資本回収係数とは(意味や定義・使い方・計算式・資本回収係数表)
記事作成日:2018年4月14日
資本回収係数とは、現在の元本を一定期間、一定利率で複利運用しながら、毎期同額ずつ取り崩す(回収する、受け取る)場合に毎期の取崩金額(回収金額、受取金額)はいくらになるかを計算するために使う係数です。
資本回収係数の定義は「現在の元本金額×資本回収係数=毎期(毎年)の取崩金額」から、「資本回収係数=毎期の取崩金額÷現在の元本金額」ということになります。
つまり、資本回収係数とは、毎期の取崩金額の元本金額に対する割合を示した係数です。現在の元本に資本回収係数を掛けることで、毎期(通常は毎年)の取崩金額(回収金額・受取金額)が分かります。
「資本回収係数」の読み方は「しほんかいしゅうけいすう」です。資本回収係数は、年賦償還率(ねんぷしょうかんりつ)、元利均等償還率(がんりきんとうしょうかんりつ)ともいいます。資本回収係数の英語は「capital recovery factor」などとなります。
また、「年金現価係数=現在の元本金額(年金原資)÷毎期(毎年)の受取金額」であることから、資本回収係数は年金現価係数の逆数です。
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資本回収係数の図解
資本回収係数とは、現在の元本(年金原資)を毎期一定金額取崩しながら、一定期間、一定利率で複利運用した場合に、毎期の取崩金額はいくらになるかを求める係数です。現在の元本金額(年金原資)に資本回収係数をかけることで毎期の取崩金額(年金)を算出できます。
資本回収係数の使い方・使用例
資本回収係数は「現在の元本金額×資本回収係数=毎期(毎年)の取崩金額」となるため、最初の元本に資本回収係数をかけると毎期(通常は年単位で使い毎年)の受取金額(取崩金額、回収金額)を求めることができます。
手元にある資金を一定期間複利運用しながら毎年受け取ることができる年金の金額を求める場合に使用されることがあるほか、住宅ローンなどの借入金の毎年の返済金額を求める場合にも利用できます。
ただし、住宅ローンの返済は通常1年に1回期末だけという訳ではなく毎月行われるため、年単位で資本回収係数によって計算した毎年の返済金額は実際の返済金額とは異なり、概算となります。
借金の返済額の計算に資本回収係数が使える理由
住宅ローンなどの借金の返済金額を求めるために資本回収係数が利用できる理由は、住宅ローンなどの融資を貸している側からみると、融資金額が当初の元本、借入金利=融資金利で複利運用、毎期一定金額を受け取る(元利金の返済を受ける)と考えると、元本を一定期間、一定利率で複利運用しながら、毎期同額ずつ回収するという資本回収係数の定義に当てはまるためです。
資本回収係数の例題
(例題1)2000万円の退職金を年率1%で20年間複利運用しながら毎年同額取り崩す場合、毎年の取崩額はいくらになるか?
利率1%、20年の資本回収係数は0.0554なので、2000×0.0554=110.8(万円)となります。
(例題2)住宅ローン3000万円を年率2%、35年返済で借りた場合、毎年の年間返済額はおよそいくらか?(毎年1回返済と仮定)
利率2%、35年の資本回収係数は0.0400なので、3000×0.0400=120.0(万円)となります。
資本回収係数の求め方・出し方
資本回収係数は資本回収係数表がある場合には、資本回収係数表から資本回収係数の値を探して求めます。資本回収係数表がない場合には、資本回収係数の計算式から資本回収係数を自分で計算によって算出する方法によって求めます。
資本回収係数を計算で算出する方法(計算式)
資本回収係数は資本回収係数表がある場合には資本回収係数表から値を求めます。資本回収係数表がない場合、資本回収係数表には載っていない場合には、次の資本回収係数の計算式から計算で求める方法もあります。資本回収係数の出し方は次の計算式に「r:利率(年間の運用利率)」と「n:期間(年)」を入力することによって算出することができます。
資本回収係数:{r・(1+r)n}/{(1+r)n-1}
資本回収係数の計算式の求め方
資本回収係数は、現在の元本を一定の期間、一定の利率で複利運用しながら、毎期同額ずつ取り崩す(回収する、受け取る)場合に毎期の取崩金額(回収金額、受取金額)はいくらになるかを求める係数です。
ここで「資本回収係数=毎期の取崩金額÷現在の元本金額」、「年金現価係数=現在の元本金額÷毎期の受取金額(取崩金額)」であることから資本回収係数は年金現価係数の逆数となります。年金現価係数は次の式となります。
年金現価係数={(1+r)n-1}/{r・(1+r)n}
年金現価係数の逆数から次のように資本回収係数を求めることができます。
1/年金現価係数=資本回収係数=1/{(1+r)n-1}/{r・(1+r)n}={r・(1+r)n}/{(1+r)n-1}
資本回収係数の覚え方
現在の元本金額から、毎期(毎年)の回収金額を求めるので、資本回収係数となります。この毎期(毎年)の回収金額は現在の金額ではなく、将来の金額を指していることに注意が必要です。資本回収係数と対になるのは年金現価係数で、年金現価係数は毎年一定の年金を受け取るために必要な現在の元本(年金原資)を求める係数です。
また、資本回収係数に似ている係数に減債基金係数があります。減債は債務を減らすという意味があるため、借金(ローン)の返済額を求めるために利用できそうですが、この減債、債務を減らすというのは満期等に一括で返済(償還)する債券の償還などに備えるものです。
「減債基金」という言葉の意味を知ると間違えなくなるのですが、減債基金は将来の借金の返済(償還)のために、毎期積み立てて準備する返済原資という意味です。毎期返済していく訳ではないので、減債基金係数は毎期返済する住宅ローンには使用できないということになります。
資本回収係数は、その言葉通り「回収」する金額を求める係数で、毎期(毎年)回収するというイメージを持てれば覚えやすくなります。
資本回収係数を計算するエクセル関数
資本回収係数をエクセルで計算する場合には、PMT関数を用います。PMTは「Payment」(支払い)です。PMT関数は(利率,期間,現在価値,将来価値,支払期日)を入力します。
資本回収係数を計算したい場合、利率には複利運用する利率(例:1%なら0.01または1%)、期間には運用期間(例:5年なら5)、現在価値は「-1」(負の結果となるためマイナスとし、最初は1を原資に取崩)、将来価値は「0」(最終時点で全て取り崩されてなくなるため)、支払期日は省略するか「0」(通常期末で算出します)と入力します。
資本回収係数表
資本回収係数表は以下の通りとなります。現在の年金原資から毎年受け取れる年金額を計算するための表としても使えます。
期間 | 1% | 2% | 3% | 4% | 5% |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1.0100 | 1.0200 | 1.0300 | 1.0400 | 1.0500 |
2 | 0.5075 | 0.5150 | 0.5226 | 0.5302 | 0.5378 |
3 | 0.3400 | 0.3468 | 0.3535 | 0.3603 | 0.3672 |
4 | 0.2563 | 0.2626 | 0.2690 | 0.2755 | 0.2820 |
5 | 0.2060 | 0.2122 | 0.2184 | 0.2246 | 0.2310 |
6 | 0.1725 | 0.1785 | 0.1846 | 0.1908 | 0.1970 |
7 | 0.1486 | 0.1545 | 0.1605 | 0.1666 | 0.1728 |
8 | 0.1307 | 0.1365 | 0.1425 | 0.1485 | 0.1547 |
9 | 0.1167 | 0.1225 | 0.1284 | 0.1345 | 0.1407 |
10 | 0.1056 | 0.1113 | 0.1172 | 0.1233 | 0.1295 |
11 | 0.0965 | 0.1022 | 0.1081 | 0.1141 | 0.1204 |
12 | 0.0888 | 0.0946 | 0.1005 | 0.1066 | 0.1128 |
13 | 0.0824 | 0.0881 | 0.0940 | 0.1001 | 0.1065 |
14 | 0.0769 | 0.0826 | 0.0885 | 0.0947 | 0.1010 |
15 | 0.0721 | 0.0778 | 0.0838 | 0.0899 | 0.0963 |
16 | 0.0679 | 0.0737 | 0.0796 | 0.0858 | 0.0923 |
17 | 0.0643 | 0.0700 | 0.0760 | 0.0822 | 0.0887 |
18 | 0.0610 | 0.0667 | 0.0727 | 0.0790 | 0.0855 |
19 | 0.0581 | 0.0638 | 0.0698 | 0.0761 | 0.0827 |
20 | 0.0554 | 0.0612 | 0.0672 | 0.0736 | 0.0802 |
21 | 0.0530 | 0.0588 | 0.0649 | 0.0713 | 0.0780 |
22 | 0.0509 | 0.0566 | 0.0627 | 0.0692 | 0.0760 |
23 | 0.0489 | 0.0547 | 0.0608 | 0.0673 | 0.0741 |
24 | 0.0471 | 0.0529 | 0.0590 | 0.0656 | 0.0725 |
25 | 0.0454 | 0.0512 | 0.0574 | 0.0640 | 0.0710 |
26 | 0.0439 | 0.0497 | 0.0559 | 0.0626 | 0.0696 |
27 | 0.0424 | 0.0483 | 0.0546 | 0.0612 | 0.0683 |
28 | 0.0411 | 0.0470 | 0.0533 | 0.0600 | 0.0671 |
29 | 0.0399 | 0.0458 | 0.0521 | 0.0589 | 0.0660 |
30 | 0.0387 | 0.0446 | 0.0510 | 0.0578 | 0.0651 |
31 | 0.0377 | 0.0436 | 0.0500 | 0.0569 | 0.0641 |
32 | 0.0367 | 0.0426 | 0.0490 | 0.0559 | 0.0633 |
33 | 0.0357 | 0.0417 | 0.0482 | 0.0551 | 0.0625 |
34 | 0.0348 | 0.0408 | 0.0473 | 0.0543 | 0.0618 |
35 | 0.0340 | 0.0400 | 0.0465 | 0.0536 | 0.0611 |
36 | 0.0332 | 0.0392 | 0.0458 | 0.0529 | 0.0604 |
37 | 0.0325 | 0.0385 | 0.0451 | 0.0522 | 0.0598 |
38 | 0.0318 | 0.0378 | 0.0445 | 0.0516 | 0.0593 |
39 | 0.0311 | 0.0372 | 0.0438 | 0.0511 | 0.0588 |
40 | 0.0305 | 0.0366 | 0.0433 | 0.0505 | 0.0583 |
(注)期末に利子の処理を行う方式、小数第5位を四捨五入。
(出典)fromportal.comの担当者が作成
まとめ
- 資本回収係数は、現在の元本(年金原資)を一定期間、一定利率で複利運用しながら、毎期同額ずつ取り崩す(回収する、受け取る)場合に毎期の取崩金額(回収金額、受取金額)はいくらになるかを計算するために使う係数です。
- 現在の元本金額(年金原資)に資本回収係数をかけることで、毎期の受取金額(取崩金額)を求めることができます。