金利差と為替レートの関係
記事作成日:2015年8月23日
最終更新日:2022年2月13日
金利差(金利)と為替レートの関係についてです。2国間の金利差は資金の流れに影響を与えることになるため、為替レートに影響を与えます。2国間に金利差があると、金利が低い国から金利が高い国に資金が流れることになります。そのため、短期的には、相対的に金利が高い国は通貨高、金利が低い国は通貨安になる傾向があります。ただし、中長期的には高い金利の国では物価上昇率も高い傾向があるため、物価上昇率の差が影響することがあります。
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短期的には2国間の金利差が為替レートに影響
短期的には金利が高い国と金利が低い国があると、資金は金利が低い国から金利が高い国に流れる傾向があります。金利が高い国では預金金利などが高い一方で、金利が低い国では預金金利などが低くなるため、資金を金利が高い国にあつめることで収益を高くすることが期待できるためです。日本の預金金利は低くても外貨預金の金利は高いというような場合です。
例えば、日本の預金金利は低くても外貨預金の金利は高いというような場合です。例えば、預金金利が日本では年率0.1%、米国のドル建て預金が年率3%だとしたらドル建て預金をしたくなってしまいます。その場合、日本円を売ってドルを買ってドル建ての預金にお金を動かすことになるので、円安ドル高となります。もちろん、為替変動リスクがあるため、金利差がそのまま収益になるわけではありません。
2国間の金利差が小さい場合は為替変動リスクによる影響も大きいためあまり資金の移動は起きませんが、金利差が大きくなると資金の移動が大きくなります。なお、日本と海外の金利差の事を内外金利差と言います。
短期的には金利が上昇すると通貨高要因
ある国の金利が上昇すると、預金金利などが上昇することになるため、その国で運用をしようと投資資金が流入するようになります。投資資金が流入しているということは、通貨が買われているということになるので、通貨高要因となります。
ただし、相手の国との比較で相対的に金利が上昇していなければいけませんので、相手の国の金利上昇が大きい場合には、相対的に金利が低くなることがあります。また、相手の国の金利が低下していれば、実際に金利が低下していなくても相対的に金利が高くなることがあります。
短期的には金利が低下すると通貨安要因
ある国の金利が低下すると、預金金利などが低下することになるため、その国で運用をしていた投資資金が他に高い金利の国に流出するようになります。投資資金が流出しているということは、通貨が売られているということになるので、通貨安要因となります。
ただし、相手の国との比較で相対的に金利が低下していなければいけませんので、相手の国の金利低下が大きい場合には、相対的に金利が高くなることがあります。また、相手の国の金利が上昇していれば、実際に金利が上昇していない場合でも、相対的に金利が低くなる場合もあります。
中長期的には金利差を背景とした物価上昇率の差も影響
物価と金利には密接な関係があります。物価が上昇すると金利が上昇する傾向があり、物価が低下すると金利も低下する傾向があります。逆に金利が高いと物価上昇率が高く、金利が低いと物価上昇率が低い傾向があります。
そして、相対的に物価上昇率が高い国は通貨安となりやすく、相対的に物価上昇率が低い国は通貨高となりやすい傾向があります。ただし、絶対的なものではなく、他の要因も影響するため、物価を反映しない動きとなることもあります。
中長期的には高い金利は通貨安要因になることも
金利が高い国は、物価上昇率も高い傾向があります。そして、物価と為替レートの関係から、物価上昇率が高い国は、通貨安となる傾向があります。そのため、短期的には相対的に金利が高い国は資金流入から通貨高になる傾向があるのですが、中長期的に見ると相対的に金利が高い国は相対的に高い物価上昇率から通貨安となることがあるのです。
つまり、相対的に金利が高い国は、短期では投資資金の流れから通貨高、中長期的には高い物価上昇率を反映して通貨安となることがあるのです。
中長期的には低い金利は通貨高要因になることも
金利が低い国は、物価上昇率も低い傾向があります。そして、物価と為替レートの関係から、物価上昇率が低い国は、通貨高となる傾向があります。そのため、短期的には相対的に金利が低い国は資金流出から通貨安になる傾向があるのですが、中長期的に見ると相対的に金利が低い国は相対的に低い物価上昇率から通貨高となることがあるのです。
つまり、相対的に金利が低い国は、短期では投資資金の流れから通貨安となりますが、中長期的には低い物価上昇率を反映して通貨高となることがあるのです。
短期的・中長期的な金利と為替レートの関係
金利と為替レートの関係については、短期的な動きと中長期的な動きが異なることがあります。短期的には金利差による投資資金の移動が重要な要因となる一方、中長期的には物価上昇率の差が為替レートに影響することがあるためです。ただし、他の要因も関係するため、以下の通りの関係とならないこともあります。
短期的な金利と為替レートの関係
- 高い金利→高金利を求める投資資金の流入→通貨高
- 低い金利→高金利を求める投資資金の流出→通貨安
中長期な金利と為替レートの関係
- 高い金利→高い物価上昇率→通貨安
- 低い金利→低い物価上昇率→通貨高
まとめ
- 2国間の金利差は為替レートに影響し、金利が低い国から金利が高い国に資金が流れます。短期的には、相対的に金利が高い国は通貨高、金利が低い国は通貨安になる傾向があります。
- ただし、中長期的には、金利と密接な関係がある物価が為替レートに影響を与えることがあります。高い金利の国は高い物価上昇率となり通貨安、低い金利の国は低い物価上昇率となり通貨高、となることがあります。