確定給付企業年金の基金型と規約型の違いの比較
記事作成日:2017年6月17日
確定給付企業年金の基金型と規約型の違いについてです。公的年金に上乗せする形で給付を行う企業年金制度の一種である確定給付企業年金では、基金型と規約型の2つの方式があります。両者の違いは企業年金基金を設立して年金を実施するか、基金を設置しないで信託銀行や生命保険会社に年金の管理・運営を任せるかの違いになります。
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確定給付企業年金の基金型と規約型の違いの比較
確定給付企業年金の基金型と規約型の違い
- 基金型:企業の外部に企業年金基金という法人を作って年金の積立金を管理・運用します。
- 規約型:企業の外部の信託銀行や生命保険会社等と契約して、年金の積立金を管理運用します。
確定給付企業年金の基金型と規約型の比較表
違う点 | 基金型 | 規約型 |
---|---|---|
開始条件 | 基金設立の認可 | 規約の承認 |
運営主体 | 基金(労使が関与) | 事業主(経理・財務部等) |
年金の裁定 | 基金 | 事業主 |
年金の給付 | 基金 | 信託銀行等 |
積立金管理・運用 | 基金が中心+信託銀行等 | 信託銀行等 |
加入者数 | 300人以上 | 制約なし(ただし少人数の運営は困難) |
規約変更 | 代議員会 | 労使合意 |
労働者の関与 | 大きい | 小さい |
自家運用 | 可能 | 不可能 |
福祉事業 | 可能 | 不可能 |
(出典)fromportal.comの担当者が作成
基金型の仕組み
規約型の仕組み
確定給付企業年金の基金型と規約型の相違点
確定給付企業年金開始の条件
確定給付企業年金を開始するために、基金型では企業年金基金の設立について厚生労働大臣の認可を受ける必要がある一方で、規約型では年金の規約について厚生労働大臣の承認を受ける必要があります。
確定給付企業年金の運営主体
確定給付企業年金の運営について、基金型では企業年金基金の理事や事務局が中心となって運営しますが、規約型では企業(事業主)が主導します。経理部、財務部、人事部などの担当者が実務を担当することが多いようです。
確定給付企業年金の年金の裁定
確定給付企業年金の年金の裁定は、基金型では企業年金基金が行い、規約型では企業(事業主)が行います。
確定給付企業年金の年金の給付
確定給付企業年金の年金の給付は、基金型では原則として企業年金基金が行い、規約型では信託銀行や生命保険会社等が行います。
確定給付企業年金の積立金の管理・運用
確定給付企業年金の積立金の管理・運用は、基金型では企業年金基金が中心となる一方、規約型では信託銀行や生命保険会社等が行います。
確定給付企業年金の加入者
確定給付企業年金の加入者数については、基金型では300人以上という条件がありますが、規約型にはありません。ただし、規約型でも極端に加入者が少ない場合には運営が困難であると考えられます。
確定給付企業年金の規約の変更
確定給付企業年金の規約の変更は、基金型では代議員会の議決が必要になりますが、規約型は労使の合意で変更できます。
確定給付企業年金への労働者の関与
確定給付企業年金への労働者の関与は、基金型では代議員、理事、監事などの選出に関わるため大きくなり、規約型は事業主が運営を主導するため小さくなります。
確定給付企業年金の自家運用
確定給付企業年金の自家運用については、基金型では可能ですが、規約型では認められていません。ただし基金型でも体制の整備が求められ、実施している基金は少ないです。
確定給付企業年金の福祉事業
確定給付企業年金の福祉事業について、基金型では実施可能ですが、規約型では実施できません。
まとめ
- 確定給付企業年金の基金型と規約型の大きな違いは企業年金基金を設立して年金を実施するか、基金を設置しないで信託銀行や生命保険会社に年金の管理・運営を任せるかの違いになります。
- 実務上の違いとしては規約型の方が事業主の意思を反映させやすいという特徴があり、基金型の方が労働者(加入者)が関与しやすいという特徴があります。