EB債と株価連動債(株価リンク債)の違いと共通点
記事作成日:2019年9月7日
最終更新日:2021年9月18日
似た仕組債であるEB債(他社株転換可能債、他社株償還条項付債)と株価連動債(株価リンク債)の違いについてです。EB債と株価連動債(株価リンク債)はどちらも参照する株価に連動して価値が変化するという点では共通していて、参照する株価が一定の基準とする価格を下回る(あるいはノックインする)と基本的に株価に連動して損失が発生し、一定の価格以上だと額面100%の現金で償還される点は共通します。しかし、参照する株価が一定価格を下回る(あるいはノックインする)場合、EB債は株式で償還される一方、株価連動債は現金で償還されるという違いがあります。
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EB債とは
EB債(他社株転換可能債、他社株償還条項付債)とは、判定時の対象株式の株価が一定価格以上の場合は額面100%の現金で償還され、一定価格未満の場合は現物株式で償還する仕組債です。ノックイン型の場合は、判定期間中に一度でも一定価格以下になった場合に現物株式で償還となります。
株価連動債(株価リンク債)とは
株価連動債(株価リンク債)とは、クーポンの支払いや償還金額が参照する株価に連動して変動する仕組債のことを意味します。日本でよく販売されるノックイン型株価連動債(株価リンク債)は、判定期間中一度でもノックイン価格以下となると、償還金額が株価に連動する仕組みになっています。
EB債と株価連動債(株価リンク債)の違い
EB債と株価連動債(株価リンク債)の違いは、参照する株価が大きく下がった時に、EB債は株式で償還される一方で株価連動債(株価リンク債)は現金で償還されるということです。
参照株価が大きく下落するとEB債は株式、株価連動債(株価リンク債)は現金で償還
EB債と株価連動債(株価リンク債)で、償還価格が参照株価に応じて変化しノックイン型の場合、ノックインするとEB債は参照する株式と単位株未満を現金化した現金調整額で償還されます。一方、株価連動債(株価リンク債)は株式ではなく現金での償還となりますが、償還金額は参照株価の下落率に応じて変化します。EB債は日本語にすると他社株転換可能債、他社株償還条項付債という名前がつきますが、株式が償還される可能性がある点が特徴なのです。(早期償還など他の条件がある場合を除く)
EB債は株式で償還されるので売却しなければ含み損になりますが、償還された時点では損失はまだ確定していません。株価連動債(株価リンク債)は参照株価の値下がり分だけ額面から減額されて償還されるので、償還された時点で損失が確定しています。
参照株価が大きく下落した場合の償還
- EB債(他社株転換可能債):株式と現金調整額
- 株価連動債(株価リンク債):額面から減額された現金(参照株価に連動)
EB債と株価連動債(株価リンク債)の共通点
EB債と株価連動債(株価リンク債)の共通点は債券から得られるリターンは参照する株価に連動するということと、株価が大きく値下がりしなかった場合は額面100%の現金で償還されるということです。
参照する株価によって価値が変化する
EB債と株価連動債(株価リンク債)は、基本的にその債券が参照する株式の株価に連動して償還価格が変化します。償還価格が株価に連動するタイプの場合、EB債と株価連動債(株価リンク債)は参照する株価が判定時点で一定値未満となるか(満期に近い時点で一度だけ判定する場合)、判定期間中にノックイン価格以下となる(ノックイン型の場合)と、償還価格が株価に連動する仕組みとなっています。(早期償還など他の条件がある場合を除く)
参照株価が大きく下落しなかった場合は額面100%の現金で償還
EB債と株価連動債(株価リンク債)は、参照する株価が一定未満とならなかった場合やノックインしなかった場合など大きく下落しなかった場合は、額面100%の現金で償還されます。株価が大きく下がらなければ、額面で償還されるため、額面の金額が減らないことになります。
参照株価が大きく下落しなかった場合の償還
- EB債(他社株転換可能債):額面100%の現金
- 株価連動債(株価リンク債):額面100%の現金
まとめ
- EB債と株価連動債(株価リンク債)の違いは、参照する株価が大きく下がった時に、EB債は株式で償還される一方で株価連動債(株価リンク債)は現金で償還されるということです。
- EB債と株価連動債(株価リンク債)の共通点は、EB債と株価連動債(株価リンク債)からの収益は参照する株価によって変化するという点です。また、参照する株価が大きく下がらなかった時は、額面100%の現金で償還されることも共通点です。