生活に役立つお金の知識と情報です。
※本サイトは広告を掲載しています。

株価の変動要因

記事作成日:2017年8月11日
最終更新日:2022年2月25日

株価の変動要因

株価の変動要因、変動理由についてです。株価が変動する要因には株式市場全体の変動をもたらす要因(市場全体の要因)と特定の業種・規模の銘柄あるいは個別銘柄の株価変動をもたらす要因があります(個別銘柄の要因)。市場全体の要因と個別銘柄の要因にはそれぞれ経済的な要因(ファンダメンタルズ要因:基礎的な要因)と投資家の行動など市場の要因(マーケット要因:市場内部の要因)があります。

スポンサーリンク

株価の変動要因・理由

株価の変動要因、変動理由についてまとめた表です。

株価の変動要因
種別具体的な変動要因
市場全体経済的要因経済成長率
景気動向
企業業績
金利
物価
為替レート
政治情勢
経済・財政政策
金融政策
自然災害・事故など
市場の要因需給動向
バリュエーション
テクニカル要因
投資家心理
海外市場動向など
個別銘柄経済的要因企業業績など
市場の要因自社株買いなど

なお、本記事では市場全体の株価の変動要因を中心に説明しています。個別銘柄の株価変動要因については代表的なものについて例示しますが、詳細は以下の個別銘柄の変動要因の記事をご参照ください。

参考:個別銘柄の変動要因

個別銘柄リスクとは・個別銘柄の価格変動要因

株式市場全体の株価変動要因(経済的要因)

株式市場全体の株価変動要因となる経済的要因についてです。

経済成長率

市場全体の変動要因としては、株式市場が存在する国や世界の経済成長率が挙げられます。経済成長率が高いということは企業業績が伸びる余地も大きいということになるからです。

近年ではモノやサービスの国際的な貿易が活発化しているため、世界の経済成長率も重要な要因になっています。国内の経済成長が低水準にとどまっていても、世界の経済成長率が高ければ、海外で稼げば企業業績の成長が見込めるためです。

経済成長率を判断する材料

経済成長率は直接知覚することはできませんが、経済指標(GDP、潜在成長率など)や経済に関するニュース、国際機関・政府・中央銀行・政府関係機関・民間団体等の経済見通しや経済レポートなどによって経済成長率の動向を判断します。

景気動向

景気の動向も株価に重要な影響を与えます。景気が回復・拡大するような局面では企業業績の改善が見込まれるため、株価に好影響を与えます。

一方で、景気が後退するような局面では企業業績の悪化が見込まれるため、株価に悪影響を与えることになります。経済成長率と同様に、国内の景気動向に限らず、世界的な景気動向も重要になります。

景気動向を判断する材料

景気動向は、経済・社会指標や経済に関するニュース、企業業績、国際機関・政府・中央銀行・政府関係機関・民間団体等の経済見通しや経済レポートなどによって景気の動向を判断します。

企業業績

市場全体の変動要因として、企業業績全体の動きも重要になります。個別企業の業績は個別の銘柄の株価変動要因となりますが、株式市場全体の企業業績の動向は市場全体の株価に影響を与えるからです。

また、規模が大きい企業、象徴的な企業などの決算発表や業績見通しなども市場全体の株価変動要因となることがあります。

企業業績を判断する材料

企業の決算発表、企業業績に関する経済指標、ニュース、国際機関・政府・中央銀行・政府関係機関・民間団体等の経済見通しや経済レポートなどによって企業業績の動向を判断します。

金利

金利の動向も市場全体の株価変動要因となります。金利が上昇すると資金調達する際の金利が上昇し設備投資などが鈍ることや、金利が上昇すると株式から債券への投資資金の動きが発生することなどから、金利上昇は株価の下落要因となります。

ただし、金融関連銘柄にとっては金利上昇により融資する際の金利(貸出金利)が上昇し貸出金利と預金金利の差である利ざやが改善するため、株価上昇要因となる場合があります。

逆に金利が低下すると、資金調達の際の金利が低下し投資が活発化するほか、債券から株式への投資資金の動きが発生するため、金利低下は株価の上昇要因となります。

金利を判断する材料

金利については、中央銀行の政策金利や、10年国債利回りなどにとって判断します。

物価

物価は市場全体の株価変動要因となります。一般的に株価と物価は連動すると考えらえています。物価が上昇すると、企業が提供するモノやサービスの価格が上昇し、企業業績を名目上押し上げることがあるためです。そのため、物価上昇は株価の上昇要因となります。一方で物価下落は株価の下落要因となります。

物価を判断する材料

物価については、国によって指標が異なりますが、消費者物価指数、企業物価指数、生産者物価指数、卸売物価指数、GDPデフレーターなどの物価に関する指標や、国際機関・政府・中央銀行・政府関係機関・民間団体等の経済見通しや経済レポートなどによって把握します。

為替レート

為替相場は市場全体の株価変動要因となります。国・市場によって為替レートへの反応は様々ですが、日本の場合には輸出企業の影響が大きいため、円安ドル高(自国通貨安)になると株価が上昇し、円高ドル安(自国通貨高)になると株価が下落する傾向があります。

ただし、輸入企業は円安ドル高(自国通貨安)で株価が下落し、円高ドル安(自国通貨高)で株価が上昇する傾向があります。

通貨がその国の信用度合いを示すような状況にある新興国では、自国通貨高は資金流入などを背景としていることから株価上昇、自国通貨安は資金流出などを背景としていることから株価下落となることがあります。

為替レートを判断する材料

為替については、為替レート(ドル/円レート、ユーロ/円レートなど)で判断します。

政治情勢

国の政治情勢は株式市場全体の株価変動要因となります。国の政治情勢が不安定化すると、経済政策の停滞への懸念から株価の下落要因となります。逆に政治情勢が安定化すると経済政策への期待から株価の上昇要因となることがあります。

ただし、政権に対する期待が剥落している場合、政治情勢が不安定化し、政権交代となる場合の方が株価上昇要因となる場合があります。新政権に期待して株価が上昇するような動きです。

その他、内戦や地域的な緊張感の高まりなどの地政学リスクが株価に影響を与える場合があります。

政治情勢を判断する材料

政治情勢については、政治・社会情勢に関するニュース、政権の支持率などによって判断します。

経済・財政政策

経済財政政策は株式市場全体の株価変動要因となります。規制緩和などの経済政策によって経済成長率や企業業績の改善が見込まれる場合や、積極的な財政出動が見込まれる場合には、株価上昇要因となることがあります。逆に経済政策に期待が持てないような場合、政府が財政出動を控えて緊縮財政路線・財政再建路線をとる場合には株価下落要因となることがあります。

ただし、極端に財政が悪化していて財政破綻の懸念があるような場合は、緊縮財政路線が好感されて株価上昇要因となることがあります。

経済・財政政策を判断する材料

経済・財政政策については、政府の公表資料、財政に関する指標(歳出・歳入、政府債務残高など)や国際収支に関する指標(国際収支統計など)、政治・社会情勢に関するニュース、民間団体等のレポートなどから判断します。

金融政策

中央銀行の金融政策は株式市場全体の株価変動要因となります。政策金利の引き下げや流動性の供給(国債などの買い入れ等)などの金融緩和を実施すると金利低下となるため、株価の上昇要因となります。

逆に政策金利の引き上げや流動性の吸収(国債などの売り、買い入れの停止等)などの金融引き締め、金融緩和正常化などを実施すると金利上昇となるため、株価の下落要因となります。

金融政策の判断材料

金融政策については、中央銀行の公表資料や金利動向によって判断します。金利は中央銀行の金融政策を予測して動くからです。また、国際機関・政府・政府関係機関・民間団体等のレポートが中央銀行の金融政策を予想するための参考になることがあります。

自然災害・事故

自然災害の発生は、経済成長率、景気動向、企業業績に影響を与える可能性があり、株式市場全体の株価変動要因となることがあります。

基本的には、地震、台風、洪水、火山の噴火、航空機事故、工場の爆発などの自然災害や事故は株価のマイナス要因になります。

株式市場全体の株価変動要因(市場の要因)

株式市場全体の株価変動要因となる市場の要因についてです。

需給動向

株式の需給動向は株式市場全体の株価変動に大きな影響を与えます。

外国人投資家の売買動向

外国人投資家の売買動向は市場全体の値動きに大きな影響を与えます。外国人投資家が購入する場面では株価は上昇し、売却する場面では株価は下落する傾向があります。

中央銀行の売買動向

中央銀行は通常株価の売買を行いませんが、例外的に中央銀行が株式(ETF等間接的な購入を含む)を購入するような政策を行う場合には需給動向を通じて株式市場全体に影響を与えます。中央銀行による株式購入は株価上昇要因、株式売却は株価下落要因となります。

投資信託の設定動向

投資信託への資金流入から投資信託が多数設定されるような場合には、株式の需給が引き締まり株価上昇要因となることがあります。逆に投資信託の解約が相次ぐような局面では株式の需給が緩み株価下落要因となることがあります。

先物取引・オプション取引や信用取引等の動向

先物取引の裁定取引や信用取引の動向が株式市場全体の変動要因となることがあります。買いや売りの残高が一方的に偏っている場合には、反対売買による残高(ポジション)の解消への警戒感から株価の変動要因となることがあります。買い残が積み上がっている場合は解消売りから下落要因、売り残が積み上がっている場合には解消買いから上昇要因となることがあります。

オプション取引の動向が株価水準に影響を与える場合もあります。オプションの売買が盛んな株価水準で市場参加者の思惑が働きやすい傾向があります。

自社株買い

企業の自社株買いは、個別銘柄の変動要因にとどまらず、市場全体の価格変動要因となることがあります。特に多くの企業が自社株買いを活発化させるような局面では株式需給の引き締まりへの期待から、株式市場全体の株価が押し上げられることがあります。

増資・売り出し

増資や売り出しは、個別銘柄の変動要因にとどまらず、市場全体の価格変動要因となることがあります。増資とは新規に株式を発行して売却すること、売り出しは既存の株式を売却することを指し、増資の場合には株式の希薄化と需給の悪化、売り出しの場合は需給の悪化が発生し、どちらも株価の下落要因となることがあります。

増資や売り出しが短期間で相次ぐ場合には、株式市場全体のマイナス要因になります。

新規株式公開(IPO)に伴う資金の動き

新規公開株式(IPO)が相次ぐと、新規公開株式への需要の高まりを受けて、既存の株式市場から資金が移動する場合があり、株価の下落要因となることがあります。

M&Aの活発化

M&Aが活発化すると、企業業績の改善期待から株価上昇要因となることがあります。通常はM&Aは個別銘柄の変動要因となりますが、M&Aが活発化すると個別銘柄の変動要因にとどまらず、市場全体の価格変動要因となることがあります。

企業業績の改善期待にとどまらず、M&Aの活発化により株式が吸い上げられるので、株式需給の引き締まりが意識される場合もあります。

バリュエーション

バリュエーションとは企業価値評価のことをいいますが、投資においては、株価が企業の価値に見合った水準か、すなわち割安か割高かを判断するための方法をいう意味で用いられます。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、配当利回りなどが有名です。割安と判断される場合には株価上昇要因に、割高と判断される場合には株価下落要因になります。

テクニカル要因

テクニカル要因は株式市場全体の株価変動要因となることがあります。過去の高値水準や安値水準は株価の目安として意識されるため、株価の動向に影響を与えます。

ゴールデンクロスやデッドクロス、ダブルトップやダブルボトム、三角持ち合い形成などのチャート分析や移動平均線や移動平均線からのかい離率、ボリジャーバンド、一目均衡表、モメンタム、RSI、ストキャスティクス、パラボリック、サイコロジカルライン、MACD、ボラティリティなど様々なテクニカル分析が株式市場全体に影響を与えることがあります。

テクニカル要因は、過去の相場の動きからあり得る相場を予測する経験則となるほか、投資家がテクニカル要因を考慮して投資行動を行うため、結果的にテクニカル要因が示すとおりの相場展開になることから相場に影響を与えると考えられます。

投資家心理

投資家心理は株式市場の株価変動要因となります。投資家心理が好転・改善している場面、リスク選好的な場面では、株式に対する投資意欲が強く株価が上昇しやすい相場環境にあると言えます。一方で、投資家心理が悪化・萎縮している場面、リスク回避的な場面では株式に対する投資意欲は弱く株価が下落しやすいと言えます。

投資家心理は、株価の先行き不透明感を強めるような出来事・ニュースやリスク要因によって悪化し、先行き不透明感が解消されるような出来事・ニュースによって改善する傾向があります。

海外市場動向

海外の株式市場、金利市場、外国為替市場、商品市場、不動産市場などが株価に影響を与える場合があります。日本の株価は米国の株価と連動性があるため、米国株価が上昇すると株価は上昇する傾向があります。また、海外の金利が上昇すると日本の株価にはマイナスの影響を与える場合があります。その他、原油価格の動向などが日本の株価に影響を与えることがあります。

まとめ

  • 株価の変動要因には株式市場全体の株価変動要因と個別銘柄の株価変動要因があります。市場全体と個別銘柄の株価変動要因については、それぞれ経済的要因と市場の要因があります。
  • 株式市場全体の株価変動要因には、経済的要因として経済成長率、景気の動向、金利、為替レートなどがあります。市場の要因には需給動向、バリュエーション、テクニカル要因、投資家心理などがあります。

スポンサーリンク

【株価の変動要因の記事は終わりです】

「資産運用|お金を増やす」のページに戻る



SNSでシェア・ブックマーク・後で読む

Twitter Facebook LINE はてな Pocket
最近よく読まれているページ
家計・節約のおすすめページ

ページの先頭へ