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退職金なし・退職金制度がない会社の割合と対処方法

記事作成日:2016年7月18日
最終更新日:2019年6月16日

退職金なし、退職金制度がない会社の割合と、退職金なしの会社で働く場合の考え方、老後の生活資金の準備方法について説明しています。退職金なしの企業は案外多く、約5分の1の企業では退職金制度がありません。退職金なしの場合には、老後の生活に向けて計画的な貯金・資産運用を行っていく必要があります。

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退職金なし・退職金制度がない会社の割合は約5分の1

退職金なし、つまり退職金制度がない企業の比率は厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」によると19.5%となっています(退職金制度がある企業は80.5%)。約20%、約5分の1の企業では退職金制度がないことになります(常用労働者が30人以上の民営企業)。

厚生労働省「就労条件総合調査」は常用労働者が30人以上の民営企業が調査対象となっていて、「平成30年就労条件総合調査」は2018年1月1日時点の状況が調査されています。

5年前と比較して退職金制度がない企業の比率はやや減少増加

ちなみに、5年前(平成25年就労条件総合調査・2013年1月1日時点調査)では退職金制度がない企業は24.5%となっています(退職金制度がある企業は75.5%)。

平成27年調査から調査対象企業の定義が変更になっているため、平成25年調査と同じ定義で集計した平成30年調査の退職金制度がない企業の結果は22.2%(退職金制度がある企業は77.8%)なので、退職金制度がない企業の比率はやや減少したことになります。

退職金制度は、一般的に充実させると労働者の募集で有利になるため、企業に余裕があり、人手が欲しい場合には、充実する傾向があります。そのため、近年は退職金制度を充実させる企業が少し出てきたということになります。

逆に、経済環境が厳しくなって企業のゆとりがなくなっていくと、退職金なしの企業が増えていく可能性があります。

企業規模が小さいほど退職金なしの傾向

企業の規模別にみると、退職金制度がない企業の比率は従業員1,000人以上が7.7%、300~999人が8.2%、100~299人が15.1%、30~99人が22.4%と規模が小さくなるほど増えていることが分かります。逆に退職金制度がある企業の比率は従業員1,000人以上が92.3%、300~999人が91.8%、100~299人が84.9%、30~99人が77.6%となります。

実際には、常用労働者が30未満の企業も多く、規模が小さくなるほど退職金なしの場合が増えると推測されるので、更に規模が小さい企業を含めると退職金制度がない企業の比率は大きくなると考えられます。

退職金制度がない企業の比率(2018年)
企業規模退職金制度なし
合計19.5%
1,000人以上7.7%
300~999人8.2%
100~299人15.1%
30~99人22.4%

(出典)厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」

会社は退職金を支給する義務はない

退職金の支給は義務ではありません。退職金制度がないこと自体には何の問題もありません。退職金を一切支給しなくても会社の自由です。退職金を払うか払わないかということは、労働の対価をどのように払うかという問題なので、会社側の考え次第なのです。

退職金の支給ルールは就業規則に定められる

労働基準法では、退職金を支給するルールを定める場合には、支給する労働者の範囲、計算方法、支払い時期などを就業規則に記載することが求められています。一度退職金のルールが定められると、労働者の不利になるような変更は簡単にはできなくなります。

退職金がない会社に勤めることをどう考えるか

退職金の制度がない会社は勤め先としてどうでしょうか。単に退職金の制度がないというだけでダメな会社という訳ではありません。退職金の制度がない場合には大きく分けて2つの場合があり、単に待遇が悪いから退職金がない場合と、給料・賞与を多めにしているため退職金がない場合があります。

退職金としてもらうか給与として毎月もらうか

実は退職金のありなしよりも、働くことで得る毎月の給料、賞与、退職金、その他福利厚生でもらえるお金が合計でいくらなのかということが重要になります。会社によっては退職金がない代わりに毎月の給料を多めに支払っているかもしれませんし、毎月の給料が少ない代わりに退職金が多く出るということもありえます。

退職金は退職の時の後払いなので不確実な部分も

退職金は賃金の後払いのような性質がありますが、会社に勤めて退職する時点でもらうというところに注意すべき部分があります。例えば、退職金は経営不振などで企業が倒産してしまうと予定した金額がもらえなくなってしまう場合があります。

また、転職などによって中途退職した場合にはもらえる金額が少なくなることが多いですが、定年まで働くつもりだったのに何らかの理由で途中退職をする可能性もあります。病気やけがなどで働けなくなった場合、家族の都合で引っ越しをする場合、職場の人間関係のトラブルなどから職場に居辛くなってしまった場合など、気が変わって中途退職をする可能性がないとは言えません。

退職金制度は転職を考える人には不利な場合が多い

退職金制度がある会社は、転職を考えている人にとっては不利な部分が多いです。

退職金は長く勤めれば勤めるほど増加する傾向があり、勤続年数の長さによって支給額が大きく変わるので途中で途切れる転職者は退職金が少なくなりがちです。

退職金は自己都合退職をした場合には少なくなるように設定されていることが多いので、自己都合退職を前提とする転職希望者には不利になりやすいです。

そのため、転職を考えている人にとっては、退職金制度が充実している会社よりも、毎月の給料や賞与が多めに設定されている会社の方がありがたい場合があります。

退職金ではなく先にもらうと使ってしまう恐れも

退職金として退職時に一括あるいは年金の形でもらうのではなく、毎月の給料に含めてもらう場合、先にお金が入ってくることになるため、計画性がなかったり、浪費癖があったりすると貯めておかずに使い切ってしまう恐れがあります。退職金を老後に備えるべきお金としてもらっているはずなのに、退職時点までに使い切ってしまって老後のお金が無い、ということにもなりかねません。

参考:転職と退職金と生涯賃金

転職者は生涯賃金が下がることも

退職金がない会社は入ってもいいの?

退職金は単に給与水準が低い、福利厚生制度がほとんどないなど待遇が悪い会社であるため準備されていない場合と、退職金ではなく毎月の給料や賞与で退職金分を支払う場合があります。退職金なしの会社に入っても大丈夫でしょうか?

生涯賃金や転職の可能性も含めて考える

退職金制度がないと聞くと待遇が悪いと思いがちですが、生涯賃金は毎月の給料や賞与、各種福利厚生、退職金の合計金額になります。退職金の有無だけで待遇が良いかどうかとは判断が難しいのです。

また、人の出入りが想定されている場合には、年功的な色彩が強い退職金ではなく、毎月の給料や賞与で報いようとしていることもあるため、退職金がないから悪い企業とも言えないのです。あくまで生涯賃金を想定して考える必要があるのです。

さらに、転職を考えているような場合は退職金制度があると不利になってしまうこともあるため、転職の可能性も踏まえて考える必要があります。

退職金がなく給料・賞与が少ない会社は避けるべき

退職金制度がない代わりに毎月の給料や賞与(ボーナス)が多い、各種の福利厚生が充実しているというよう会社であればよいのですが、退職金制度がないだけでなく、毎月の給料や賞与が少なく、福利厚生もほとんどないという場合は、単に給与が低い会社なのでできれば避けた方が良いでしょう。

退職金がない代わりに給料・賞与が多い会社は問題ない

退職金制度がない代わりに毎月の給料や賞与(ボーナス)が多い、各種の福利厚生が充実しているという場合には、労働の対価を先にもらうか後でもらうかの話になるので、ライフスタイルが合えば問題ないと思われます。

むしろ世の中の不確実性が高いと考えるのであれば、後払いの退職金ではなく今もらえるものをもらってしまうということは合理的であるとも言えます。

また、転職を考えているような場合、退職金を退職時にまとめてもらうより先にもらって自分で管理したいというような場合には、退職金がない代わりに給料・賞与が多い会社は合っていると考えられます。

参考:入らない方がいい会社

辞めた方がいい会社・入らない方がいい会社

退職金なしの場合の老後の備え方

退職金なしの場合でも、普通の家計管理と同じように家計を見直して、収入を増やして支出を減らす、先取り貯金で貯金を増やす、資産運用をするというようなことが大切になります。なお、老後・定年後の収入源については次の記事が参考となります。

参考:老後のお金をどうするか

老後・定年後の生活を支える6つの収入源(お金)と最後の手段

退職金なしの場合にはライフプランを立て大丈夫か確認する

退職金がない場合にはライフプランを立ってみて、家計の収支が長期的に大丈夫かを確認しておくことも大切です。

特に退職して年金生活に入った段階で、いくら位の貯金を確保しておくべきなのか、老後の生活は破綻しないのかなどを確認しておく必要があります。

もし老後のお金が足りないようであれば、家計を見直して収入を増やすか支出を減らして備える必要があります。

退職金なしの場合は老後資金をしっかり貯金する

退職金がない場合に家計管理で気を付ける点についてです。老後生活に入る前に退職金というまとまったお金が入らないために老後の生活資金を計画的に貯めることが重要になります。

退職金ではなく給料・賞与が多い場合は、給料や賞与を使い切らないようにして、老後生活に備えてしっかりとお金を蓄えることが大切です。

また、待遇が悪いため退職金がない場合には、給料・賞与も少なめになるので毎月の家計管理でお金を貯めるのが難しくなりますが、支出を抑えて手取りの2割を貯金に回すようにすることが大切です。場合によっては収入を増やすために転職をすることも重要になります。

退職金なしの場合は資産運用も積極的に行い資産を増やす

退職金がない場合には貯金だけではなく、貯めたお金にも積極的に資産運用で働いてもらってお金を増やしていくことが重要になります。定年などによって退職をする時にまとまったお金が入らないので、老後の生活資金はできるだけ増やしておかなければいけません。

退職金なしの場合はもらえる年金の金額を増やす

退職金がない場合には、もらえる年金の金額を増やすことが重要です。老齢基礎年金は保険料納付済みの期間が長くなるほど、老齢厚生年金は平均標準報酬額が多くなり被保険者期間が長くなるほど増やすことができます。

国民年金の未納や免除がある場合には納付できないか確認しましょう。また、なるべく給与水準が高いところで働くと老齢厚生年金が増えます。

まとめ

  • 退職金の制度がない会社には大きく分けて2つの種類があり、単に待遇が悪いから退職金がない場合と、退職金の代わりに給料や賞与が多めに支払われるようになっているから退職金がない場合があります。
  • 退職金がない場合には、貯金をしっかりとして老後の生活資金を確保する、ライフプランを作ってみて老後の生活が破綻しないかどうか確認するということが重要になります。

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【退職金なし・退職金制度がない会社の割合と対処方法の記事は終わりです】

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