した上で前月比の比較をしないと、季節的な変動を傾向の変化だと誤って判断してしまう可能性があります。

一見季節性は含まれないだろうと思えるような時系列データであっても、季節要因が含まれていることがあるのです。

季節調整が上手く行われないことがある

季節調整を実施すると時系列データから季節性が取り除かれて前月比での把握に適したデータになります。しかし、元のデータ(原数値)に一時的な急増・急減が発生した異常値、中国文化圏の春節(旧正月)など毎年月日が変わる季節要因、特殊な事情による数値の水準の変化などが含まれてしまうと、季節調整が上手く実施できないことがあります。

もし、季節調整が上手く行われないと季節調整値で前月比を確認しても方向感の判断を誤ってしまうことがあります。

前月比は変動が大きく傾向を把握しづらいことがある

毎月変動が大きな数値は季節性以外の要因によって毎月増減を繰り返すため、前月比の値がプラスとマイナスを繰り返したり、大きな数値と小さな数値を繰り返したりして、傾向を把握しづらいものがあります。

例えば、変動が大きいデータで前月比を計算するとプラスとマイナスの値を繰り返すため、増加・上昇しているのか、下落・低下しているのか分かりづらいことがあります。

元の指数の変動が大きい場合の前月比

そのような場合は、前年比で見た方が傾向が分かりやすいことがあります。

元の指数の変動が大きい場合の前年比

なお、上記の例の元データは次の通りとなります。

指数の変動が大きいの例の元の指数

変動が大きいデータでの前月比と前年比の例
指数前月比前年比
X-1年1月100.0--
2月98.0-2.0%-
3月100.02.0%-
4月99.0-1.0%-
5月102.94.0%-
6月99.8-3.0%-
7月103.84.0%-
8月105.92.0%-
9月103.8-2.0%-
10月109.05.0%-
11月106.8-2.0%-
12月111.14.0%-
X年1月107.7-3.0%7.7%
2月107.70.0%9.9%
3月106.7-1.0%6.7%
4月108.82.0%9.9%
5月107.7-1.0%4.6%
6月108.81.0%9.0%
7月108.80.0%4.8%
8月113.14.0%6.8%
9月112.0-1.0%7.9%
10月115.43.0%5.9%
11月113.0-2.0%5.9%
12月117.64.0%5.9%

(出典)fromportal.comの担当者が作成

前月比で分かりづらい場合の対処法

毎月の振れが大きな統計は季節調整値で前月比の動きを追っても上昇しているのか、下落しているのか把握が難しい場合があるのです。その場合には、前年同月比で確認する、前月比の3か月移動平均で確認する、前年同月比や前月比ではなく水準で確認するという方法があります。

まとめ

  • 前年比(前年同月比・前年同期比)は前年の同じ時期のデータに対する変化率を意味し、時系列データの大きな傾向を把握しやすい一方、短期的な変化の把握に向いていないという特徴があります。
  • 前月比(前期比)は前月(前期)のデータに対する変化率を示し、短期的な変化を把握に向いている一方、季節調整値が必要で、変動が大きなデータの分析には向いていないという特徴があります。

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【前年比と前月比の特徴や見方と違い・長所と短所の記事は終わりです】

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