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インフレリスクとは

記事作成日:2017年8月11日
最終更新日:2021年6月29日

インフレリスクとは

インフレリスクとは、インフレ(インフレーション、物価上昇)の発生によって、保有している資産の実質的な価値が減少してしまうリスクのことをいいます。インフレが発生すると、お金の価値が相対的に低下してしまうため、インフレに連動して資産価格が上昇する資産を保有していない場合には、保有している資産の価値が実質的に減ってしまいます。

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インフレと資産運用

インフレが発生すると物価上昇率を上回る資産の価格上昇率が得られない場合には、実質的な資産価値が下落します。資産価格の上昇率は価格変化や配当などを考慮した最終的な利回りということになりますが、「物価上昇率>利回り」の場合はインフレで実質的な価値が減少し、「物価上昇率<利回り」の場合はインフレで実質的な価値が増加することになります。

現金は持っているだけではお金が増えないため、利回り=0%となり、インフレが発生すると即時に実質的な価値が減少します。また、預金金利等が限りなくゼロに近い場合の預金・貯金も同様にインフレとなると実質的な価値が減少します。

参考:インフレについて

インフレとデフレの本当の意味とメリット・デメリット

インフレに弱い資産・負債

インフレに弱い資産とは物価上昇時に物価に連動して資産価格が上がることがないため、実質的な価値が目減りしてしまう資産です。インフレと価格が無関係な資産が該当します。また、変動金利の負債は固定金利の負債よりも相対的にインフレに弱いです。

  • 現金(通貨・紙幣・硬貨)
  • 預金・貯金
  • 定額の保険(物価連動でないもの、通常の保険)
  • 確定給付型の年金(物価連動でないもの)
  • 債券(物価連動でないもの)
  • 変動金利の借金(住宅ローンなど)※固定金利と比較して相対的に不利

インフレに強い資産・負債

インフレに強い資産とは物価上昇時に資産価格が上昇する傾向がある資産です。自然と市場での取引において価格が上昇する傾向がある資産と、制度的に物価に連動するような仕組みが設けられている資産(国民年金や厚生年金保険など)があります。

  • 実物資産(不動産、金やプラチナなど商品(コモディティ))
  • 株式
  • REIT
  • 株式などに投資する投資信託
  • 変額の保険
  • 物価連動の債券(物価連動国債)
  • 確定給付型の年金(物価連動のもの、国民年金や厚生年金保険)
  • 確定拠出型の年金
  • 固定金利の借金(住宅ローンなど)
  • 外貨建て資産(1国だけの急激なインフレ時)

預金・貯金が中心の家計はインフレ時に不利

預金や貯金はインフレに弱い資産なのでインフレ時に不利になりやすい傾向があります。インフレになると金利が上昇するため、預金金利も上昇することがありますが、インフレの物価上昇と比較すると預金金利の上昇ペースが遅くなり、実質的に資産価値が目減りしてしまう可能性が高いです。

そのため、リスク回避的な資産構成となっている預金・貯金が中心の関係はインフレ時に不利になります。株式や不動産などの投資・資産運用に興味がない人、老後の年金生活に入っていて安全性重視のリスク許容度が低い家計はインフレ時に不利となりやすいです。

定額の保険はインフレ時に不利

通常の生命保険などは保険事故が発生した際に支払われる保険金は物価に応じて変動しない定額であるため、契約時から支払い時までが長期間にわたるような場合はインフレリスクが問題になります。

終身保険や養老保険などの生命保険や積立損害保険などを貯蓄の手段として活用しているような場合にはインフレ時に実質的に資産が目減りし、結果的に損をしてしまう可能性もあります。

物価スライドの仕組みがない確定給付型の年金はインフレ時に不利

物価スライドの仕組みがない確定給付型の年金はインフレに対応できないため、インフレ時に実質的に価値が減ってしまうことがあります。

公的年金である国民年金や厚生年金保険には物価スライドの仕組みがあり、物価に連動して年金額が改定されますが、企業年金や個人年金においては、物価スライドの仕組みを持つ確定給付型の年金はほとんどなく、インフレ時に不利となる可能性があります。

確定拠出型の年金は運用指図を工夫してインフレに対応できる資産で運用を行うことでインフレリスクに対応することができます。ただし、安全性を重視して預金型の資産で運用しているとインフレ時に不利になることがあります。

物価連動でない債券はインフレ時に不利

物価連動の仕組みがない通常の債券、いわゆる固定利付債券はインフレになっても償還される元本や利子が増えるわけではないため、インフレ時には実質的な価値が減少し不利になります。途中で売却できるような場合でも、インフレ時には金利が上昇しているため、債券価格が下落し、キャピタルロス(価格変化による損失)が発生する可能性があります。

逆に物価連動国債は物価上昇時には償還される元本や利子が増えるため、インフレ時に不利にならないという特徴があります。また、金利変化に伴って利子が増減する変動利付国債もインフレに対応できる可能性があります。

個人向け国債には変動利付国債があります。インフレ時には金利上昇となることがあるため、変動利付国債であれば受け取る利子が増えて、インフレにある程度対応できる可能性があります。

固定金利の借金(負債)はインフレ時に有利

住宅ローンなどの借金もインフレの影響を受けます。インフレになると、実質的な借金の額は減少することになるため、インフレが発生すると借金が実質的に減るということになります。

ただし注意が必要なのですが、インフレが発生すると通常は金利が上昇するため、変動金利の場合は返済の金利が上がって返済する利息も増えるため、金利上昇幅によってはインフレ時に逆に不利になってしまう場合もあります。

逆に固定金利の借金は返済の金利が固定されて上がらないため、支払う利息が増えません。そのため、インフレ時には有利になります。

それなら、インフレが想定されるときにはすべて固定金利なら良いかというと、難しい問題があります。固定金利の借金は金利上昇時の金利変動のリスクがなくなるため、変動金利よりも高い金利水準になるため、インフレの程度によって変動金利と固定金利の有利・不利が変わってくるため、一概には言えないのです。

外貨建て資産はインフレ対応に効果がある可能性

世界的に同時に発生する物価上昇でない場合には、外貨建て資産もインフレに効果がある可能性があります。特に1つの国だけで急激なインフレが発生するような場面が想定されますが、インフレによって通貨下落が引き起こされる可能性があるため、外貨建て資産を持っておくことで、資産防衛ができる可能性があります。

まとめ

  • インフレリスクとは、インフレの発生によって保有している資産の価値が実質的に減少してしまうリスクのことをいいます。
  • インフレに弱い資産には現金、預金・貯金、物価連動でない債券、定額の保険、インフレに対応していない年金などがあります。逆にインフレに強い資産には不動産、金・プラチナ、株式、REIT、物価連動の債券、株式などに投資する投資信託などがあります。

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【インフレリスクとはの記事は終わりです】

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