戸籍を分ける(分籍をする人)の数・割合
記事作成日:2018年6月12日
戸籍を分ける手続き(分籍)をする人の数や割合についてです。戸籍は親と子の2世代で編成されているため、親の戸籍から子が抜ける場合に分籍届によって戸籍を分けることがあります。近年の戸籍の分籍届は約1万6千~7千件前後で推移していて、それほど多くはありません。あまり分籍によって戸籍を分ける人はいないということになります。
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分籍数(分籍届出件数)は年間で約1万6~7千件前後
法務省の戸籍統計によると、2016年度の戸籍を分ける手続きである分籍届は16,405件となっています。過去10年間の分籍届の件数の推移をみると、増減はありますがほぼ横ばいの動きとなっていて1万件6千~1万件7千前後での推移となっています。
(出典)法務省の戸籍統計を基にfromportal.comの担当者が作成
分籍をする人は人口比で1年間当たり約0.01%
分籍届は基本的に戸籍のうちの1人が戸籍から抜けるための手続きであるため件数=人数と考えられ、仮に平成27年国勢調査結果による2015年10月1日人口(約1億2,700万人)に対する割合を計算すると約0.01%となり、1年間で分籍をする人の人口に対する割合は極めて小さくほとんど分籍は行われないということになります。
一生涯の人生で計算しても100人に1人しか分籍しない
仮に人生が80年とすると計算上80×0.01%=0.8%≒0.01となり、一生涯で計算しても100人いたら約1人しか分籍を行わないという計算になります。ほとんどの人は分籍届という手続きをしないまま人生を過ごすことになるのです。
分籍件数と引越件数・転籍件数との比較
戸籍を分ける分籍届の件数を住民票を移した件数(≒引っ越し件数)や戸籍を移す転籍届の件数と比較すると以下のようになり、分籍は圧倒的に少ないことが確認できます。
種別 | 人数・件数 |
---|---|
住民票を移した人(2016年) | 約741.7万人 |
戸籍の転籍件数(2016年度) | 約37.6万件 |
戸籍の分籍件数(2016年度) | 約1.6万件 |
(注)戸籍の転籍は人数ではなく届出件数、転籍は戸籍内の全員が転籍となるため転籍者数は届出件数より多くります。住民票を移した人は当サイトによる推計値です。
(出典)総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告、平成27年国勢調査結果、法務省の戸籍統計を基にfromportal.comの担当者が作成
分籍が想定される場面は限られる
戸籍を分ける(分籍届を行う)ことが想定される場面は限られることが分籍届がそれほど多くない原因と考えられます。
分籍は親の戸籍から抜けるために行われるため、手続きをする場合でも通常は一生に1度になるとみられること、子は結婚をして婚姻届を提出すると親の戸籍から抜けるため分籍をする必要性が薄いこと、戸籍を分けてもメリットがそれほどないことなどが届出件数が少なくなっている原因になっているとみられます。
戸籍を分ける場面としては、実家から出て一人暮らしを始める場合、離婚した親の再婚前に戸籍を抜く場合、親と心理的に距離を置きたい場合、遠隔地にある親の戸籍から抜けて近くに移す場合などが想定されますが、実際メリットがあるからという訳ではなく、心情的な観点から行われる場合があります。
分籍のメリットはほとんどない一方デメリットもある
分籍によって戸籍を分けるメリットは事実上ほとんどありません。分籍によって戸籍を自分の住所地の近くに移すことで自分の住んでいる地域の役所で戸籍関係の証明書類を取得しやすくするということがメリットです。
しかし、分籍届によって戸籍を移してしまうと複数の地域の役所に戸籍が存在していたということになります。戸籍が置かれていた地域を所管する役所で記録が残るため、記録が複数の地域の役所に分散し、戸籍に関する手続きで証明が必要になった場合に手続きが煩雑になってしまうというデメリットもあるのです。
まとめ
- 近年の分籍件数は、1年間当たり約1万6~7千件前後となっていて、分籍によって戸籍を分ける人は極めて少ないことが確認できます。
- 分籍は親の戸籍から子が抜ける場合に行われるため一生の間で複数回戸籍を分けることは通常想定されないこと、婚姻によって子は親の戸籍から抜けるため敢えて分籍届をする必要がないこと、分籍によるメリットがほとんどないことなどが少ない理由と考えられます。