投資信託の費用(コスト)
記事作成日:2015年10月5日
最終更新日:2022年6月19日
投資信託に投資する場合には様々な費用・コストがかかります。申込手数料(販売手数料)など直接負担する費用は気にしている人も多いのですが、間接的に負担する運用管理費用(信託報酬)は意識していない人もいます。しかし、保有期間に応じて発生する運用管理費用(信託報酬)は投資信託からリターンを得る上でとても重要なので注意しましょう。運用管理費用(信託報酬)の水準は投資信託の売買を行う時は必ず確認することが大切です。
スポンサーリンク
投資信託の費用
投資信託は次のような費用が発生します。
購入時 | 申込手数料 |
---|---|
信託財産留保額 | |
保有時 | 運用管理費用(信託報酬) |
運用に関する諸費用 | |
分配時 | 所得税・住民税等 |
解約・換金時 | 信託財産留保額 |
換金手数料 | |
所得税・住民税等 |
(備考)投資信託や購入・解約の状況によっては発生しない費用もあります。
投資信託の購入時の費用
投資信託を購入する時には手数料がかかります。購入時の手数料を意識している人は多いと思いますが、当然安ければ安い方が投資家にとっては良いです。しかし、購入時の手数料が安い代わりに、運用管理費用(信託報酬)などの保有時の手数料が高い場合もあるので、購入時の手数料だけでなく、保有時や解約時のコストも考えてトータルでコストが下がるように気を付けましょう
申込手数料(買付手数料・販売手数料・募集手数料)
申込手数料とは投資信託を購入する時に、投資信託を販売している会社に支払う手数料です。販売会社によって呼び方が違う場合があり、買付手数料や販売手数料と呼ぶ場合もあります。設定前の場合は募集手数料と呼ばれる場合があります。申込手数料には消費税がかかります。
申込手数料は販売会社が自由に決めることになっているため、同じ投資信託でも販売会社によって申込手数料が異なっていることがあります。同じ投資信託であれば当然申込手数料が安ければ安いほど良いので、安く販売している会社を選ぶようにしましょう。
なお、申込手数料が無料の投資信託を「ノーロード投資信託」、「ノーロードファンド」と言います。販売手数料は無料ということです。また、購入金額が増えるほど申込手数料が割引になる場合もあります。大口割引ということです。
申込手数料の支払い方法には内枠方式と外枠方式があります。内枠方式とは、手数料や手数料にかかっている消費税が購入金額に含まれている方式で、手数料等を差し引いて残った金額で運用を行います。主に購入期間が限定されている単位型投資信託で採用されています。外枠方式とは、手数料や手数料にかかっている消費税が購入金額とは別に請求される方式で、設定後も購入が可能な追加型投資信託で採用されています。
購入時信託財産留保額
信託財産留保額とは信託財産留保金とも呼ばれます。ほとんどの投資信託では購入時に信託財産留保額は発生しないのですが、まれに購入時に信託財産留保額を負担する必要がある投資信託が一部存在します。信託財産留保額は一般的に解約時に負担する費用なのですが、取引で発生する費用等の関係上、購入時に信託財産留保金を徴収することで受益者間の公平性を確保しようとしている場合があります。
投資信託の保有時の費用
投資信託を保有している間は、投資信託の運用や管理に対する報酬である運用管理費用(信託報酬)や運用に関する諸費用が信託財産から差し引かれ、間接的に費用を負担します。運用管理費用(信託報酬)が高い投資信託では思ったように利益を上げられない場合があるので料率(報酬率)に注意が必要です。
運用管理費用(信託報酬)
運用管理費用(信託報酬)とは、投資信託を保有している期間に応じて発生する費用です。運用管理費用(信託報酬)は投資信託の運用や管理などに対する報酬として、委託会社、販売会社、受託会社が投資信託の信託財産の中から受け取る報酬で、日々投資信託の信託財産から差し引かれていて、投資家が間接的に負担しています。運用管理費用(信託報酬)には消費税がかかります。
委託会社は運用会社のことで投資信託委託会社が該当していて、受託会社と契約して投資信託の運用や指図を行います。
販売会社は証券会社や銀行などの金融機関が該当していて、投資信託の販売や、販売後の口座での投資信託の管理、分配金の支払いや解約・換金時の支払いなどを行います。
受託会社は信託銀行や信託会社、信託業務を行う銀行が該当していて、委託会社からの指図を受けて株式や債券などの売買を行い、信託財産を管理します。
運用管理費用(信託報酬)は、インデックスに連動する運用を行うパッシブファンドでは低く、ベンチマークを上回る運用成果を目指すアクティブファンドでは高くなる傾向があります。特に、海外の特殊な資産に投資したり、投資の仕組みが複雑であったりすると、運用管理費用(信託報酬)は高くなる傾向があります。運用管理費用(信託報酬)は日々かかってくるものであるため、運用管理費用(信託報酬)を上回る運用成績が得られないと、運用管理費用(信託報酬)の分で投資のリターンがマイナスとなってしまうため、投資信託選びでは運用管理費用(信託報酬)の料率が極めて重要です。
間接的に負担する運用に関する諸費用
投資信託の保有時には運用管理費用(信託報酬)以外にも投資信託の運用に関する諸費用が信託財産から差し引かれ、投資家が間接的に費用を負担することになります。間接的に負担する費用や手数料には、株式や先物・オプションなどの売買委託手数料や取引手数料、信託財産に関する租税、監査を受けるための費用、法律や税務に関する相談費用、信託事務の処理の費用、海外における資産の保管費用、借入金や立替金の利息などがあります。
投資信託の分配時の費用
投資信託から分配金が支払われた場合には税金が発生する場合があります。
所得税・住民税
投資信託が分配金を支払った場合に、普通分配金部分に対して所得税・復興特別所得税や住民税が発生することがあります。元本の払い戻しに過ぎない特別分配金部分に対しては所得税や住民税は発生しません。
投資信託の解約時(換金時)の費用
解約・換金時には信託財産留保額など費用が発生する場合があります。また、利益が出れば税金が発生する場合があります。
解約時信託財産留保額
信託財産留保額とは信託財産留保金とも呼ばれます。信託財産留保額は購入時や解約時に必要となる場合がありますが、信託財産留保額の負担がない投資信託も存在します。
投資信託を運用している途中で購入したり解約したりする場合には、投資信託で株式や債券などを購入したり売却する必要がありますが、費用が発生します。途中の購入や解約の費用を既存の投資信託の受益者が負担するのは不公平との考え方から、費用負担を途中で購入する人や解約する人に信託財産留保額として求める場合があります。信託財産留保額はその名前の通り信託財産に留保される額なので販売会社や運用会社、受託会社の利益にはなりません。
信託財産留保額は、手数料ではなく信託財産に残されるお金なので消費税はかかりません。
MMFなどでは短期で解約した場合、運用に影響することがあるためペナルティー的な意味合いで信託財産留保金を課していることがあります。このような場合には、一定期間解約しなければ信託財産留保額が発生しません。
換金手数料(解約手数料)
換金手数料は解約手数料とも呼ばれ、解約時(買取時)に発生する手数料です。多くの投資信託では換金手数料発生しませんが、公社債投資信託などでは申込時には申込手数料や販売手数料を徴収しない代わりに、解約時(買取時)に換金手数料や解約手数料として手数料の負担がある場合があります。換金手数料は投資信託に関する情報提供や事務費用の対価というような説明がされます。換金手数料は手数料なので消費税がかかります。
所得税・住民税
投資信託は解約時(買取時)、償還時に差益が発生した場合には所得税・復興特別所得税や住民税が課税される場合があります。
投資信託にとって費用負担(コスト)は重要
投資信託に投資して儲かるかどうかは、投資信託の運用成績も大切ですが、同じくらいコストも大切です。投資信託のコストの重要性については「信託報酬(運用管理費用)は確実なマイナスリターン」でも詳しく説明しています。
まとめ
- 投資信託では購入時だけでなく、保有時や分配時、解約時にも費用が発生します。
- 特に運用管理費用(信託報酬)は投資信託のパフォーマンスを左右するため、料率に気を付けましょう。