20代の資産運用・投資
記事作成日:2017年5月16日
最終更新日:2022年6月21日
20代の資産運用・投資のメリットや特徴、注意点、資産運用戦略など資産形成についてです。20代で資産運用・投資を始めると、投資期間を長くとることができ、時間を味方につけて大きな複利効果を得ることができます。また、資産運用・投資を始めることで、お金や経済・金融について学ぶきっかけになるほか、家計・貯蓄やライフプランについても意識するようになります。一方で、20代は資産運用に回せる元手が少ないことが課題です。
スポンサーリンク
20代で資産運用・投資をするメリット
20代で資産運用・投資をするメリットについてです。
20代の資産運用・投資は時間を味方につけて複利効果も期待できる
20代で資産運用・投資を始めると時間を味方につけることができ、大きな複利効果も期待できるようになります。20代、例えば25歳から始めたとし、老後生活を始める60代まで例えば65歳まで運用すると考えると、40年間あります。しかし、35歳からだと30年間、45歳からだと20年間と期間が短くなっていきます。
複利効果とは
複利効果とは投資元本だけでなく投資で得た利益(リターン)を再投資することによって、投資元本と利益が更に利益(リターン)を生む効果のことを言います。
具体的には100万円を投資して年3%の利益(リターン)が得られたとすると、100万円×3%=3万円の利益(リターン)が得られます。この3万円を別の事に使ってしまえば、翌年も100万円の投資を行うことになりますが、この3万円を再投資して翌年に103万円を投資すると増えた3万円からも利益(リターン)が得られるようになります。
翌年も3%の利回りで運用できたとすると、再投資なしの場合は100万円×3%=3万円の利益、再投資ありの場合は103万円×3%=3.09万円と0.09万円分だけ利益(リターン)が増えています。これが複利効果で年数が積み重ねられるほど、毎年の運用利回りが高いほど複利効果は大きくなります。
複利効果の例
複利効果の例として、運用利回りを年当たり1%、2%、3%で運用した場合にどのくらいお金が増えるかを表にまとめました。運用年数は5年から5年刻みで、10年、15年・・・50年としてあります。最初に投資した金額を100%としています。
例えば、年3%で40年間運用すると326.2%となりますが、最初が100%なので元本は3倍以上になることになります。年1%の運用でも40年間行うと148.9%となり、およそ1.5倍に増えることになります。
運用年数 | 運用利回り/年 | ||
---|---|---|---|
1% | 2% | 3% | |
5 | 105.1% | 110.4% | 115.9% |
10 | 110.5% | 121.9% | 134.4% |
15 | 116.1% | 134.6% | 155.8% |
20 | 122.0% | 148.6% | 180.6% |
25 | 128.2% | 164.1% | 209.4% |
30 | 134.8% | 181.1% | 242.7% |
35 | 141.7% | 200.0% | 281.4% |
40 | 148.9% | 220.8% | 326.2% |
45 | 156.5% | 243.8% | 378.2% |
50 | 164.5% | 269.2% | 438.4% |
20代は今後の収入の増加も期待できリスクを取りやすい
20代は資産運用・投資でリスクを取りやすい年代です。20代では会社員をしている場合、年収はそれほど高くないかもしれませんが、今後の年収の増加が期待できること、今後働く期間が長いことから、多少資産運用・投資で失敗をしてしまっても取り返すチャンスがたくさんあります。
また、20代の間は、独身の状態であることも多く、養うべき配偶者(妻・夫)や子供がいない場合、収入の多くの部分を資産運用・投資に回すことができ、固定的な支出も少ないため節約などによって失敗をカバーしやすい時期でもあります。
そのため、積極的にある程度リスクがある資産運用・投資を行っても、やり直すことができるため、挑戦しやすいといえます。
20代での資産運用・投資は長期的な視点で投資がしやすい
20代の資産運用・投資は投資期間が長く確保できるため、資産運用・投資でも長期的な視点に立った投資がしやすくなります。長期投資であれば、日々の値動きに必要以上に振り回されることなく、例えば、株式であれば企業の成長性に着目した投資ができます。
20代は資産運用・投資の勉強に向いている
人生常に勉強ではありますが、経済や金融、資産運用や投資の勉強は簡単ではありません。人間年齢を重ねていくと味が出る部分もありますが、新しいことを学ぶ適応力は若いほど高いため、60代よりは50代、50代よりは40代、40代よりは30代、30代よりは20代の方が新しいことを学び吸収することが容易です。
20代の若い時期は勉強に向いている時期なので、資産運用・投資を学ぶには最適なのです。
お金や経済・金融の知識は生活や仕事に役に立つ
資産運用・投資をするためには、経済や金融の知識、お金の知識を学ぶ必要があります。どのような時に株価が値上がりをするのか、金利はどのように動くのか、為替はどのような時に円安になったり、円高になったりするのかなどを知っておかないと資産運用・投資で十分な成果を上げることができません。
20代で資産運用・投資をする場合に、お金の知識、経済や金融の知識をしっかりと学んでおけば、日常生活や仕事でも役に立つことがあります。
資産運用・投資で家計や貯蓄を意識するようになる
20代で資産運用・投資を行うと、20代のうちから家計や貯蓄のことを強く意識するようになるので、長い目で見てお金で困る可能性が低下します。
資産運用・投資を行うためには元手が必要ですが、元手を確保するためには家計のやりくりをきちんと行い、投資のためのお金を作り出すことが重要です。
資産運用・投資を行うと、資産運用でお金を増やすことができるだけでなく、家計のやりくりもしっかりとするようになるのです。
貯蓄があれば結婚に踏み切りやすい
20代の若い頃から将来を見据えて計画的に貯蓄をするということはとても大切なことです。そして貯金をするということは結婚にも役立ちます。結婚をしたいというような相手が出来た時に、もし計画的に貯金をしていない、お金がないということになれば、結婚資金や子育てのお金、教育資金などが心配になってしまい、結婚に踏み切れないかもしれません。
しかし、結婚を考えるようになった時に、お金がしっかり貯まっていれば、金銭面で結婚や妊娠・出産を諦める必要がなくなります。結婚をする時にお金の心配をしなくて良いので、精神的にもゆとりができ、結婚に有利に働きやすいといえます。
20代での資産運用・投資の特徴や注意点
20代での資産運用・投資の特徴や注意点についてです
焦って成果を追い求め過ぎないようにする
20代の資産運用・投資であればじっくりと投資する期間があり、焦る必要はありません。しかし、20代の間は血気盛んな部分もあり、ハイリスク・ハイリターンな資産運用を行ってしまいがちです。短期間で、2倍、3倍・・・10倍といったように、短い期間で大きなリターンが得られるような投資を行ってしまいがちです。
例えば、FXで高いレバレッジをかけたり、信用取引を行ったり、オプションや先物投資をしたりということが考えられます。しかし、リターンを追い求めすぎてしまうと、リスクを取り過ぎてしまって、元手を失ってしまうことがあります。
元本の毀損だけで済めばまだ良いですが、FXでレバレッジをかけたような場合には、投資元本以上の損失を出してしまう可能性もあり、注意が必要です。
資産運用・投資は短期間で極端に高いリターンを追い求めてしまうと資産を形成するどころか、資産を失ってしまいかねないので注意が必要です。
生活資金と余裕資金(余剰資金)を分けて投資する
資産運用・投資をする場合には、必ず余裕資金(余剰資金)で行わなければいけません。食費や家賃などの支払いに使うような日常生活に必要となる生活資金を使って資産運用・投資を行ってはいけません。食べ物を買うお金を投資に回して、損失が出てしまったら、食べるものに困ってしまいます。
資産運用・投資をする場合には、生活資金で行うのではなく、必ず余裕資金(余剰資金)、つまり余っているお金で行う必要があります。
特別支出・臨時支出に備えて非常用のお金も分けておく
不定期な支出、例えば冠婚葬祭費用や、病気やけがなどいざという時に必要となる費用、家具や家電製品などが故障した時の買い替え費用、失業時の生活費など、特別支出・臨時支出に備えてお金を準備しておくことも必要です。
資産運用・投資を行う場合には、いざという時に使えるような非常用のお金を分けてとっておいた上で余ったお金を回すようにしましょう。
また、資産運用・投資を行う際に、換金のしやすさ、流動性を考慮しておくと、資産運用・投資に回していたお金を現金に換金して、非常用のお金に加えることもできます。投資している資産の流動性にも注意を払うことが大切です。
自分の判断で資産運用・投資を行う
20代の資産運用・投資に限りませんが、自分で考えて資産運用・投資の判断をすることが大切です。銀行の銀行員や証券会社の営業担当者などからお勧めされる金融商品のおすすめを鵜呑みにして、言われるままに投資をするようなことは避けなければいけません。
銀行や証券会社の担当者は、顧客の資産からの手数料収入が目的なのであって、顧客の資産が増えるかどうかについては最終的な責任を負っておらず、顧客の資産はあくまで他人の資産・お金なのです。
資産運用・投資は自己責任であって、自分で考えて、納得して投資をすることが大切です。他人に投資判断を任せてしまってはいけません。
資産運用・投資の失敗にくじけず糧にする
資産運用・投資には失敗がつきものです。想定通りに上手くいくということはなかなかありません。資産運用・投資を行っていれば損失を出してしまうこともあります。
資産運用・投資で失敗をした時でもくじけてしまい、投資には向いていないというように考えて諦めてしまうのではなく、失敗を糧、反省材料にして、次は上手くいくように頑張ればよいのです。
20代では自己投資も行う
20代で資産運用・投資を行って株式や債券、投資信託などの金融資産や不動産や金・プラチナなどの実物資産への投資を行うことはとても大切です。しかし、20代のうちは自分自身が稼ぐ力を身につけるための自己投資も重要であることを忘れないようにしましょう。
金融資産などによる資産運用収入を確保することも大切ですが、自分自身の勤労収入を高めていくことも大事なのです。資産運用・投資にお金を回すだけでなく、自己投資にもお金を回すようにしましょう。
ライフプランを考えて人生のイベントで必要なお金を意識する
20代のうちにライフプランを考えて、転職、結婚、妊娠、出産、住宅購入、育児、子どもの入園・入学、進学、就職、親の介護・相続、退職、老後、自身の介護などの人生のイベントでどのくらいお金が必要になるのか、計算をして意識するようにしておきましょう。
人生の節目でどのくらいの資金が必要になるのかを意識しておけば、資産運用・投資の計画を考える時に役に立ちます。
20代の資産運用・投資では元手が少ないので元手を増やす
20代で就職をするなどして働き始めたばかりの頃は勤労収入も少なく、貯金も十分でないため、なかなか資産運用に回せる元手が確保できません。
20代のうちから資産運用・投資を始めると長期間投資が出来て、メリットも多いのですが、元手が少ない分、資産運用の成果を実感しづらい時期でもあります。そのため、しっかりと働いて元手を確保することが大切です。家計の管理もしっかりと行って、収入のうち2~3割程度を余裕資金に出来るようにすると資産形成がしやすくなります。
毎月の収入から一定の金額を貯蓄(資産運用・投資)に回す
20代では資産運用・投資のための元手が少ないので、毎月の収入から一定の割合、一定の金額で資産運用にお金を回してコツコツと元手を積み立てていくことが大切です。先取り貯金・天引き貯金と同じように、給料などの収入から最初に一定額を差し引いて分けておいて、貯金や投資に回す仕組みを作ることが大切です。
長い期間資産運用をすることができれば複利効果も大きくなりますし、長い期間積立することができれば元手もそれだけ増えることになります。
20代のうちは仕事やプライベートで時間が取りづらい
20代の間は仕事に打ち込むことも大切です。仕事で覚えることもたくさんありますし、学ぶこともたくさんあります。職場の人との人付き合いも大切です。また、20代の間にはプライベートで生涯の伴侶となるような人を見つけて、人間関係を築いていく時期でもあります。また、友人付き合いなどもあるため、仕事がない日もプライベートで忙しいかもしれません。
資産運用・投資に使う時間がなかなか取れなかったり、仕事で疲れていて日々の生活の中では資産運用・投資まで頭が回らなかったりuすることがあります。
しかし、資産運用・投資について少しでも考える時間を確保するようにすることが大切です。どうやって時間を使うか意識する必要があります。
20代の資産運用・投資の考え方・投資資産
20代ではある程度リスクをとった資産運用・投資も可能なので、必要以上に慎重になる必要はありません。どちらかというよりは預金や国内債券などの安全運用よりは積極的に増やすことを考えても良い時期です。
国内株式、先進国株式、新興国株式などの株式投資、不動産投資信託(REIT)などリスク性資産への投資も行いやすい時期です。FX投資をする人もいますが、FXはレバレッジのかけ過ぎに注意しなければいけません。
また、実物不動産投資を行う場合には、過度なアパートローンなどを借りてしまうと身動きが取れなくなってしまうこともありますし、空室が出た場合に売却できないような条件の不動産を選ぶと同様に身動きが取れなくなってしまうことがあるため、注意が必要です。
まとめ
- 20代で資産運用・投資を始めると、投資期間を長くとることができ、時間を味方につけて大きな複利効果を得ることができます。
- また、資産運用・投資を始めることで、お金や経済・金融について学ぶきっかけになるほか、家計・貯蓄やライフプランについても意識するようになるなどのメリットもあります。